From Kentaro Matsuo

THE RAKE JAPAN 編集長、松尾健太郎が取材した、ベスト・ドレッサーたちの肖像。”お洒落な男”とは何か、を追求しています!

小さい頃から”マーケティング”が好きだった
西田理一郎さん

Tuesday, June 25th, 2019

西田理一郎さん

ディープルート代表取締役社長

text kentaro matsuo  photography tatsuya ozawa

 ディープルート社長、西田理一郎さんのご登場です。西田さんのご専門は“マーケティング(そして投資)”です。よく聞く言葉ですが、いまいちどういった仕事内容なのか、わからない人も多いでしょう。私もそうです。

「マーケティングとは、一言で言うと“どうやったらモノが売れるのか、ビジネスの仕組みと価値”を考える仕事です。例えば・・買い物はどの順番でするのが楽しいか、人が何に興味を持って流行をつくるのか、なぜこの店だけが繁盛するのか、なぜみんな同じキャラクターのついたランドセルを欲しがるのか、そんなことの理由を考えるのが大好きでした・・これがまさにマーケティングです。私は小さい頃から、そういうことを考えるのが大好きだったのです」

 

なるほど、確かに何気なく暮らしている生活を、そういう視点でみると気づくことがありますね。

「現状を分析して、未来に何が起こるのかを予測する仕事」ともいえるそうです。いま夢中になっているのは、最先端技術のロボットやドローンだとか。

「ドローンには、その黎明期から注目していました。昔は私のオフィスのある銀座あたりでも飛ばせたんですよ。いまは法律が変わってできなくなってしまいましたが。ドローンの可能性は無限です。震災や火災現場では、被害状況を確かめるためにドローンを飛ばしたり、空撮やインフラ点検などで見えないものを見える化するビジネスを生み出してきました。今後未開の地アフリカなどの、緊急医療の血液輸送やモビリティとしてのドローンに大注目しています」

スーツはミラノの「イタリアの友人に連れて行ってもらったテーラー」にて作ったもの。生地は英国のテーラー&ロッジのモヘヤ混です。

「英国の生地をイタリアのテーラーで仕立てるのが好きですね。昔はナポリにハマって、ロンドンハウスやピロッティなどに行ったりしていました。英国の公正さとイタリアの美的の融合は実に面白い表情をみせます。ミラノでは、セレクトショップもよく覗きます。ブライアン&バリーやエラル55が行きつけです。日本のセレクトショップは・・マーケティングはよく出来ているのですが、80点主義で、“とりあえず理屈抜きでかっこいい!”みたいな面白いものがあまりないですね」

 

プライベートで着るものに関しては、仕事とは正反対の選び方のようです。

「いわゆる“ファット・ア・マーノ”といわれる手縫いの服が大好きなんです。自分だけの1着をオーダーして、それが出来上がってくるのを待っている間は、至福の時ですね。靴や革製品の色調の議論も楽しい時間です」

 

タイは、ジエッレ・ミラノビンテージ

シャツはアットリーニ。

チーフはロロ・ピアーナ。

 時計は、ブレゲのクラシック・クロノメトリー 7277。

先日はランゲ&ゾーネのグランド・ランゲ1をされていたので、「クラシック系の時計がお好きなのですね?」と伺うと、「リシャールやロジェもしますよ」とさらり。「次はトゥールビヨンを狙っています」とも。

 

シューズは、サントーニ。スエードとカーフのコンビのダブルモンクとは、ちょっと珍しいデザインです。

さて、ドイツ時計の話が出ましたが、神戸生まれの西田さんは、一時ドイツに暮らしていたことがあるそうです。

「父の仕事の関係でドイツにはよく行っていました。彼は大学でドイツ文学の教授をしていたのです。家の本棚にはハイネ、リルケ、ゲーテなどが並んでいました。日本人ながら半分ドイツ人のような人で、よくドイツ語で寝言を言っていました(笑)」

 

対する母上は、フランス派だったとか。

「ヨーロッパ文化、文学、美術を愛し、バカンスはヨーロッパの田舎、家庭料理もポトフや牛頬肉の赤ワイン煮込みが多かったですね。ワールドカップの時は、ドイツとフランスが勝った負けたで大騒ぎ。ふたりとも日本人なのに、日本チームは出ていることすら知らないのです(笑)。ちなみに私はイタリア派になって、両親から“チャラい”とバカにされました(笑)」

 

なるほど、実にユニークなご家庭です。そんな環境がインターナショナルで優秀なマーケッター、西田さんを育てたのでしょう。

 

 

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