Saturday, March 7th, 2020

MARCELLO MASTROIANNI

RAKISH MANは、トレンドから距離をおいた
自分のスタイルをもっている

紳士の最終到着地点は服を自分の内面で着こなすことだ。
イタリアが生んだ名俳優、マルチェロ・マストロヤンニ。
生涯160を超える映画作品に出演した彼は、どの服を着ようと、いつもマストロヤンニそのものだった。
photography tatsuya ozawa & GETTY IMAGES text yuko fujita

Marcello Mastroianni / マルチェロ・マストロヤンニ1924年、イタリア中部のフォンターナ・リーリ生まれ。1948年に俳優デビュー。その後初めて手を組んだフェデリコ・フェリーニ監督の『甘い生活』(1959年)で世界的な名声を得る。『8 1/2』『昨日・今日・明日』で見られるように、典型的な二枚目ながら三枚目の雰囲気を漂わせ、人間味溢れる演技が光る性格俳優としても高い評価を得ていた。1996年に亡くなるまで現役の俳優であり続けた。

日本のマストロヤンニ、赤峰幸生が語る!
マルチェロ・マストロヤンニの魅力とは?
 1998年にスタートしたY.アカミネブランドでは、数々の名優をテーマにしたコレクションを手がけてきた赤峰幸生氏は、もちろん、マルチェロ・マストロヤンニから想を得た服も数多く発表してきた。ただし、マストロヤンニのスタイルはこれだという決定的なものよりも、彼の魅力はもっと抽象的というか、彼自身の雰囲気によるものが大きいという。

「マストロヤンニは役者に見られるアクの強さがなくて、いい意味でニュートラルなんですよね。ルキノ・ヴィスコンティにもフェデリコ・フェリーニにも重用されましたが、それは彼がいかようにも役の中に溶け込んでいけるキャラクターだからなんですよね。彼はいつも、あたかも自分がそうであるように、与えられた役をごく自然に演じていました」

 どこの服を着ようが、マストロヤンニらしくもっていくというか、服を自分に寄せてしまう。そこに彼の魅力があると氏は語る。映画の中では、カラチェーニやアンジェロ・リトリコ、あるいは出演作品の衣装を多く手がけたブルーノ・ピアッテッリの服を着用していたことがわかっているが、どの服だろうとそれが同じマストロヤンニスタイルとして認識されているところも、彼の凄さなのである。

「数々の女性遍歴があったことでも知られていますが、彼は役者として役になりきる形で女性にものめりこんでいたんでしょうね。シリアスという言葉はマストロヤンニにはしっくりこなくて、『ひまわり』や『黒い瞳』などの悲しい物語でも、内面からどこか明るさが滲み出ているところがあって、どちらかというとおちゃらけているというか、女性からすると彼には隙があるように思える。服装も決めているんだけれど、決めているようには見せないんですよね。そこが彼の魅力です。『8 1/2』でも『甘い生活』の中でも、彼が見せたのはそんなキャラクターでした」

左はピエトロ・ジェルミ監督の『イタリア式離婚狂騒曲』(1961年)で、シチリアの没落貴族を演じたマストロヤンニ。決まっているようで、どこか隙を感じさせるこの雰囲気こそが、彼の魅力。右はマルチェロ・アカミネヤンニこと、我らが赤峰幸生氏。マストロヤンニは口髭が最高に似合っていたと氏は語るが、それを見事に再現してくださった。最高!

THE RAKE JAPAN EDITION issue 31
1 2 3

Contents