俳優：ランドルフ・スコット
永遠のガンマン

“バチェラー・ホール”にて、長年の同居人であるケーリー・グラントと。

　スクリーン上のイメージから翻って、私生活ではエリートビジネスマンのようだったスコットにとって、採算性は些細な問題ではなかった。ほとんどのスターが大手映画会社と契約を結んでいた1940年代に、彼は自身の製作会社を立ち上げていた。つまり、作品や利益を管理する手段を持つ俳優の草分け的存在だったのだ。そんな彼は最終的に、不動産、ガス、油田関連の株や証券を含む、1億ドル相当の財産を築いたといわれる。

　また、大変な衣装持ちでもあった。ミッドセンチュリーモダンを体現するスコットの自宅は、ビバリーヒルズの丘陵地ではなく中心地に建っていた。そこで彼へのインタビューを行ったホッパーは、こうレポートした。

「家には、西部劇に出演したことを窺わせるものは何ひとつなかった。スポーツウェアに身を包んだ彼もまた、西部劇とは全く無縁に見えた」

　バージニア州生まれのスコットは、育ちの良い洗練された投資家のイメージを築きたかったのかもしれない。伝えられるところによれば、彼は権威あるロサンゼルス・カントリークラブへの入会を認められた唯一の俳優でもあったという。

“バチェラー・ホール”にて、長年の同居人であるケーリー・グラントと。