From Kentaro Matsuo

THE RAKE JAPAN 編集長、松尾健太郎が取材した、ベスト・ドレッサーたちの肖像。”お洒落な男”とは何か、を追求しています!

自分が心からいいと思えるモノを選んできた
小林裕さん

Monday, February 25th, 2019

小林裕さん

 トレメッツォ、PT-JAPAN代表取締役

text kentaro mastuo  photography tatsuya ozawa

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タリアトーレ、PT01、バグッタなどの輸入を手がけられている小林裕さんのご登場です。たったひとりで独立されたのは2005年のこと。以来14年の間で、会社の規模は何十倍にも膨れ上がり、今や最も成功したインポーターのひとつと言われるまでになりました。さぞや商才に長けていると思いきや・・

「初めてピッティに行ったときは、いい服がいっぱいあって、何を買ったらいいのか、まるでわかりませんでした」そうです。

 

「今まで、お金を儲けてやろうと思ったことは一度もありません。というか、『これは売れそうだ・・』と思って仕入れると、必ず失敗するのです(笑)。大事なのは、自分が心からいいと思えるスタイル、モノを見つけることでした」

当時は大勢のお客さんに助けてもらったとか。

「私ひとりしかいなかったので、私が事務所を空けているときは、お客さんが勝手にオーダーシートに書き込んで、電話番までしてくれました」というから、周りからよほど愛されていたのですね。

「その期待に応えるためにも、早くいいモノを見つけようと必死でした・・」

 

こうして見つけた“いいモノ”がこちらです。

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 ジャケットとタイは、タリアトーレ。

「タリアトーレは、着る人を若々しく見せる服ですね。ずばり“モテる服”と言ってもいい。ここの服を着ると、皆ちょっと表情が変わるのです(笑)」

 

シャツはバグッタ。

パンツはPT01。最新の“ジェントルマンズ・フィット”と呼ばれるモデル。

サングラスは、オリバーピープルズ。

 

時計はパテック フィリップのノーチラス5712。最近びっくりするくらいのプレミアムがついているモデルです。

 

シューズは、ジョン ロブの“エドワード”。スマートなシルエットが素敵です。

「このモデルが好きで、色違い、素材違いで何足か持っています」

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タリアトーレ及びPT01は、芸能界一お洒落だと言われる、あの堺正章さんが愛用しているブランドとして知られています。

「タリアトーレは、毎シーズン、15着ほどオーダーを頂いています。堺さんクラスになれば、もちろん最高級サルトの服だって買えるでしょう。しかし、頂点を極めると、そこで止まってしまう恐れがある。その点、タリアトーレの服は、基本はクラシックですが、常にアップデートされている。丈も短いし、シルエットもタイトです」

 

いつも堺さん、小林さん、そしてスタイリストの小川カズさん、三人でにらめっこしながら、次のシーズンの服を決めているとか。

「十代の頃からステージに立ち続けている堺さんは、自分がどう見られるかを知り尽くしている人。長い間、第一線でご活躍なさっているのは、常に新鮮であることを心がけていらっしゃるからでしょう。それがタリアトーレとPTを選んで頂いている理由なのだと思います。本当に光栄なことです」

 

そんな堺さんからは、クラシックカーの楽しみ方も教えて頂いたそうです。

「クルマは大好きでしたが、昔のクルマは、自分にはちょっと敷居が高いと思っていました。しかし堺さんに、『いいから、一緒に楽しもうよ!』と言われてやってみると、これがもう病みつきで・・いい大人が、子供みたいにはしゃいでいる。還暦を過ぎて始めたのですが、『60歳なんて、まだまだこれからだよ』と言われる世界なのです。そうやって年配の人に叱られることって、もうあまりない。嬉しいじゃないですか・・」

 

現在のお気に入りは1957年型 アルファロメオ ジュリエッタ スパイダー。イタリア製の真っ赤なオープンカーです。

「こういうクルマを見ていると、つくづくイタリア人はスゴイと思います。60年も前に、こんなに面白いスポーツカーを発売していたなんて・・。当時の日本でもいいクルマは作っていましたが、あくまでも移動手段の一環でした。しかしイタリアではこの時代から“どう楽しむか”、“どう自己表現するのか”ということに、こだわっていたのです。それは、タリアトーレやPTの服作りにも言えることですね」

 

一番大事なのは「スタイルを持つこと」と再三おっしゃる小林さん。そのスタイルは、確固たるものでした。

 

 

※今回からB.R.ONLINEでも御覧いただけるようになりました!

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