October 2019

SEWING THE SEEDS OF TIME

俳優:パトリック・スチュワート
円熟の境地

issue10

『グリーンルーム』(2015年)。

「両親はどちらも労働者階級。母は織物工として生涯働いていたけど、給料はあまりにも安く、労働環境は劣悪だった。だから幼い頃から、社会では誰もができるだけ豊かで価値ある人生を送れるよう、同じ機会を手にするべきだと思っていたんだ」

 その一方で、子供の頃は常にドメスティックバイオレンスに直面していた。

「父が母に繰り返し暴力をふるっていて、その暴力がもたらす恐怖や苦悩を目の当たりにしていた。できると思えたら父を殺していただろう。だからドメスティックバイオレンスの被害者を支援するチャリティ団体から後援を頼まれたときは、喜んで引き受けたんだ。このような活動に参加できて非常に光栄だ。これは母のために取り組む仕事だから」

 父親の行動はスチュワートに深い影響を及ぼした。しかし最近になって、彼は気づいた。1944年のシェルブールの戦いから帰還した父親は、その体験から重い精神的後遺症を患っていたのである。そこでスチュワートはコンバット・ストレスをケアする団体をサポートすることにした。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 16
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