Wednesday, April 15th, 2020

NORTON & SONS

コンテンポラリーなビスポーク

サヴィル・ロウでは異色のテーラー、創業1821年のノートン&サンズ。
2005年、パトリック・グラント氏がオーナーとなってから早14年。
新たに加入したマーティン・ニコルス氏とモダンなビスポークを追求する。
text yoshimi hasegawa photography james holborow

左:Patrick Grant / パトリック・グラント
2005年、34歳の若さでノートン&サンズを買収、最年少のサヴィル・ロウのテーラーとなる。2009年には創業1867年のE.トーツを既製服ブランドとして復活させ、ロンドン・ファッション・ウィークにも参加。サヴィル・ロウのビスポークとメンズウェア業界を結びつけたブランディングで脚光を浴びる。業界団体サヴィル・ロウ・ビスポーク・アソシエーションにも参加している。

右:Martin Nicholls / マーティン・ニコルス
ギーヴズ&ホークス、黄金時代のハンツマンでカッティングを習得。1996年ノートン&サンズのジュニアカッター、2003年にダンヒルでMTMとビスポーク部門を立ち上げる。自身の会社で『キングスマン』を含む20本以上の映画のコスチューム製作を担当。ダンヒルのビスポーク部門のヘッドカッターを経て、2019年11月にノートン&サンズのマネージングディレクターとヘッドカッターに。

「我々は顧客を型にはめる、いわゆる“クッキーカッターテーラー”じゃない」

 サヴィル・ロウ16番地、アートギャラリーのような空間で、パトリック・グラント氏は、新たにマーティン・ニコルス氏を迎えた理由を語り始めた。

「サヴィル・ロウは特別な場所で、顧客はビスポークを愛し、相当な知識もある。ウェルドレッサーであれば自分の行くべきテーラーを知っている。マーティンのことは長年知っていて、彼の顧客の個性を受け入れるスタイルも好きだったし、良い教育を受けていてエレガント、なにより優秀なカッターだ。温厚で誰もが彼と一緒に働きたがる。ここは競争が激しく、腕のいい職人は嫌ならすぐに他に移れる。15年近くビスポークテーラーを経営してみて、いいテーラーはいかにいいチームを率いるかだとわかった。彼こそ、最上のサービスとテーラーリングを提供できると信じたからだ」

 グラント氏のオファーを受けたニコルス氏は「サヴィル・ロウのビスポーク、MTMのファクトリー、映画のコスチューム製作と、メンズウェアのあらゆる分野で仕事をしてきました。ノートン&サンズは古巣でもあり、今までのすべての経験を駆使して、新しい挑戦ができる場所。それがここに来た理由です」と語る。

 具体的には、肩パッドや従来の厚い芯地、ライニングを用いないアンコンストラクテッドなスーツに加え、MTMのサービスも始める予定だ。
「サヴィル・ロウは常にメンズウェアの聖地であるべき」とグラント氏。ここにまた新たな選択肢が加わったのだ。

NORTON & SONSノートン&サンズ
16 Savile Row,London W1S 3PL
TEL.:+44 020 7437 0829
www.nortonandsons.co.uk

THE RAKE JAPAN EDITION ISSUE 32

Contents

<本連載の過去記事は以下より>

伝統に勝てるものはない

サヴィル・ロウのゲームチェンジャー

最高峰のビスポークの真価

ハケット氏の新しいサヴィル・ロウ

本邦初公開! 新しくなった聖地 サヴィル・ロウ再起動