Thursday, March 25th, 2021

VODKA FIT FOR AN EMPEROR

皇帝のための卵に収められた
至高のウォッカ

ロシア皇帝に献上された“ファベルジェの卵”は、オークションでも高値がつく至宝。
時を超えて現代に蘇った卵には、ロシア最高級のウォッカが収められた。

Imperial Collection Vodka SILVER伝統的なヴェネツィアングラス、ハンドメイド装飾のクラフツマンシップにより、インペリアル・イースター・エッグを再現。欧州最大の淡水湖「ラドガ湖」の水から造られるウォッカで満たしたデキャンタと、4つのショットグラスを収納。写真は今春発売の新色のひとつで、洗練された印象のシルバー。「インペリアル コレクション ウォッカシルバー」700ml。40度。¥170,000 Ladoga(ラドガジャパン TEL.03-5783-5141)

 ロジャー・ムーア演じるジェームズ・ボンドがいつものようにMの執務室を訪れると、そこには美術鑑定士もいた。Mはボンドにあるものを見せて尋ねる。「知っているか?」。するとボンドはこう答える。「“ファベルジェの卵”だ。金細工師のファベルジェがロシア皇帝に献上した逸品。この中には皇帝の馬車が入っている」。「ご名答。だがこれはニセ物だ。本物は今日オークションに出品される」―。

『007 オクトパシー』(1983年)でもキーアイテムとして登場したフェベルジェの卵は、ピーター・カール・ファベルジェが1885年から1917年にかけてロシア皇帝の命を受けてひとつひとつ制作した、インペリアル・イースター・エッグである。ゴールド製やシルバー製の卵にエナメル彩色や豪奢な宝石があしらわれ、内部には必ずお楽しみの仕掛けや小物が収められていた。ハイジュエリー、あるいは美術品ともいえるこの至宝は、ロシア革命後にソ連の外貨獲得を目的としてオークションにかけられ、国外の富豪の手中へと散逸。それらは現在もなお、世界中のコレクターたちを魅了し続けている。

 1枚目の見事な卵を見てほしい。皇帝のためのファベルジェの卵を、贅を尽くして現代に再現したのは、ラドガ湖畔の都市サンクトペテルブルクを本拠地とするラドガグループである。彫金やスワロフスキーで飾られた絢爛豪華な卵には、ハンドメイド装飾が施されたショットグラスと、ロシア最高級のウォッカで満たされた、ヴェネツィアングラスによる優美なデキャンタが収められている。

プーチン大統領も愛飲する
ロシア伝統の味わい
 このウォッカは、ラドガ湖の精緻な水を金のフィルターで濾過し、12段階もの蒸留プロセスを経て造られる。ヨーロッパでは薬用蜜として知られるリンデン(菩提樹)の蜜とエキスが加えられ、ショットグラスでも比較的まろやかに味わえるのが特徴だ。世界規模のスピリッツアワードでも賞を総なめにしている、まさに最高級の味わい。2006年のロシアサミットではこのウォッカが各国の首脳に振る舞われており、あのプーチン大統領も普段から愛飲しているのだという。

 皇帝のための卵に想いを馳せ、至高のウォッカを味わう特別な時間。これ以上の贅沢があるだろうか。この卵を手にした者は、最高級の味わいを共有すると同時に、時を超えてロシア皇帝文化の一端に触れることができるのだ。

photography:masashi nagao

本記事は2021年3月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 39

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