From Kentaro Matsuo

THE RAKE JAPAN 編集長、松尾健太郎が取材した、ベスト・ドレッサーたちの肖像。”お洒落な男”とは何か、を追求しています!

ニコライ・バーグマンさん

Thursday, December 10th, 2020

ニコライ・バーグマンさん

フラワーアーティスト

text kentaro matsuo  photography tatsuya ozawa

  フラワーアーティストのニコライ・バーグマンさんのご登場です。テレビや雑誌などですっかりおなじみのイケメンフラワーアーティストです(身長185cm!  まるでモデルです)

はじめてニコライさんのフラワーボックスを目にしたときは、とても驚いたことを覚えています。今まで花束にするのが当たり前だった生花が、まるでクッキーの詰め合わせのように、お洒落なボックスに入っているのですから。初見はエストネーションでしたが、外国から輸入された商品だと思っていました。その後、日本在住のデンマーク人が日本で立ち上げたブランドだと聞いて、2度びっくりしました。

 

 早いものでフラワーボックスが誕生してから、20年が経ったそうです。先日六本木ヒルズでは、発売20周年を記念したエキシビションが開かれました。草花の枠を超えた、現代アートのごとき作品が、高層ビルの最上階に陳列され、会場はまさに空中庭園のようでした。

「東京で展覧会をするのは、とても久しぶりでした。ヒルズのようなモダンな環境で、はっきりとしたフレームで作品を見せられたのはよかった。モノがキレイに見えますね。しかし普通のアートと違うのは、それらが皆、生きている花で出来ているところです。1日10名ほどがメンテナンスにあたりました。10日間の会期中、花の総入れ替えもしたのです。皆の協力があって初めて出来た展示でした」

(この展覧会は、2021年3月に福岡・太宰府天満宮、2021年秋頃に京都・清水寺でも開催予定)

 ニコライさん自身、ずっと会場にいたそうです。

「毎日朝10時から夕方6時まで会場にいて、毎日来場者の方々とお会いしていました。私のファンは、女性が多いと思われがちですが、実は30代から60代のくらいの男性の方も少なくないのです。本を買ってくれたお客様には、直筆のサインもしました。ひとりひとりの方に『お名前は何ですか?』とお聞きして、それを約2500冊分やりました。ちょっと疲れたな・・(笑)」

 

 フラワーボックスがウケた理由、それは花を気負いなくプレゼントできるからでしょう。花束を持ち歩くのが気恥ずかしいという男性も、ボックスならスマートに女性に渡すことが出来ます。かくいう私も随分と使わせて頂きました(仕事で、ですよ)。

 そんなニコライさんをメディアで拝見する度に、作る花もキレイだけど、着ている服もお洒落だなぁと感心していました。で、今回の取材をお願いしたというわけです

「ファッションは、昔から大好きです。だからファッションの取材が来て、嬉しいですね。花を扱っているだけに、どこかに花柄が入っているものを特に好みます。20代の頃はケンゾーをよく着ていました。昔はヴィヴィッドなカラーが好みだったのです。30代になってからは、だんだんとモノトーンに志向になっていきました。しかし、花柄は相変わらず好きですね」

 ジャケットは、ルイ・ヴィトン。

「これも花柄のようでしょう?」

なるほどモノグラムのエンボス柄がまるで大輪の花のようですね。他にはニール・バレットや、アウターはシックでもインナーが花柄模様のエトロのスーツなどもお気に入りだとか。

 

 ニットは、デンマークのサムソサムソというブランド。

「デンマークでは結構有名なブランドです。デンマーク人のお洒落は、エレガントなジャケットとシャープな靴に、ジーンズを組み合わせるというパターンが多いかな。ジーンズで、全体をちょっとカジュアルにするのです」

 

 トラウザーズは、ロエベ。

 時計は、ウブロのビッグバン。カーボン製で大きなサイズにも関わらず、とても軽いのが特徴です。

「3種類のストラップがついていて、気分によって取り替えることができます。実は時計も大好きで、他には、ロレックス デイトナのブラウンダイヤルやグランドセイコー、タグ ホイヤーなどを持っています」

 

 ブーツは、ジバンシイ。

「LAで見て、どうしても欲しくなって、店員さんに聞いたらサイズ切れ。がっかりしましたが、その後、デンマークで同じものを見つけて手に入れることができたのです。洋服は買うときはメッチャ買いますよ!」

なるほど、ニコライさんレベルになると、物欲も国際的ですね。

 

 ニコライさんは靴マニアでもあり、特に好きなのは、クリスチャン ルブタンとか。

「全部で20足くらい持っています。トレードマークのトゲトゲ付きブーツや蛍光ピンクのスニーカーなどいろいろです。本人が来日したときは、南青山にある私のフラッグシップストアでパーティもしたんですよ」

 今では南青山のフラッグシップストアをはじめ、国内11店の他、LA、デンマーク、ソウルなど世界中で活躍するニコライさん。フラワーアーティストになろうと思ったのは、15歳のときだそう。

「デンマークには、職業体験制度があります。私はコンピュータ関係の事務所、ブラックスミス(馬の蹄鉄職人)、そして花屋へ行ってみました。一番向いていなかったのはコンピュータ、一番楽しかったのは花屋でした。そこで花屋を続け、3年半ほど修業しました。デンマークでは、インターンの間は、国が給金の半分を払うというシステムもあるのです」

そして19歳のときに、初来日を果たします。

「日本には父に連れて行ってもらいました。私の父は鉢物の卸業をやっていて、日本にもよく行っていたのです。かつて流行った赤いポインセチアは、ほとんど私の父が扱ったものです。スペインのテネリフェ島というところで作って、日本で売っていたのです。ところが当時の私は、中国と韓国と日本がゴチャまぜで、日本がどこにあるのかも知りませんでした。まぁ日本の若者が、デンマークがどこにあるのか知らないのと同じです(笑) もちろん日本語もまったく話せませんでした」

 その後、デンマークへ帰国すると、普通の花屋で働き始めました。

「しかし、そこで突然、日本で過ごした日々がすごく楽しかったことに気づいたのです。いても立ってもいられなくなり、ビザを取って1998年に再来日しました。埼玉のハマフラワーとそこが青山に開いたクローレという店で働きながら、日本に住み始めました。しかし最初は大変なことばかりで・・何度もデンマークに帰ろうと思いました。日本語は『JAPANESE FOR BUSY PEOPLE(忙しい人のための日本語)』という本を一冊だけ買って、それで全部覚えました」

とさらりと仰っていましたが、ニコライさんの日本語は誰もが驚くほど上手です。やはりヨーロッパの人は語学に強いのですね、と羨ましげに言うと、

「例えばドイツでは、映画は全部ドイツ語に吹き替えてしまいます。だからドイツ人は英語が下手。しかしデンマークでは英語の映画は英語のままで、字幕をつけて見ます。だから外国語に慣れているのです」

とこれまたさらりと述べられていましたが、日本でも字幕なんですけど・・

 

 そして、2001年にフラワーボックスが大ヒットしたのは、前述の通りです。

 来年には、箱根・強羅に確保した2万坪の敷地に、“Nicolai Bergmann Hakone Gardens”をオープンさせるそうです。

「箱根の大自然をキャンバスに見立て、アトリエ、グラスハウス、隠れコーナーなどを設置しました。メインは地植えではなく鉢物で、毎回違ったテーマで500〜700鉢を並べようと思っています。今までとは、まったく違うニコライ・バーグマンをお見せできると思いますよ」

 

 もうひとつ夢中になっているのが、アートの制作。

「植物や花から広がるアートの世界を追求しています。例えば、花びらを使ったり、花にインクをつけて押したりといった作品を発表しています。これはズッカでプリント柄としても使われたんですよ。他にもヨージヤマモトのGround Yなどもコラボレーションしました。」

「I LIVE IN THE DREAM・・いろいろ手掛けていますが、いつも好きなことをやっているだけなのです」

 八面六臂の活躍とは、まさにニコライ・バーグマンさんのことでしょう。

 さて・・

 帰りの道すがら、撮影を担当した小澤カメラマンが、ふとつぶやきました。

「そういえば・・、ニコライさんってボクと同じ年なんですよね。同じ男なのに、なんでこんなに違うんだろう?」

 う〜ん・・。身長185cm、イケメン、語学堪能、センス抜群、ビジネス大成功・・確かに、同じ男として、神様を恨みたくもなりますよね。私も同様です。しかし、私は小澤くんの写真も、ニコライさんの作品と同じくらい素敵だと思いますよ!(たぶん)

 

 

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