From Kentaro Matsuo

THE RAKE JAPAN 編集長、松尾健太郎が取材した、ベスト・ドレッサーたちの肖像。”お洒落な男”とは何か、を追求しています!

バブルに教えられた、知ってもらう楽しみ
俣木昌己さん

Thursday, November 10th, 2016

俣木昌己さん

イン アンド ヤン代表取締役

text kentaro matsuo photography tatsuya ozawa

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PR会社であるインアンドヤンを経営なさっている俣木昌己さんのご登場です。お会いするなり開口一番、

「松尾さん、ひどいなぁ。私にはタイドアップを要求しておいて、自分はその格好ですか!」

取材時に私が着ていたのは、Tシャツに短パン。まるで裸の大将です。いやぁ、本当にすみません。暑かったものですから・・・

 

俣木さんは24歳で独立してから、ありとあらゆる会社・商品のPRを手掛けてこられました。かつてはラッキーストライク、レミーマルタン、NTT、ナムコ、ゼニア、トッズ、スカーゲン、最近ではスタインウェイ、クラブツーリズム、阪急メンズ、某メガバンクなどなど・・その数は枚挙に暇がありません。

「私が手がけてきたのは、商品ローンチの仕事が多いのです。誰も知らないモノを、たくさんの人に知ってもらうのが楽しいですね。売り上げが伴なうと、もっと嬉しい(笑)」

 

本日はご自分自身をPRです。

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スーツは、広尾のセレクトショップ、ピッコログランデでオーダーしたもの。

フランネル調の素敵な生地はカチョッポリ。素敵なご夫婦お二人でやっている、知る人ぞ知るお店です。

「以前の事務所の真向かいだったので、通うようになりました。プライベートでもお付き合いがあって、食事に行ったり、ゴルフに行ったりしているんです。今日のコーディネイトもアドバイスしてもらったんですよ」

 

タイとシャツは、サルヴァトーレ・ピッコロ。 チーフは、ロジ&ゲッツィ。

やはりピッコログランデにて購入したもの。

「これは、今回の撮影のために新調したんです」

すいませんねぇ・・

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時計はパテック フィリップのカラトラバ ポインターデイト。日付を示す赤い針が特徴です。文字盤の色に合わせて、ストラップもネイビーになっているところがミソだとか。

 

シューズはサントーニ。リザード遣いが上品でお洒落。これもピッコログランデで買ったもので、

「お店の人には、『ちゃんと靴下を履いてくださいね』と言われました(笑)」

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東京生まれの俣木さんですが、幼い頃は喘息がひどく、キレイな空気を求めて、鹿児島・指宿へ移住されたそうです。

「ファッションは大好きだったんですが、指宿には学生服を売っているような店しかない。しかしホテルや旅館はたくさんあったので、バイトしまくって、そのお金を全部洋服へつぎ込んでいました」

 

そのお陰もあって、ある日鹿児島の街を歩いていたら、雑誌ホットドッグプレスの街頭スナップに声をかけられて、写真を撮られました。掲載号を見てみたら、なんとグランプリになっていたそうです。

「これが嬉しかったですね。初めて自分の服を人にホメられた」

 

それから俣木さんのバブル時代が始まります。

「東京に戻って、空間プロデューサーの山本コテツさんの下で働くことになりました」

山本コテツさんは、かつてエムザ有明やADコロシアム、トゥーリアなどのクラブを手がけた、まさにミスターバブルのようなお方です。

「もう毎日すごかったですよ。当時は皆現金じゃないですか。1日の営業が終わると、机を挟んで座っていた前の人の顔が、札束の山で見えなくなった(笑)」

 

すごいなぁ。実は俣木さんと私は同い年なのですが、バブル真っ盛りの頃、私は傾きかけた出版社におり、「バブルって何だろう?」と思いながら、手取り11万円の月給で必死に働いていました。あ、ちなみにボーナスは5万円でしたよ(笑)

 

全く違う人生を歩んできた二人ですが、同い年というだけで、なんとなく安心できますね。今度は私もタイドアップしてきますから、また飲みに行きましょう。そしてファッションの話をしましょうね!