From Kentaro Matsuo

THE RAKE JAPAN 編集長、松尾健太郎が取材した、ベスト・ドレッサーたちの肖像。”お洒落な男”とは何か、を追求しています!

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田野浩志さん

田野浩志さん

guji代表取締役

text kentaro matsuo  photography natsuko okada

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 2006年に京都にてオープンした第1号店を皮切りに、現在では全国に9店を構えるguji/ring(グジ/リング)の代表、田野浩志さんのご登場です。いま急成長しているショップの社長ということで、もっとギラギラした感じの方を想像していましたが、昨年初めてお会いして、そのイメージは180度変わりました。とても温和でユーモア溢れるキャラクターなのです。

 

「関西の出身なので、どこか“三方よし”(近江商人の心得を説いたもの)を目指しているのかもしれません。つまり“売り手よし、買い手よし、世間よし”、すべてが丸く収まるような商売です。以前は『成功していい生活をしたい』とか『ライバルを蹴落としてやろう』と思っていた時期もありましたが、今ではメンズ・ファッション業界全体を盛り上げていきたいと思っています」

 

田野さんはもともと、シップスのご出身です。大学生時代より京都のシップスにてバイトを始め、20代にして店長にまで登りつめました。私が「相当なやり手だったのですね」と聞くと、

 

「セールスについて言えば、そこそこは売る方でしたが、決して売り上げが突出してよかったわけではありません。ただ、少しだけ世渡り上手だったのかもしれません。当時のファッション業界にはコワイ先輩たちがたくさんいて、若い連中は皆ビビっていましたが、そういう人たちと付き合うのは得意でした」

なるほど、人付き合いって、仕事がデキることと同じくらい大切ですよね。 そんな“好感度”を大切にする姿勢は、着るものにも表れています。

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オリジナルのシルク混スーツ¥120,000、ジレ¥35,000 、タイ¥24,000 all by guji

スーツは、gujiのオリジナルで、リングヂャケットにて作ったもの。

「リングヂャケットの大定番である184というモデルを、guji風に、ちょっとシャープにしたものです。素材はカルロ・バルベラのシルク混で、ほんのりとした光沢があります。世間では、英国調の渋い服がトレンドですが、お客さんからは、『もう少し、艶っぽいものが着たい』という声もよく頂くのです。そこでこのスーツを作りました」

 

シャツは、ルイジ ボレッリ。

「このところ、ピンホール・カラーやタブ・カラーを着ることがままあります」

 

タイは、アット ヴァンヌッチ。フィレンツェ発のネクタイ・ブランドです。

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 ブレスレットはエルメス。

「その昔、シップスの社員旅行でハワイへ行った時に買いました」

社員旅行でハワイとは、羨ましい限りです。

 

指輪はカルティエの3連とgujiオリジナルのカレッジリング。

時計はロレックス。

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シューズはオールデン。

「オールデンは大好きで、シップス時代には随分と集めたものです。一時、12〜3足は持っていました。しかし、起業するときにお金がなくて、全部ヤフオクで売ってしまいました(笑)」

ちらりと見えるソックスはパンスレラ。なんとラメ入りです。

 

「ウチの店のテーマは、イタリアらしい色気と艶を大切にすることです。ですから、こういった一見コンサバな装いでも、シルク入りのスーツやサテンのタイ、コードバンの靴などで、ちょっとした華やかさを演出します」

 

インタビュー中もひっきりなしにお客さんが出入りしており、その度に田野さんは席を立って、丁寧に挨拶をされていました。それぞれの人の名前と近況を覚えておられ、関西弁でのジョークも交えつつ、話が弾みます。田野さんと話しているときのお客様は、笑顔が絶えませんでした。

 

gujiの躍進の秘密は、この方の傑出した“人当たりのよさ”にあるのだと思いました。

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guji TOKYO
〒106-0032
東京都港区六本木7-5-6 KCテラス1F
Tel:03-6721-0027
https://www.guji.jp/

マリオ・グリアリオットさん

スローウエアCEO マーケティング&リテール

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 もう20年以上も前のことになりますが、私がメンズ・イーエックスという本の創刊に携わっていた頃、メンズ・ファッションの世界にも、大きなターニングポイントが訪れていました。

それまでパンツといえば、タック入りばかりだったのに、ノープリーツのスリムなパンツが現れ、新しいモノ好きの間で人気が出始めていたのです。私も最初は、「こんなモノ穿けるわけがない」と思っていましたが、いつの間にか慣れてしまい、気がつくと、ノープリーツが当たり前になっていました。そのスリム・パンツの代表的ブランドが、インコテックスでした。

 

そして今、パンツ業界は再び変化の時を迎えています。皆さんご存知の通り、プリーツ入りのパンツが、再び人気を博しているのです。

 

「ずっとスリムなシルエットが続いてきましたが、ここ最近はルーズ・フィットのプリーツ入りパンツが人気です。インコテックスにおける現在の比率は、ちょうど半々くらいでしょうか? この流れは、どんどん加速されるでしょう。もっともわれわれは、随分と前から、プリーツ入りのパンツを作っていたのですが・・」

 そう語るのは、インコテックスが所属するスローウエア・グループにて、2009年より、マーケティングとリテールのCEOを務める、マリオ・グリアリオットさんです。どうやら、この分野でも、インコテックスはリーディング・カンパニーとなりそうです。

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スローウエアは、インコの他に、ザノーネ、モンテドーロ、グランシャツと、合計4つのブランドを擁しています。

「それぞれのブランドは独立していますが、うまくコーディネイトできるように考えられているんです。中心となるコンセプトは“タイムレス”ということですね。とことんクオリティを追求して、長く着られるものを提供しています」

ニットは、ザノーネ。ウール70%、カシミア30%の素材を使っており、素晴らしいタッチを楽しめるそう。

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メガネは、バートン ペレイラ。オリバーピープルズの元社長が立ち上げたブランドです。

「買ったのは地元のミラノの専門店」と仰っていましたが、よく見てみると“メイド・イン・ジャパン”と書いてあって、ご本人もびっくりされていました。

 

時計はジャガー・ルクルトのレベルソ。奥様からのプレゼントだそう。

「裏蓋には、妻からのメッセージが書いてあるんだ。でも何て書いてあるかは、ヒミツだよ(笑)」

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パンツは、もちろんインコテックス。 “ヴァーヴ”と呼ばれるラインのもので、贅沢な素材とサルトリアルなテクニックが使われています。タック入りでウエスト周りにはゆとりがありますが、裾はスリムという今風のシルエット。

 

コードバン製のシューズは、オールデンと“ザ スローウエア ストア”のダブルネーム。六本木ミッドタウンに位置するストアには、スローウエアのブランドのすべてが揃っています。

 

なるほど確かに、各アイテムのサイズ感やカラーバランス、そしてテイストが揃っていて、違うブランドであるにもかかわらず、うまくコーディネイトできそうです。

 

ところで、マリオさんの奥様は、某ファッション・ブランドのPRとマーケティング担当として働いています。

「同じ業界にいると、家庭内でも、いろいろと話が合うからいいですね。しかし、それがストレスになることもあるけれど・・・」

実は私自身の妻も、某ブランドのPR&マーケを担当しており、しかも以前は、マリオさんと同じ時期に、同じ会社(イタリアの某ファッション・ブランド)で働いていたことがあります。そのことを告げると、

「いやぁ、世界って狭いねぇ〜」と驚かれていました。

ヨメと同じ業界で働くことの喜びとストレスについて(特に後者)、今度じっくりと話をしてみたいと思った次第です。