Monday, June 22nd, 2020

DEEP AND MEANINGFUL

世界の海軍に評価された時計

チューダーによるミリタリー仕様の
「サブマリーナー」の魅力は、その1点1点が、
世界有数の海軍と生み出した数々の冒険譚を秘めていることだ。
text ross povey

チューダーのRef.7924を装着したフランス海軍のダイバー(1961年)。

 チューダーのミリタリー仕様のサブマリーナーは、着けた者の腕元で厳かな存在感を放つ。ヴィンテージのサブマリーナーは、コレクター市場で大変魅力的な時計であることは間違いない。それら1点1点が戦闘における独自の歴史と幾多の物語を宿しているからだ。

 チューダーのサブマリーナーの表側には軍用時計としての過去を窺わせるマークが見当たらない。「知る人ぞ知る」と言わんばかりに、実に忍びやかだ。また、主にイギリス国防省が用いたロレックスとは違い、チューダーのサブマリーナーは60年以上にわたって世界各地のさまざまな海軍に採用されてきた。それほど多くの軍隊に人気を博した理由のひとつは、価格帯だった。

 チューダーは、ロレックス同様のケース、リュウズ、ベゼル、クリスタルを採用しつつも、変更を加えたサードパーティー製ムーブメントで動作し、独自のダイヤルを備えていた。ロレックスを創立したハンス・ウイルスドルフは、ロレックスの時計をより手頃な価格で提供するというビジョンを持っていたが、チューダーもまた、人の入れ替わりの多い軍隊においては最適な選択肢だったのだ。物語は1956年に幕を開ける―。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 32
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