From Kentaro Matsuo

THE RAKE JAPAN 編集長、松尾健太郎が取材した、ベスト・ドレッサーたちの肖像。”お洒落な男”とは何か、を追求しています!

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鏡陽介さん

鏡陽介さん

 三越伊勢丹 カスタムメイド バイヤー

text kentaro matsuo  photography tatsuya ozawa

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 昨今「洋服が売れない」という声を、そこかしこで聞きます。しかしTHE RAKEが扱っているような、超高級テーラードの世界は真逆です。私の周りにいるテーラーたちは、「注文が多すぎて、もう作るのが追いつきません!」と皆嬉しい悲鳴をあげています。

 

そこで今回のご登場は、三越伊勢丹のオーダーメイド部門にてバイヤーをなさっている鏡陽介さんです。新宿の伊勢丹メンズ館は、ルビナッチ、ヘンリープール、チフォネリなどの大御所テーラーや、イタリアの“知る人ぞ知る”サルトとコラボを連発し、いま実に元気がいいのです。また専属テーラーの山口信人氏によるラ スカーラも好評です。それらの仕掛け人が、鏡さんなのです。

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スーツは、ラ スカーラ。ヴィンテージ風の生地は、伊勢丹オリジナルです。

「ウール×リネンを原料の段階で混ぜて、4プライのS強撚をかけたモノです。そもそも・・」さすがに生地の話になると、弁舌がぜん熱を帯び、止まりません。

 

タイは、ドレイクスとリッドテーラーのダブルネーム。

シャツはイセタンメンズのオーダーでアメリカラインと呼ばれるもの。

「アメリカ風のレギュラーカラー・シャツです。往年のラルフ ローレンとかブルックス ブラザーズなどが作っていたようなシャツをイメージしました。ジャンニ・アニエッリが着ていたような・・」

 

チーフはブルックス ブラザーズ。

サウペンダーはアルバート・サーストン。

「ベルトはしません。伸び縮みする素材だと、サスペンダーでも肩が凝りませんよ」

 

メガネはオリバーピープルズ。

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 時計は、ブライトリングのスーパーオーシャン。奥様から結納返しとして貰ったものだそうです。

「以前違う時計をしていたら『無くしたの!?』と怒られました。一生これ以外つけられません・・」

クロムハーツのリングも、結婚前に奥様からプレゼントされたもの。

鏡さんは結婚してもうすぐ12年になるそうですから、愛妻家の鑑(鏡?)ですね。

 

ウォレットチェーンはアンドレア ダミコ。先端にはご自宅のカギがつけられています。

「酔っ払って、しょっちゅうカギをなくしていたのです。だから、こうすれば落とさないと思って・・まるで中学生ですね(笑)」

 

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シューズはオールデン。ミラノのERAL55で買ったユーズド品です。

「いわゆるB品で、ライニングの処理が悪くて、足に刺さるのです。履くたびに出血していました(笑)。修理して、ようやく直りましたが」

 

コーディネイトには、日本、イタリア、アメリカ、英国が、すべてバランスよく取り入れられています。

 

「あまりひとつのテイストに固執しないで、それぞれのモノのよさを紹介していきたいですね。例えば、ナポリのハンドメイドのスーツはとてもいいけれど、アメリカ製のマシンメイドだって、また違った魅力がある。私はどちらも素敵だと思います」

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そんな視点は、長かった海外生活で培われたもののようです。

「2〜6歳までロンドン、9〜12歳までシカゴで暮らしました。モデルのデヴィッドの故郷の近くです(笑)。現地校だったので、クラスにはアフリカ系、アジア系、ユダヤ系など、いろいろなバックグラウンドの生徒がいました。例えばインド人の友人は、算数がよくできるんです。アジア系の友人は絵を描くのがうまい人が多かった。それぞれの科目によってクラスが変わり、皆それぞれのよさを認め合っていました。その経験から、Aはよくて、Bはダメだと、決めつけず、物事をフランクに考えられるようになりました」

 

ただし、アメリカでは一つだけNGがあったそうです。

「のび太くんのような、短めの半ズボンは、現地では絶対に穿かないのです。アメリカ人はバミューダなんですね。『男のくせにホットパンツを穿いている』と笑われました。ですから、インターナショナルなルールを知ることも大切です」

 

なるほど、自由な視点とルール、男のお洒落にはどちらも不可欠ということのようです。

 

大西慎哉さん

大西慎哉さん

ハケット ジャパン セールスマネージャー

text kentaro matsuo photography tatsuya ozawa

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 ハケット ジャパンの大西慎哉さんのご登場です。184cmの高身長に、ブリティッシュ・トラッドが、いつもよくお似合い。いま日本で“ミスター・ハケット”といえば、彼ですね。

「学生時代から洋服は大好きで、DCやイタリアンなど、いろいろなものを試していたのですが、男の服は突き詰めていくと、どうしても英国になる。しかし、当時の日本で手に入る英国ブランドは、どれもライセンスばかりで、私が本や雑誌で接していた英国物とは全然違ったんです。そんな時にハケット ロンドンと出会って、『これぞ本物だ!』と思いました」

 

以来、ずっとハケット一筋かと思いきや、アクアスキュータムやドン小西さん率いるフィッチェ・ウォーモなどに在籍されており、ハケットのスタッフとなったのは、ハケットジャパン社設立メンバーとして、2008年からだそうです。

「ついに、念願叶ってハケットという感じですね。パッと見は普通なんだけど、よく見ると歴史を感じさせるディテールが堪らない・・この良さを、多くの人に伝えたいです」と意気軒昂です。

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スリーピース・スーツは、もちろんハケット ロンドン。

「オーダー品で、フォックス・ブラザースの“レジェンズ・イン・フランネル”というコレクションで仕立てています。これはウィンザー公やフレッド・アステアなど、歴史上の洒落者が愛していた柄を復刻したもので、私がいま着ているのはチャーチルの復刻ファブリックで仕立てたものです」

1つボタン、ターナップカフ、2個ずつ配された袖ボタンなど、見どころいっぱいのスーツです。

 

タイとカフスもハケット ロンドン。チーフはターンブル&アッサー。

シャツはジャーミン・ストリートのヒルディッチ&キーでオーダーしたもの。

「背が高くて、手が長いので、オーダーでないと合わないのです」

うらやましいですねぇ。

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2つのシールリングは、RUST。日本人による在英国ブランドで、デザイナーの内海さんと初めての出会ったのは、ポートベローのマーケットだったそうです。

「家族と私のイニシャルを図案にしたものが彫られています。例えば、大西→O(オー)→OAK→樫の木といった具合」。なるほど、素敵なアイデアですね。

時計はアスプレイです。

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 シューズはジョージ・クレバリー。

そしてご自慢のバッグはグローブ・トロッターです。

「もう10年くらい使っています。内側にペンや小物を収納できるようになっているので便利です。ハケットやグローブ・トロッターのレアなステッカーが貼ってあります」

 

すべてのアイテムが英国ブランドでした。流石です。

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取材当日にわかったのですが、大西さんと私は二人とも1965年生まれ、同じ年でした。大学時代はバブル真っ只中で、ブリトラに落ち着く前は、フィッチェ・ウォーモ、アーストン・ボラージュ、ルナ・マティーノ(知っていますか?)、そしてヴェルサーチやアルマーニなどを愛用していたそうです。

大学時代には六本木で、学生を集めて大規模なパーティを企画したりもしていたそうですから、当時は相当な遊び人ですね。

(ちなみにその頃の私は古着を着て、家で一日中テレビゲームをしていました。六本木がどこにあるのかも、よく知りませんでした)。

 

現在では、どこから見てもブリティッシュ・ジェントルマン然とした大西さんですが、その中身は、意外と“ちょいワル”かも知れないと思った次第でした。