From Kentaro Matsuo

THE RAKE JAPAN 編集長、松尾健太郎が取材した、ベスト・ドレッサーたちの肖像。”お洒落な男”とは何か、を追求しています!

Posts in the category

MENU

太田裕康さん

太田裕康さん

 ユナイテッドアローズ ザ ソブリンハウス ブランドディレクター

text kentaro matsuo  photography natsuko okada

_S5A8430

丸の内仲通りにあって、ひと際高級感あふれる品揃え、ザ ソブリンハウスのディレクター、太田裕康さんのご登場です。ザ ソブリンハウスといえば、クラシックの王道的なイメージがありますが・・

「お店のオープンは1997年なのですが、もともとは、ハイ・トレンドを追求するというコンセプトだったのです。ところが当時、トレンドといえば、クラシコ・イタリアがものすごく流行っていて・・それをメインにやっていたら、いつの間にかクラシックな店として認知されてしまいました(笑)。しかし、今でもトレンドをほどよくミックスさせるということは意識しています。昔から、エトロやピオンボのようなブランドを扱ってきましたし、最近ではジル・サンダーも始めました。“モダン×クラシック”がウチのテーマです」

 

今では、ザ ソブリンハウスのすべての商品をコントロールしている太田さん。その装いも、新旧のいいモノが入り混じったスタイルです。

_S5A8444

 ハイゲージ・ニットのアンサンブルは、ザ ソブリンハウスのオリジナル。ご自分で企画をし、定番として毎シーズン店頭に並べられるものだそうです。

「女性の間では当たり前ですが、男性が同じ種類のニットを重ね着することって、ほぼないじゃないですか。しかしやってみると、これが本当に便利なのです。ニット同士を合わせてもいいし、タートルとカーディガンを別々にジャケットに合わせてもいい。着こなしの幅が一気に広がります。寒さ対策としても持ってこい。男性に、ニットのアンサンブルを根付かせたいと思っています」

 

パンツは、神戸の名店コルウでオーダーしたもの。

_S5A8520

時計は、オーデマ ピゲのロイヤル オーク チャンピョンシップ。もともとはニック・ファルドが全英オープンを制したことを記念して作られたモデルで、1980年代に200個限定で発売されました。

「材料にタンタルというレアメタルが使われています。腐食せず、アレルギーフリーの金属です。クオーツなので時刻合わせも必要なく、34mmと小ぶりなのでドレスシャツを身につける際にもジャマになりません。この時計をしていると、お客様から『それ何?』とよく聞かれます。実はユナイテッドアローズでも、ヴィンテージ時計を扱っているのですが、私は同じモデルを、もう何本も売りました(笑)」

太田さんは時計も大好きで、1週間で3本の時計を買ったこともあるとか。

「いま密かに目をつけているのは、1980〜90年代あたりのピアジェです。誰も注目していないので、今ならまだまだ安い」

 

リングは、友人に作ってもらったもの、ブレスは自分でデザインしたもの。

 

タッセル・シューズは、ボードワン アンド ランゲというロンドンのブランド。

「一見華奢なのですが、インソールが3レイヤーになっていて、驚くほど履きやすい。先日もロンドンの街中を20km以上も歩いたのですが、ぜんぜん疲れませんでした。バリエーションも幅広い。この靴は、秋冬シーズンに大ブレイクする予感がします」

10月にはザ ソブリンハウスでオーダー会も予定されています。

_S5A8469

 太田さんがユナイテッドアローズに入社してから、すでに20年以上の月日が経ちました。今では同店を代表するファッショニスタの一人ですが、最初はバイトだったそうです。

「ある日、大先輩の鴨志田さんに『イタリアへ行ってみたい』と打ち明けたら『じゃあ、一緒に行こうぜ!』と二つ返事で連れて行ってもらえることになりました。しかし、旅費は自腹でしたが(笑)。そして出かけた1995年冬のピッティで、衝撃的な体験をしました。皆ごくフツウのものを着ているのに、ものすごくカッコよかった。アレには驚きました」

 

ピッティに集っていたイタリア人に魅せられ、フィレンツェで一番の名店でスーツをオーダーしたそうです。

「有名なリヴェラーノ&リヴェラーノで、洋服をオーダーしました。ところが仮縫いのことをすっかり忘れていた。仕方なく、半年後のピッティも自腹で出かけました。そうしたら、またオーダーしてしまって・・」

気がついたら、お金がまったくなくなっていたそうです。

 

「買い物に関しては、ほとんど病気ですね(笑)。今ではピッティへの渡航費は会社が出してくれるようになりましたが、ショッピング癖は止まりません。特に好きなのはカバンです。カバンの中にカバンを入れて、そのまた中にカバンを入れてしまっていたら、まるでマトリョーシカのようになってしまって・・今では何個持っているのか、見当も付きません(笑)」

 

でも、バイヤーとして、買うことそのものが仕事になったのだから、決して無駄な出費ではなかったですね。ユナイテッドアローズは、最高の職場ですね。

 

「でも、自分で本当に欲しいと思ったものを買い付けるので、結局自分で買ってしまい、相変わらずお金がありません。最高にして最低の職場ですね(笑)」と。

しかしその笑顔は、いかにも満足げでありました。

南里清久さん

南里清久さん

 ビチェリン・アジアパシフィックアンドミドルイースト 代表取締役社長

 text kentaro matsuo  photography tatsuya ozawa

nanri02

 ビチェリン社長、南里清久さんのご登場です。ビチェリンというのは、イタリア、トリノにあるカフェで、その創業は今から255年前、1763年まで遡ります。哲学者ニーチェや『三銃士』で知られる作家デュマに愛され、戯曲家プッチーニのオペラにも出てくるというから驚きです。店名を冠したチョコレート・ドリンク“ビチェリン”は、文豪ヘミングウェイによって“世界で残すべき100のもの”に選ばれたそう。現存するカフェではLocali storici d’Italiaのメンバーとしてイタリア最古。南里さんは、そんな名門の日本(とアジア)の代表をされています。

 

さて、南里さんと私は20年来の友人ですが、初めて会ったのは、彼の自宅に、インテリアの取材に行ったときでした。たいそうな豪邸に住まわれており、最初はビビリましたが、バスルームを覗いたら、世界各国のホテルから持ち帰ってきた小さな石鹸やシャンプーが、ちょこまかと並べられていて、「あ、この人、いい人かもしれない」と思ったことがきっかけでした(笑)。

 

「幼い頃から“旅”が大好きで、昔テレビでやっていた“兼高かおる世界の旅”を欠かさず観ているような子供でした。高校生くらいになると、バイトをしてお金を貯めては、海外旅行へ出かけるようになりました。海外では、空港やホテル、レストランなど、ラグジュアリーな場所を見て回るのが好きでした。もちろん自分では利用できないので、外から眺めるだけです。ニューヨークでは、コンコルドから降りてくる人たちの、エレガントな装いに憧れました。パリのリッツホテルは、まるで城のようだと思いました。日本と違って海外では、それぞれの空間に、似合った人がいるのです。そういう人たちを観察するのが楽しかったのです」

 

そんな経験が、ビチェリンの店作り、そしてファッションにも生かされています。

nanri01

ネイビーのジャケットは、トム フォード。

「トム フォードは、007が好きなので、よく買っています。その前はブリオーニが好きでした(トム フォードとブリオーニは、ボンドが劇中で着用)。時流に乗っかるタイプなので(笑)」

 

グレイパンツは、リーノさんで有名な、ミラノのアル バザールでまとめ買いしたもの。

 

タイとチーフは、ビジャン。

「ビジャンは、歴代のアメリカ大統領やマイケル・ジョーダンなども訪れるビバリーヒルズの超高級ブティックです。アポイント制で、その接客術は驚くべきもの。入店すると、まずはシャンパンがサーブされるのです」

 

シャツは、ターンブル&アッサー。

「生意気だと思われるかも知れませんが、ターンブル&アッサーは、中学生の頃から着ています。母親がブティックをやっていた渋谷西武に、ショップがあったのです。今ではロンドンで買っています。シャツはターンブルか、ユニクロか、どちらかしか着ません。ええ、ユニクロのシャツも、とてもよく出来ていますよ」

なるほど、南里さんは、単にブランドネームに踊らされるタイプではないようです。

_DSC8485

 時計はGショック。これも意外。

「ハリーウィンストンやブレゲなど、時計はいくつか持っていますが、最近はこればかり」

 

ネイビーのシューズは、クリスチャン ルブタン。

「ルブタンにしては地味すぎるデザインなので、売れ残っていたのです(笑)」

 

今でも年に6〜7回は、海外に出かけます。

「ネイビーのジャケットにグレイのパンツが基本です。出張が多いので、毎日同じでも、フケツに見えない格好がいいのです。同じような紺ジャケや白シャツを、何枚も持っています」

_DSC8491

 ビチェリンの本拠地イタリア、トリノのほか、中東カタールにもよく行かれるとか。

「たまたまカフェで話しかけられたカタール人に、日本のことをいろいろ教えてあげたら、なんと彼はカタールの王子だったのです。それが縁で首都ドーハに、カタール初の日本食レストランを出店しました。以来、日本とカタールの橋渡し役をやっています」

現在“在カタール日本国大使顧問”の肩書きもお持ちです。

_DSC8494

 

肩書きといえば、彼はもうひとつ、驚くべきプロフィールを持っています。それは“ライフセーバー”というもの。ビーチをワッチしているアレです。

 

「千葉の勝浦で毎夏、1週間から10日間くらい、ボランティアでライフセーバーをやっています。日焼けしているのはそのせいですね(笑)。以前たまたま、心肺停止に陥っている若者を助けたことがあって、それ以来“救命”ということを真剣に考えているのです。ライフセーバーって、日の目を見ない大変な仕事なのですよ。海にいるのは1年のうち1ヶ月そこそこで、残り11ヶ月は、ずっと辛い練習に耐えている。人命救助のノウハウも、一般にはあまり知られていない。そこで、まったく別の視点から、ライフセービングやレスキュー(人命救助)というものをアピールしたいと思いレスキューパートナー財団を設立しました。例えば、有名なファッション・ブランドとコラボして、ライフセーバーのTシャツを作って、みんなに“カッコいいな”と思ってもらうとか・・。そこから興味を持ってもらえれば、それはそれでいいのです」

 

確かに、世の中に、ライフセービングほど、重要な仕事はないかもしれませんね。卓越したファッショニスタ、そしてヒューマニストでもある南里さんの美学を、ぜひビチェリンにてご体験ください!

新宿店外観

BOUTIQUE INFORMATION

 Bicerin Shinjuku Takashimaya 新宿
Bicerin Metropolitan Theatre  池袋
P.D.R by Bicerin    表参道
Bicerin Midland Square       名古屋
Bicerin Haneda Kin No Tubasa Haneda Airport 羽田
 http://www.bicerin.co.jp/