April 2020

HACKETT LONDON

ハケット氏の新しいサヴィル・ロウ

text yoshimi hasegawa
photography james holborow

地下のワークルーム。

「サヴィル・ロウはメンズウェアにとって最上級のプレスティージを意味する場所。ここにビスポークを含む全製品が揃い、デザイン、PR、私のオフィスまで、すべてがひとつの屋根の下にあることは、ハケットのブランディングにとって将来的に意義がある」とジェレミー。

 店名をJ.P.ハケットとしたのもサヴィル・ロウならではの理由があった。

「ここはテーラーリングにおいて最も有名で、かつ最高のクラフツマンシップがある場所だ。一方、契約にも多くの規制があって、ブランド名を大きく出すようなことはしたくないと言われた。その意向を組んで、店名は個人的な雰囲気を持つJ.P.ハケットとしたんだ」

1階の中央にはカッターテーブルがあり、ヘッドカッターのホアン・カルロス・ベニートによるビスポークスーツの製作を行う。スペイン人のベニート氏は3代にわたるテーラーの家系。父はキルガー・フレンチ&スタンバリーで修行し、ベニート氏は父から仕立てを学んだ。この日はオープニングということで、ジェレミー自身のグレイフランネル、3ピーススーツを作製中だった。奥にはジェレミーがグリーンルームと名付けたサロンもあり、ゲストはここでカクテルやお茶を楽しめる。地下には約10人の職人が働くワークルーム、2階はショールーム、3階はデザイン、PRやマーケティングチームが働くハケットのヘッドクオーターだ。この階にサヴィル・ロウを見下ろすジェレミーのオフィスもある。

THE RAKE JAPAN EDITION ISSUE 32
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Contents

<本連載の過去記事は以下より>

本邦初公開! 新しくなった聖地 サヴィル・ロウ再起動

最高峰のビスポークの真価

サヴィル・ロウのゲームチェンジャー

【ヘンリー・プール】伝統に勝てるものはない

コンテンポラリーなビスポーク