From Kentaro Matsuo

THE RAKE JAPAN 編集長、松尾健太郎が取材した、ベスト・ドレッサーたちの肖像。”お洒落な男”とは何か、を追求しています!

Posts in the category

MENU

木下慶仁さん

木下慶仁さん

 

シャロン/株式会社イプシロン・シー・カンパニー 取締役社長

 

text kentaro matsuo photography natsuko okada

_UG20613

前回ご登場の山本直忠さんに続いて、同じく骨董通りのセレクトショップ、シャロンの木下慶仁さんのご登場です。山本さんが“代表取締役”、木下さんが“取締役社長”。思わず「どっちが偉いのですか?」と突っ込むと、「どちらも同じ、共同代表ということなのです。二人一心同体でやろうと思って、こういう形にしました」とのお答え。

 

意を決して始めたシャロンでしたが、オープン当初は苦労も多かったようです。

「はじめはマシンメイドも扱っていたのですが、全然売れませんでした。むしろ、ハンドメイドのものばかりが売れました。価格が高い方から売れていくのです。また直輸入にこだわっていたので、扱っていたのは知名度のないブランドばかり。最初の頃は、『これ、どこのブランドですか?』とよく聞かれました。しかしこれも、本当に品質がいいものだと、徐々に受け入れて頂けました。そこでわかったことは、お客様は、高くても無名でも、本当にいいものを欲しがっているということです」

_UG20624

 スーツは、サルトリア・ソリート。シャロンが今回日本ではじめてプレタラインを扱うことになったナポリのサルトです。

「オーダースーツは4、50着ほど持っています。初めて商品を仕入れるときには必ず自分で作ってみるので、そんな数になってしまいました。色は紺無地ばかりです。同じ生地で作ると、それぞれの特色がよくわかるのです。今まで作った中でのベストスリーが、今ウチが扱っている、シャマット、直井茂明、そしてこのソリートなのです」

そういえば、ソリートはウチのフクヘン(=服変態)フジタも愛用しています。

 

タイはフランチェスコ・マリーノ、シャツはモンテサーロ。どちらもナポリのメーカーです。シャロンは本当にナポリに強いですね。

_UG20629

 チーフと時計をしないのは、シャロン流のスタイル。

「昔はAPとか持っていたんですけど、なんだか面倒になってしまって・・」

 

ベルトはティベリオ・フェッレッティ。トスカーナのベルト屋さんです。

 

シューズは、丸山貴之さんが手掛けるイル・チェーロ。

_UG20633

確かに、日本ではあまり馴染みのないブランドが多いですが、シャロンのHPでは、それぞれのブランドに丁寧な解説が付いているので、一度覗いてみてください。勉強になります。

http://sharon-shop.jp/

私がブログの取材をする際に、必ず聞くことがあります。それは、

「小さい頃、どんな子供でしたか?」という質問です。今まで何人もの人にインタビューしてきましたが、子供の頃のことを聞くと、その人の“本質”が、見えることが多いと思ったからです。

そこで、木下さんにも同じ質問をしましたが、彼は「とても貧乏な子供でした」と即答。「どの程度、貧乏だったのですか?」と続けると、「学校と家との間にある、甘い蜜を吸うことができる花が、全部なくなるくらい・・(笑)」というお答え。ファッション界の人は見栄っ張りが多いので、こういう正直な返答をした人は初めてでした。

 

木下さんは量販店から大手メーカー、セレクトまで様々なお店で販売の経験を積んできましたが、いつも「ナンバーワン・セールスになりたい!」と思ってやってきたそうです。事実ナンバーワンなることも多かったとか。「その秘訣は?」と問うと、「とにかく相手に何か一つ感動して帰ってもらうことを心がけていました。買わせようと思ったことはありません」と。

 

商売に対する情熱、そしてとびきりのセンスを持つシャロンは、これからきっと伸びていくと思います。

山本直忠さん

山本直忠さん

シャロン/株式会社イプシロン・シー・カンパニー 代表取締役

text kentaro matsuo photography tatsuya ozawa

_UG_0201

 東京青山・骨董通りのセレクトショップ、シャロンをご存知でしょうか? オープンは3年ほど前なので、まだまだ新しいお店ですが、独自の美学と品揃えで、着々とファンを増やしているお店です。そのシャロンの代表取締役をお務めなのが、今回ご登場の山本直忠さんです。

「とにかく手縫い、手作りということにこだわっています。扱っている品の9割が直輸入によって仕入れたブランドです。代理店を介さないので、中間マージンがなく、値段も3割ほど安いと思いますよ」

 そういう山本さんの装いは、以下の通りです。

スーツは、日本人テーラー直井茂明さんのス・ミズーラ。弱冠34歳の新鋭サルトリアで、シャロンのサルト部門を手掛けています。素材はアリストンのシルク×カシミア、芯材はすべてイタリア製を使っており、どちらかといえば、ナポリ調のスタイル、軽く、動きやすいのが特徴とか。ペコラ銀座出身ということで腕は一流ですね。

_UG_0248

 シャツはG.イングレーゼ。かのジャンニ・アニエッリも愛したプーリアのカミチェリア。

タイはジュスト・ビスポーク。リヴェラーノなどで経験を積んだ、ルカ・ジュスト氏が立ち上げたブランドです。

_UG_0259

 リングはフェデリーコ・ブチェラッティ。細かい彫金模様が素敵です。

 9分仕立てのハンドソーンシューズは、イル・チェーロ。靴職人の丸山貴之さんがつくるシャロンオリジナルのパターンオーダーブランドです。丸山さんの師匠は津久井玲子さんで、津久井さんの師匠は関信義さんですから、関さんの孫弟子ということになりますね。日本の手作り靴業界は、本当に層が厚くなったものです。

_UG_0255

以上のブランドは、すべてここシャロンで扱っているそうです。あまり他店では見かけないブランドが取り揃えられていますから、シャロンは貴重なお店といえますね。

 

「私はブルーが好きで、自分でも似合う色だと思っています。ですので、コーディネイトはいつもブルー系でまとめることが多いですね。着ていると落ち着きます。パートナーの木下は茶系が好きなので、差し詰め二人で”アズーロ・エ・マローネ(青と茶、イタリアの代表的なカラーコーディネート)”ですね(笑)」

 

お気づきのように、山本さんは時計をしていません。そしてポケットチーフもしていません。

「時計は、しないですね。なんとなくですが。それからポケットチーフもしません。ウチのスタッフは皆そうです。チーフをすると、どうしても装飾的になりすぎるような気がして。スーツが本当にいいものなら、チーフはいらない

のではないでしょうか?」

なるほど、これは“時代の空気”といったものかもしれません。そういえば、私も最近では、あまりポケットチーフをしなくなりました。

 

何とシャロンには、“代表取締役”である山本さんの他に、“取締役社長”の肩書きを持つ、木下慶仁さんという方もいるのです。共同代表という形なのですね。この木下さんは、かつて私も非常にお世話になり、このブログとも深く関わっている方なので、次回ご登場頂く予定です。2回続けてご覧になれば、アズーロ・エ・マローネ・ブラザーズを実感して頂けるでしょう。