From Kentaro Matsuo

THE RAKE JAPAN 編集長、松尾健太郎が取材した、ベスト・ドレッサーたちの肖像。”お洒落な男”とは何か、を追求しています!

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設楽洋さん

設楽洋さん

 

株式会社ビームス代表取締役

interview nobuhiko takagi photography tatsuya ozawa

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ビームスの社長、設楽洋さんのご登場です。言わずと知れた、ファッション界の重鎮でありますが、その明るいキャラクターで、業界では“タラちゃん”として、多くの人に慕われています。毎年、自身をモデルに仕立てた噴飯モノの年賀状を作ることでも知られており、これを年始の楽しみにしている人も多いでしょう。

ビームスという店が持つ、とびきりお洒落ながらも、どこか「ハッピー」な雰囲気は、この方のキャラクターによるところが大きいのだと思います。

 

チェックのスーツは、ビームスFのカスタムテーラービームスで作ったもの。

「突然ブラックウォッチのスリーピースが欲しくなって、いろいろ探してみたのですが、なかなか見つからなかったので、もう作っちゃえと(笑)」

 

シャツもカスタムテーラービームス。

「シャツもオーダーが多いですね。襟型や素材はいろいろですが、ボディは測ってもらっていて、いつも同じです」

 

ネクタイは、ドレイクス。

「今シーズンのトレンドカラーがグリーンなので、ブラックウォッチの緑を拾って、タイとチーフを揃えてみました」

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ゴールドのロレックスは、お父様の形見だとか。

「1960年代のものだと思います。ロンドンのアンティークマーケットで見つけて、私自身がプレゼントしたものです。それで、親父が亡くなった時に形見としてもらいました。時計はいっぱい持っていますが、これを着けることが一番多いですね」

 

ブレスレットはミラノの宝石店ミザーニでオーダーしたもの。

「この小ぶりな時計に似合うように作ってもらったんです」

 

名刺入れとして愛用しているのは、昔のキセルタバコケースなのだとか。

「昭和初期のものですね。着物のアンティーク屋で購入しました。紐の先に付いているのは、根付と言って、着物の帯に留めるものです。これをベルトに挟んで、ケース部分をポケットに入れて使っています」

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シューズは今年の4月にローマで買ったサントーニ。

「シューズはサントーニが多いですね。足型が自分に合うのです。靴はサイズよりもウィズで合わせます。そのほうがキレイに見えると思います。ドレスシューズは130足くらい持っています。スニーカーも好きで、50足くらいあります。シャープなものより、ぼてっとしたものが好みですね。もともとアメリカ靴が好きだったし、そのほうがキャラにも合うと思うので(笑)」

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設楽さんの根底あるのは、やはりアメリカン・スタイルなようです。

「僕が生まれたのは1951年ですが、まさにミッドセンチュリーのど真ん中なのです。戦後の日本で、初めてテレビでアメリカのドラマを見たり、洋楽を聞いたり、ジーパンを穿いたりした世代です。今日もアメリカの蚤の市で買った50年代のアンティークをラペルに付けているように、どこかにアメリカの要素を入れますね」

 

少年時代の憧れは、常にアメリカでした。

「60年代後半から70年代前半が自分の思春期でしたから、一番影響を受けました。その頃毎年、葉山の海の家で夏を過ごしていて、その店の閉店の音楽が、サンタナの“君に捧げるサンバ”だったのです。それを聞きながら、夕日を眺め、『この海の向こうに、アメリカがあるんだ!』と憧れていました。いま冷静に考えてみると、全然方角が違うんですけどね(笑)」

 

初めてアメリカに行ったのは、1973年のこと。

「一番最初の旅はLAでした。お金がないから、ヒッチハイクしたり、駅で泊まったり。大きなリュックを背負っていたので、当時は“カニ族”と呼ばれていました(笑)。UCLAの学生寮では、同じ部屋なのに、住む学生によって部屋の雰囲気が全然違うのに驚きました。スポーツをやっている奴はスポーツグッズだらけだし、音楽する奴はレコードやギターで飾る。そういうのを見て、『アメリカだなぁ』と目を丸くしていましたね」

 

ビームスをオープンさせたのは、1976年。

「イーグルスの“ホテルカリフォルニア”がヒットした年です。そういう訳で、オープン当時は、アメリカン・ライフショップでした」

 

その後の大躍進は、誰もが知るところで、ビームスはいつの時代も、トレンドセッターとなってきましたが、その根底には、常に設楽さんのアメリカへの憧憬があったようです。

「今でも、自分の部屋には、サンタナのLPが飾ってあります。サンタナを聞くと、砂浜で膝を抱えて、海に沈む夕日を見ていた自分を思い出すのです」

日本のセレクトショップ文化を牽引してきた重鎮は、生粋のロマンチストでもあるようです。

 

 

宮川ダビデさん

宮川ダビデさん

 ブルネロ クチネリ ジャパン代表取締役社長

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ブルネロ クチネリといえば、カシミアをはじめとする高品質な素材と、「スポーツシックな」デザインで広く知られるブランドです。常に一歩先行く提案で、業界のトレンドセッターといわれています。そのブルネロ クチネリ ジャパンの社長が、今回ご紹介する宮川ダビデさんです。

 

クチネリには、この4月から入ったばかりだそうで、この取材をした時点で、社長就任から、まだ2ヶ月しか経っていませんでしたが、すでに同社のアイテムを見事に着こなしていました。

 

ウール100%のスーツは、もちろんブルネロ クチネリ。「ちょっとデニム風な風合いのある生地が気に入って」購入しました。

「クチネリのスーツは、スリムなフィットなのに、本当に着心地がいい。それは至るところに、職人技術が活かされているからだと、入社して痛感しています。ある人は、それを『後ろから女の人にハグされているよう』と表現しました。私もその通りだと思います」

おお、なんと艶っぽい表現なのでしょう! 私もハグされたいなぁ。

 

シャツとタイ、チーフもクチネリ。宮川さんはシャツマニアで、ワードローブには、100着以上をお持ちだとか。しかも、そのうち数着は、「まだ袖を通してもいない」そうです。そんな宮川さんを唸らせるのがクチネリのシャツ。

「シンプルなコットンの白いシャツですが、やはりスリムなフィットで、見た目がキレイ。しかも着心地は抜群です」と。

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時計はロレックス・デイトナ。2009年に日本で買ったものです。

「ずっと前から欲しかった時計でした。特にブラックフェイスが好きだったのです。私は趣味でダイビングをやるのですが、この時計の持つスポーティなイメージに憧れていました。しかし、本当にダイビングをやる時には、この時計は外しますけれど(笑)」

時計は大好きだそうで、他にも、IWCのポルトギーゼやパイロットウォッチをお持ちです。

 

シルバーのブレスレットは、ティファニー。10年前に、友人からプレゼントされたもの。シンプルなデザインとシルバーの質感が気に入って、ずっと愛用しているそうです。

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シューズもクチネリ。

「最初は、正直見た目が自分のワードローブにないタイプだったので、違和感もあったのですが、履いてみると、軽くて実に歩きやすい。ピッティの会場で長時間立っていても、全然疲れませんでした」

クチネリのシューズは、コレクションの中ではリーズナブルで、狙いめのアイテムかも知れません。

 

短いパンツ、裸足にシューズイン・ソックスのスタイルには、今ではすっかり慣れましたが、それまでロングホーズを愛用していた宮川さんにとって、クチネリに入社した当初は、どうにも違和感があったようです。

「インターナショナルのビジネス・ミーティングで就任のスピーチをした時、最前列の重役たちが、全員くるぶしを見せていました。これは、ちょっとしたカルチャーショックでしたね(笑)」

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本日のコーディネイトは、典型的なアズーロ・エ・マローネ。ネイビー、ブラウン、グレイといったベーシックな色がお好みで、派手な色は極力控えるところが、実にイタリア風です。

 

ところで宮川さんは父上が日本人、母上がイタリア人です。ですから“宮川ダビデ”というお名前なのですね。

お父様の宮川秀之さんは、若い頃バイクで世界旅行を企て、たまたま立ち寄ったイタリアが気に入って、そのまま住み着いてしまい、現地の女性と結婚。その後、かのジウジアーロと“イタルデザイン社”を立ち上げ、大成功を収め、クルマ界における日本とイタリアの架け橋になった後、現在は自ら所有するトスカーナのワイナリーで悠々自適という傑物です(現在もカーグラフィック等で執筆をなさっているので、ご存知の方も多いでしょう)

 

「私は7人兄弟の末っ子なのです。家にはいつも、人がいっぱいいて大変でした。ぼやぼやしていると、お兄さんとお姉さんに、何でも持って行かれてしまう。腕力では敵わないから、一生懸命交渉して、欲しいモノを手に入れました。私が、タフ・ネゴシエーターなのは、そういう理由からなのです(笑)」

 

イタリア人のセンスと日本人の繊細さ、そして末っ子ならではの交渉力を持った人物がトップに立って、ブルネロ クチネリは、ますます楽しみなブランドとなりました。