Saturday, June 12th, 2021

A HIGHLY ANTICIPATED STAR
―ORMA オルマ―

フィレンツェ10年仕込み!
新星“ORMA”が人気沸騰の予感

クラシックな中にも新しさがあって、眺めているだけでその美しい個体にワクワクを覚える。
フィレンツェで10年間修業を積んだ、島本 亘。またひとり、素晴らしい靴職人が現れた。
photography & text yuko fujita

オルマの靴は繊細なフォルムとグラマラスなラインの融合とでもいおうか、なかなか日本人離れしたフォルムを生み出していて、パリのビスポークシューズのような薫りすら漂わせる。これにアリゲーターを乗せると、なんとも妖艶な色気が生まれる。特に手前のホールカットは圧巻の迫力である。ビスポークのみで、納期は初回1年~、2回目からは6カ月~。ビスポークは¥430,000 ~、アリゲーターは¥850,000~ Orma(オルマ info@orma-shoemaker.com

 フィレンツェに工房を構えるイル ミーチョの深谷秀隆氏に10年師事したのは伊達ではない。魂が憑依したかのように、仕事に全集中しているときの島本 亘氏は、宇宙は自分ただひとりになり、力強い手の動きといい、一点に注がれる力強い眼差しといい、師匠にそっくりだ。

 クラシックなのにオリジナリティがあり、新しいのにヴィンテージのような雰囲気を醸し出している。繊細なラインの美しさと、圧倒的な存在感。そして、安心を覚える温かみの中に、ハッと息を呑む美しさ。氏が手がける靴には、相反する要素が混然一体となって溶け込んでいる。

 フィレンツェでの10年間はひたすら靴作りに没頭していたと振り返るが、休日には趣味の美術館巡りをしたり、アンティークの蚤の市で家具や工具を探すのが楽しみだったという。そして、芸術に触れ、古くてもなお美しいものに囲まれ、街の至るところで日々新しい発見があり、そういった環境の中で自身の美意識が自然と形成されていったという。氏の内面から自然と生まれるデザインだからこそ、新しさの中に自然な調和があるのだ。

「イギリスの靴みたいに最高のアーカイブがあってそれを目指して作るのではなく、自由にクリエイティブな靴を作っていきたいと思っています。完璧で隙がない感じではなく、意図的には出せない雰囲気を盛り込めたらなと。イタリアの靴には、不思議とそれがあると思うんです」

 オルマはイタリア語で“足跡”を意味する。真の美しさは不変の美しさでもある。遠い将来、島本氏が手がけた靴は歴史にどんな足跡を残していくのだろうか。

革はさまざまな表情の牛革に加え、アリゲーター、象、サメ、アザラシ、オーストリッチ、ラマなどが揃っている。最近、富山の野生の猪の革を入手。

スーパーバックを使用した4アイレットのエプロンダービー。芸術的なバランスの美しさ。

2019年に帰国後、昨年、大船の自宅からほど近い西鎌倉に工房を構えた(余談だが、近くにある町中華「盛華園」が渋くてとてもいい)。全行程をひとりで手がけている。

シャープなラインと曲線が美しく溶け合ったフォルムに、個性的なヴァンプラインが乗っかってくる。オルマのオックスフォードシューズの象徴的なディテールだ。

金具だけアンティークのものを使用し、なんと自身で靴を収納するためのトランクを作ってしまったという(オーダー不可)。昔から手を動かしてモノを作るのが好きだったというが、これにはオドロキ。ちなみに、独立準備のときに作った靴と最近作った靴では印象が異なる。島本氏はここからまたどう進化していくのか、それもまた楽しみだ。

Wataru Shimamoto / 島本 亘1983年生まれ。大学時代に趣味でハンドソーンの靴を作ったのをきっかけに、シューリペアショップにアルバイトで入り、そのまま就職。2009年に渡伊。憧れだったというイル ミーチョの深谷秀隆氏のもとで10年間働き、2019年に帰国。昨年、西鎌倉に工房を構え、自身のビスポークシューズブランド「オルマ」を始動。実力と感性を兼ね備えた2021年の最注目株だ。

本記事は2021年3月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 39

Contents

<本連載の過去記事は以下より>

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