October 2019

SEWING THE SEEDS OF TIME

俳優:パトリック・スチュワート
円熟の境地

issue10

大人気SFシリーズ『新スタートレック』でのジャン=リュック・ピカード艦長。

「これは戦場から戻って来た退役軍人や帰還兵を支援するすばらしい組織。彼らの多くは深刻なPTSDに苦しんでいる。僕は父親のことを否定的にしか考えられなかったけど、父の死後かなり経ってからさまざまな行動の背景にあるものがわかったんだ。父に対する理解が深まったし、父が置かれた状況に同情するようになった。もっと早くに気づいてあげれば良かったんだけど」

積極的に政治参加する理由 彼はアムネスティ・インターナショナルの熱心なサポーターでもある。同団体のサイトではスチュワートが出演する短編ドラマが紹介されており、欧州人権条約に関する取り組みを説明している。このドラマが製作されたのは、今やイギリス首相となったテリーザ・メイが昨年、欧州人権条約からの離脱を主張した後のことだ。2014年、スチュワートはスミソニアン・マガジンに「最近は、若くて世間知らずだった頃に抱いていた希望と、現実への深い絶望との狭間にいる」と語った。今はどう考えているのだろうか。

「今の世界は何もかもが変わったように感じる。先日、僕は妻と心から尊敬しているふたりの人物―優れた労働党議員であり友人のニール・キノックと米国の元国務長官マデレーン・オルブライト―と話す機会があった。これからどうするのか尋ねると、どちらからも『闘って、闘い続けて、あきらめない』という言葉が返ってきたんだ。やる気が湧いたよ。僕らは不安で心配な時代に生きているけど、ドナルド・トランプやEU離脱だけが世界の未来に結びつくわけじゃない。これからも最後まで何かしら影響を与えられるように努めていくつもりだ」

「哀愁を秘めた楽天家」というスチュワートへの形容は彼の印象をうまく表しているかもしれない。だが、彼自身は次の理由で気に入っていない。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 16
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