From Kentaro Matsuo

THE RAKE JAPAN 編集長、松尾健太郎が取材した、ベスト・ドレッサーたちの肖像。”お洒落な男”とは何か、を追求しています!

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小暮昌弘さん

小暮昌弘さん

株式会社LOST & FOUND代表

interview kentaro matsuo photography tatsuya ozawa

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エディター&ライターとして、幅広くご活躍されている小暮昌弘さんのご登場です。小暮さんといえば、私の中では、メンズ・ファッション誌の草分けである『メンズクラブ』の印象が強いですね。版元である西新橋の婦人画報社に入社されてから、25年間に亘って同誌に在籍され、最終的に編集長も務められました。

今のトガッチがやっているメンクラもなかなかですが、私としては、往年のアメトラを標榜していたメンクラに、やはり親しみを感じます。

 

「昔の雑誌業界には、まだ徒弟制度のようなものが残っていて、とにかく先輩たちが怖かった。いつも怒られてばかりいましたね」

 

実は私のキャリアのスタートも、『男子専科』という古いメンズ誌で、編集部は西新橋にあり、メンズクラブの編集部は目と鼻の先でした。

昔の新橋界隈の話をしてみると、通っていた喫茶店まで一緒で、懐かしい気分になりました。会社は違えど、小暮さんは私にとって、同じ土地、同じ業界で生きてきた、よき先輩といえます。

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ジャケットは、リングヂャケットのオーダーメイド。

「10年ほど前に、当時リングの専務だった緒方さんに作ってもらったものです。一見、三ツ釦段返り、センターフックベントといった典型的なアイビースタイルですが、フロントダーツや飾りステッチも入っています。使われている生地は、打ち込みのしっかりした英国製です」

 

シャツはブルックス ブラザーズ。

「UAの鴨志田さんが、昔のブルックスのボタンダウンをリメイクさせたものです。今のものと比べると、フロントボタンの数が少なく、胸ポケットがありません。ポール・キアーズという服飾評論家によると、ブルックスのBDにポケットが付いたのは、1960年代だそうですから、これはそれ以前のスタイルということになりますね」

さすがに、ファッションに対する造詣は、ハンパじゃありません。私のようなエセ・ファッション・エディターは、ついて行くのがやっとです。

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メガネはオプティシアン・ロイド。レンズが跳ね上げ式となっており、遠近両方を見るのに便利だとか。この手のデザインで、跳ね上げ式は珍しいですね。

 

タイはドレイクスがダニエル・クレミュのために作ったもの。

 

時計もダニエル・クレミュが別注した、特製のロレックス。これはダニエル・クレミュ本人からプレゼントされたものだそうです。デイト表示の文字色が、黒→赤→黒→赤と、交互に変わるようになっています。

「初めてフランスへ行って、最初に取材したのが、ダニエル・クレミュだったのです。以来今でも親交が続いています」

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ブラックのパンツはプラダ。私が

「トラッドばかりではなく、モード系ブランドもお召しになるのですね」と聞くと、

「プラダは大好きで、よく買っていました。最近では、コム デ ギャルソンやkolorが多いですね」とのお答え。

 

シューズはオールデンの990。

「オールデンは20足ほど持っています」

 

「ネイビーブレザーには、普通グレイのパンツを合わせますが、今日のポイントは真っ黒のパンツを合わせたところです。トラッドばかりではつまらない。編集者なんだから、どこかに遊び心がないと」

なるほど、編集者として勉強になります。

 

小暮さんの息子さんは、お二人ともすでに成人され、どちらもファッション関係の仕事に就かれています。

「家では息子たちと、ファッションの話ばかりしています。実はkolorは、息子に薦められたんですよ」

 

親子で共通の趣味・仕事があるなんて、羨ましい限りです。ファッションのみならず、成功する子育てについても、お教え願いたいと思いました。

細川貴志さん

細川貴志さん

江戸蕎麦 ほそ川 店主

interview kentaro matsuo photography tatsuya ozawa

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  服飾評論家の池田哲也さんから電話があり、以下のような会話をしました。

 

「松尾さん、お洒落な人を探していると言っていましたよね。ものすごくお洒落な人がいるんです」

「どのようなご職業の方ですか?」

「そば屋さんです」

「え?」

「先日のミシュランのパーティで、その方と一緒だったのですが、とにかく飲食関係の人とは思えないほどお洒落なんです。ぜひ取材したください!」

 

というわけで、『江戸蕎麦 ほそ川』の店主、細川貴志さんのご登場です。お生まれは葛飾区・四つ木ですが、初めての店は埼玉にて開業し、12年前に東京へ戻って来ました。ここは泣く子も黙るミシュラン・ガイド東京にて、そば店として8年連続で星を取り続けている名店なのです。今では日本中の人が、ほそ川のそばを食べに、両国を訪れます。

「峰竜太さんはよくいらっしゃるね。抜群にお洒落なので、ついつい洋服ばかりを見てしまう。タモリさんは、せいろとかけと両方頼む。粋な人だと思ったね」

 

私は失礼ながら、そば屋のご主人というのは、なんとなく作務衣などを着ているようなイメージを持っていたのですが、細川さんにお会いして、考え方が180度変わりました。

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カシミアウールのスーツはブルネロ クチネリ。東京プリンスにて行なわれた、今年のミシュランの受賞パーティに着ていったものと同じだそうです。

「クチネリはよく買うね。デザインと着心地の良さが好きなんだよ」

どちらかというとジャケット+パンツのスタイルが多いという細川さんは、テーラードはアットリーニ、カジュアルはロロ・ピアーナ、ジーンズ系はPTがお好きだそう。

 

シャツはコスタンティーノ。タイはペトロニウス。どちらも池田さんからのプレゼントだそうです(ちなみに池田さんは、やたらと人に洋服をプレゼントする癖があります。私も以前古着のジャケットやネクタイを頂きました)。

 

ラペルに差したトンボのピンは、「以前、神楽坂のどこかで」買ったもの。

「男にとって、トンボって縁起がいいものなんだよ。よく浴衣の柄なんかにもなっているでしょ。上昇のシンボルだからね」

なるほど、このへんの感覚は、江戸っ子ならではなのでしょう。

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時計はパテック フィリップのカラトラバ。96ではないところに、こだわりを感じます。ちなみにカジュアル用には、ヴァシュロン コンスタンタンのオーバーシーズ クロノグラフをご愛用。

ジョドファー・ブーツは、山口千尋さんのギルド・オブ・クラフツにてオーダーしたもの。他に編み上げのブーツもお持ちだとか。

「テレビで山口さんのことを見てさ、いいなと思って、すぐに浅草の店へ買いに行ったんだよ。編み上げのほうは、ルシアン・ペラフィネのブルゾンにジーンズといった格好に合わせているかな」

うーむ、そのチャレンジ精神、お見事です!

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「子供の頃にマンボズボンが流行ってな。小学生のくせに、ズボンの先っちょを、細く直して履いていたよ。布団の下にズボンを入れて、寝押ししたりしてな」

細川さんは、昔から洋服が大好きだったようで、今でも唯一の趣味道楽だとか。

「『いい洋服を買いたいなぁ』と思って、一生懸命仕事をしてきた。ひとついいものを買うと、それに合わせて、また他のいいものが欲しくなる。この世界はキリがないからな。でもそれが、いい仕事のコヤシになるんだよ」

 

細川さんがおっしゃると、おもわず「深イイ!」とレバーを倒したくなりますね。さすがミシュランの星は、伊達ではないようです!