Friday, December 13th, 2019

NEO TRADITIONAL GAZATTEER
RAKISH TOKYO GUIDE vol.3
ザ・レイクの東京案内

通常は2回の仮縫いを経て完成する。バンコクの実業家プラニタン・フォルンプラハさんは昔からの顧客なので、本人の希望もあり、仮縫いは1回で。ナポリとは異なり、かなり綿密にチェックする。

SARTORIA CICCIO サルトリア チッチオ
世界中の富裕層を魅了する都会的なナポリ仕立て

ナポリの仕立てを東京の街に合うよう洗練させた
チッチオこと上木規至氏の服に、今世界が注目している。
photography setsuo sugiyama text yuko fujita
 サルトの仕事は服を仕立てることだから、サルトは技術ばかりを追求しがちだ。もちろん、それはすごく大切なことなのだが、技術さえ高ければよいわけではない。自分の仕事がいちばんだと自負していても、客はそれだけではついてこない。

 ビスポークは「人」対「人」。大切なのは、その人自身と服に、客を魅了するだけの華があるかどうかだ。2003年からナポリで3年間修業したチッチオの上木規至氏には、その華がある。

 ナポリの服にみられる柔らかい仕立て、美しい縫製という2つにおいては、ナポリで修業した日本人なら、キャリアを積んでいれば時間とともに自然と辿り着く。

 もちろん、キャリアを積む中でいろいろ技術的な問題に直面するだろうが、それは試行錯誤のうちに解決していけるはずだ。ただし、服にはデザインがあり、テイストというものが存在する。仕立てる服はその人の美意識を如実に反映するのだ。

 ナポリの服と聞くと、ダブルステッチのスポーティな服を思い浮かべるかもしれないが、上木氏はそういった土着的な要素を排しながら、都会的で洗練された服を仕立てている。

 彼もまたさまざまな国の顧客を抱えているが、そういった独自の美意識でナポリの服を進化させているところが、彼が世界的に評価されている理由だろう。取材日もバンコクのお客さんが2着の仮縫いに来ていた。

 ところで、上木氏が得意としていながら、雑誌では紹介されていない服がある。師匠アントニオ・パスカリエッロの十八番であるラグランスリーブのコートだ。顧客の間ではかねてから人気があり、ツイーディな生地との相性がとてもいい。もっと多くの人に知ってもらいたい1着である。

SARTORIA CICCIO
東京都港区南青山5-4-43 TEL03-6433-5567
営業時間:11:00~20:00 定休日:日曜 ciccio.co.jp

本記事は2017年5月24日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 16

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