From Kentaro Matsuo

THE RAKE JAPAN 編集長、松尾健太郎が取材した、ベスト・ドレッサーたちの肖像。”お洒落な男”とは何か、を追求しています!

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矢野博也さん

矢野博也さん

矢野工作所 常務取締役

text kentaro matsuo  photography tatsuya ozawa

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金沢を代表するファッショニスタ、矢野博也さんのご登場です。矢野さんは矢野工作所という、精密機械部品を製造する工場を経営なさっています。その技術力は高く、世界中にクライアントを持っているそうです。

「イタリアやフランスをはじめ世界中の紡織工場に製品を納めています。テキスタイルの世界では、織機の緯糸を飛ばすのに水を使うのですが、そのノズルの部品は我が社のものが世界一なのです」

専門的すぎてよくわかりませんが、とにかく、ある特定の分野でスゴイ技術を持っているところが強みなのでしょう。技術大国ニッポンの面目躍如といったところです。

矢野さんは、地元のみならず東京でも、ファッショニスタとして有名で、いつも素晴らしくお洒落な格好をなさっています。しかし、これはあるときのイタリア行きがきっかけだったとか・・・

「今から20年くらい前だったと思いますが、ミラノにあるドルチェ&ガッバーナのストアへ行ったのです。私が『試着させて欲しい』というと、『お前みたいな貧弱な体のヤツに、似合う服はないよ』と冷たく言われたのです。そして試着すらさせてもらえなかった。これはショックでした。そこで、日本へ帰ってから一生懸命トレーニングして、体を作って、翌年もう一度同じ店へ行ったのです。そうしたら同じ店員が私のことをキチンと覚えていて、今度は何でも試着を許してくれたばかりか、普通では手に入らない限定アイテムも売ってくれるようになったのです。それからその店員とは、いい友達になりました(笑)」

えええ、マジですか! 今なら有り得ない話ですね。店員も店員なら、一年後のリベンジを果たした矢野さんも矢野さんですねぇ・・。

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 スーツはアットリーニのス・ミズーラ。オーダーは丸の内のビームスにて。

「ナポリの服が好きなのです。ダルクオーレやスティレ・ラティーノなどもよく着ています。ナポリの服は、基本的に胸板が厚く、体が出来ていないと似合わないと思うのです。だから体を鍛える意欲が湧いて来ますね」

確かにパッドや芯地をとことん省いたナポリ仕立ては、着る人の体型を如実にトレースしてしまう服と言えますね。

 

シャツはルイジ・ボレッリのス・ミズーラ。これも丸の内ビームスにて。

「“齊藤さん”という懇意にしているスタッフがいて、ス・ミズーラは、いつも彼に採寸してもらいます。ミリ単位の違いなのですが、彼のサイジングは完璧なのです」

ビームスさん、さすがです。

 

タイはマリネッラ、チーフはムンガイ。もう気持ちいいほどの、モノトーン・スタイルです。

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ホワイトゴールドの時計は“エドワード ピゲ”。かつてオーデマ ピゲが出していた、角形時計の名品です。

「この時計は父親から譲り受けました。私の父は私同様に時計が好きなのです。私がスイスのオーデマ ピゲの工房へ視察に行くと言ったら、こっそりとこの時計を出して来て、『実は俺も持っているんだ』と言われ、驚いたことがあります」

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シューズは、ステファノ・ベーメル。

鞄はご存知、エルメスの“サック ア デペッシュ”私も20年来、欲しい鞄です(たぶん一生買えそうもないけど)

「2年ほど前に、パリの本店で買いました。実は私はサック ア デペッシュという名前を知らなかったのです。しかしショーウィンドウで見て、なんてスゴい鞄なんだろうと思いました。オーラが出ていましたね。そこで即買いしたのです」

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矢野さんは、とても若々しく見えますが、実はもうお孫さんがいます。

「子供たちが巣立って、孫が生まれました。そして50代半ばにして、ようやくエレガントが追求できる歳になったのかなと思います。40代までは、まだトレンドというものに捕われていた。やれブリティッシュとか、ナントカ。何かしらアピールしようとしていた。今日のコーディネイトは、色柄もなく、まったく普通なのですが、やっとこういう格好が出来るようになりました」

 

なるほど、私が存じ上げている、本当にお洒落な方々は、皆同じようなことを仰いますね。

 

そういう矢野さんのお洒落原体験は、お爺さまだとか。

「祖父はお洒落な人でした。年に2回、必ず家にテーラーを呼んで、スーツを誂えているような人でした。外出するときは、いつもステッキを持って、帽子を被っていたのを覚えています。死に際に入院しているときも、病室に時計屋を呼んで、1本買っていましたね。その時計をしたまま、亡くなってしまいました」

 

矢野さんのような人が“オジイちゃん”だとは信じられませんが、きっと彼のお孫さんも、とびきりお洒落な御祖父に感化されていくのでしょうね。

 

 

太田裕康さん

太田裕康さん

 ユナイテッドアローズ ザ ソブリンハウス ブランドディレクター

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丸の内仲通りにあって、ひと際高級感あふれる品揃え、ザ ソブリンハウスのディレクター、太田裕康さんのご登場です。ザ ソブリンハウスといえば、クラシックの王道的なイメージがありますが・・

「お店のオープンは1997年なのですが、もともとは、ハイ・トレンドを追求するというコンセプトだったのです。ところが当時、トレンドといえば、クラシコ・イタリアがものすごく流行っていて・・それをメインにやっていたら、いつの間にかクラシックな店として認知されてしまいました(笑)。しかし、今でもトレンドをほどよくミックスさせるということは意識しています。昔から、エトロやピオンボのようなブランドを扱ってきましたし、最近ではジル・サンダーも始めました。“モダン×クラシック”がウチのテーマです」

 

今では、ザ ソブリンハウスのすべての商品をコントロールしている太田さん。その装いも、新旧のいいモノが入り混じったスタイルです。

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 ハイゲージ・ニットのアンサンブルは、ザ ソブリンハウスのオリジナル。ご自分で企画をし、定番として毎シーズン店頭に並べられるものだそうです。

「女性の間では当たり前ですが、男性が同じ種類のニットを重ね着することって、ほぼないじゃないですか。しかしやってみると、これが本当に便利なのです。ニット同士を合わせてもいいし、タートルとカーディガンを別々にジャケットに合わせてもいい。着こなしの幅が一気に広がります。寒さ対策としても持ってこい。男性に、ニットのアンサンブルを根付かせたいと思っています」

 

パンツは、神戸の名店コルウでオーダーしたもの。

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時計は、オーデマ ピゲのロイヤル オーク チャンピョンシップ。もともとはニック・ファルドが全英オープンを制したことを記念して作られたモデルで、1980年代に200個限定で発売されました。

「材料にタンタルというレアメタルが使われています。腐食せず、アレルギーフリーの金属です。クオーツなので時刻合わせも必要なく、34mmと小ぶりなのでドレスシャツを身につける際にもジャマになりません。この時計をしていると、お客様から『それ何?』とよく聞かれます。実はユナイテッドアローズでも、ヴィンテージ時計を扱っているのですが、私は同じモデルを、もう何本も売りました(笑)」

太田さんは時計も大好きで、1週間で3本の時計を買ったこともあるとか。

「いま密かに目をつけているのは、1980〜90年代あたりのピアジェです。誰も注目していないので、今ならまだまだ安い」

 

リングは、友人に作ってもらったもの、ブレスは自分でデザインしたもの。

 

タッセル・シューズは、ボードワン アンド ランゲというロンドンのブランド。

「一見華奢なのですが、インソールが3レイヤーになっていて、驚くほど履きやすい。先日もロンドンの街中を20km以上も歩いたのですが、ぜんぜん疲れませんでした。バリエーションも幅広い。この靴は、秋冬シーズンに大ブレイクする予感がします」

10月にはザ ソブリンハウスでオーダー会も予定されています。

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 太田さんがユナイテッドアローズに入社してから、すでに20年以上の月日が経ちました。今では同店を代表するファッショニスタの一人ですが、最初はバイトだったそうです。

「ある日、大先輩の鴨志田さんに『イタリアへ行ってみたい』と打ち明けたら『じゃあ、一緒に行こうぜ!』と二つ返事で連れて行ってもらえることになりました。しかし、旅費は自腹でしたが(笑)。そして出かけた1995年冬のピッティで、衝撃的な体験をしました。皆ごくフツウのものを着ているのに、ものすごくカッコよかった。アレには驚きました」

 

ピッティに集っていたイタリア人に魅せられ、フィレンツェで一番の名店でスーツをオーダーしたそうです。

「有名なリヴェラーノ&リヴェラーノで、洋服をオーダーしました。ところが仮縫いのことをすっかり忘れていた。仕方なく、半年後のピッティも自腹で出かけました。そうしたら、またオーダーしてしまって・・」

気がついたら、お金がまったくなくなっていたそうです。

 

「買い物に関しては、ほとんど病気ですね(笑)。今ではピッティへの渡航費は会社が出してくれるようになりましたが、ショッピング癖は止まりません。特に好きなのはカバンです。カバンの中にカバンを入れて、そのまた中にカバンを入れてしまっていたら、まるでマトリョーシカのようになってしまって・・今では何個持っているのか、見当も付きません(笑)」

 

でも、バイヤーとして、買うことそのものが仕事になったのだから、決して無駄な出費ではなかったですね。ユナイテッドアローズは、最高の職場ですね。

 

「でも、自分で本当に欲しいと思ったものを買い付けるので、結局自分で買ってしまい、相変わらずお金がありません。最高にして最低の職場ですね(笑)」と。

しかしその笑顔は、いかにも満足げでありました。

南里清久さん

南里清久さん

 ビチェリン・アジアパシフィックアンドミドルイースト 代表取締役社長

 text kentaro matsuo  photography tatsuya ozawa

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 ビチェリン社長、南里清久さんのご登場です。ビチェリンというのは、イタリア、トリノにあるカフェで、その創業は今から255年前、1763年まで遡ります。哲学者ニーチェや『三銃士』で知られる作家デュマに愛され、戯曲家プッチーニのオペラにも出てくるというから驚きです。店名を冠したチョコレート・ドリンク“ビチェリン”は、文豪ヘミングウェイによって“世界で残すべき100のもの”に選ばれたそう。現存するカフェではLocali storici d’Italiaのメンバーとしてイタリア最古。南里さんは、そんな名門の日本(とアジア)の代表をされています。

 

さて、南里さんと私は20年来の友人ですが、初めて会ったのは、彼の自宅に、インテリアの取材に行ったときでした。たいそうな豪邸に住まわれており、最初はビビリましたが、バスルームを覗いたら、世界各国のホテルから持ち帰ってきた小さな石鹸やシャンプーが、ちょこまかと並べられていて、「あ、この人、いい人かもしれない」と思ったことがきっかけでした(笑)。

 

「幼い頃から“旅”が大好きで、昔テレビでやっていた“兼高かおる世界の旅”を欠かさず観ているような子供でした。高校生くらいになると、バイトをしてお金を貯めては、海外旅行へ出かけるようになりました。海外では、空港やホテル、レストランなど、ラグジュアリーな場所を見て回るのが好きでした。もちろん自分では利用できないので、外から眺めるだけです。ニューヨークでは、コンコルドから降りてくる人たちの、エレガントな装いに憧れました。パリのリッツホテルは、まるで城のようだと思いました。日本と違って海外では、それぞれの空間に、似合った人がいるのです。そういう人たちを観察するのが楽しかったのです」

 

そんな経験が、ビチェリンの店作り、そしてファッションにも生かされています。

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ネイビーのジャケットは、トム フォード。

「トム フォードは、007が好きなので、よく買っています。その前はブリオーニが好きでした(トム フォードとブリオーニは、ボンドが劇中で着用)。時流に乗っかるタイプなので(笑)」

 

グレイパンツは、リーノさんで有名な、ミラノのアル バザールでまとめ買いしたもの。

 

タイとチーフは、ビジャン。

「ビジャンは、歴代のアメリカ大統領やマイケル・ジョーダンなども訪れるビバリーヒルズの超高級ブティックです。アポイント制で、その接客術は驚くべきもの。入店すると、まずはシャンパンがサーブされるのです」

 

シャツは、ターンブル&アッサー。

「生意気だと思われるかも知れませんが、ターンブル&アッサーは、中学生の頃から着ています。母親がブティックをやっていた渋谷西武に、ショップがあったのです。今ではロンドンで買っています。シャツはターンブルか、ユニクロか、どちらかしか着ません。ええ、ユニクロのシャツも、とてもよく出来ていますよ」

なるほど、南里さんは、単にブランドネームに踊らされるタイプではないようです。

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 時計はGショック。これも意外。

「ハリーウィンストンやブレゲなど、時計はいくつか持っていますが、最近はこればかり」

 

ネイビーのシューズは、クリスチャン ルブタン。

「ルブタンにしては地味すぎるデザインなので、売れ残っていたのです(笑)」

 

今でも年に6〜7回は、海外に出かけます。

「ネイビーのジャケットにグレイのパンツが基本です。出張が多いので、毎日同じでも、フケツに見えない格好がいいのです。同じような紺ジャケや白シャツを、何枚も持っています」

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 ビチェリンの本拠地イタリア、トリノのほか、中東カタールにもよく行かれるとか。

「たまたまカフェで話しかけられたカタール人に、日本のことをいろいろ教えてあげたら、なんと彼はカタールの王子だったのです。それが縁で首都ドーハに、カタール初の日本食レストランを出店しました。以来、日本とカタールの橋渡し役をやっています」

現在“在カタール日本国大使顧問”の肩書きもお持ちです。

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肩書きといえば、彼はもうひとつ、驚くべきプロフィールを持っています。それは“ライフセーバー”というもの。ビーチをワッチしているアレです。

 

「千葉の勝浦で毎夏、1週間から10日間くらい、ボランティアでライフセーバーをやっています。日焼けしているのはそのせいですね(笑)。以前たまたま、心肺停止に陥っている若者を助けたことがあって、それ以来“救命”ということを真剣に考えているのです。ライフセーバーって、日の目を見ない大変な仕事なのですよ。海にいるのは1年のうち1ヶ月そこそこで、残り11ヶ月は、ずっと辛い練習に耐えている。人命救助のノウハウも、一般にはあまり知られていない。そこで、まったく別の視点から、ライフセービングやレスキュー(人命救助)というものをアピールしたいと思いレスキューパートナー財団を設立しました。例えば、有名なファッション・ブランドとコラボして、ライフセーバーのTシャツを作って、みんなに“カッコいいな”と思ってもらうとか・・。そこから興味を持ってもらえれば、それはそれでいいのです」

 

確かに、世の中に、ライフセービングほど、重要な仕事はないかもしれませんね。卓越したファッショニスタ、そしてヒューマニストでもある南里さんの美学を、ぜひビチェリンにてご体験ください!

新宿店外観

BOUTIQUE INFORMATION

 Bicerin Shinjuku Takashimaya 新宿
Bicerin Metropolitan Theatre  池袋
P.D.R by Bicerin    表参道
Bicerin Midland Square       名古屋
Bicerin Haneda Kin No Tubasa Haneda Airport 羽田
 http://www.bicerin.co.jp/

高田朋佳さん

高田朋佳さん

 ブリッラ ペル イル グスト バイヤー

text kentaro matsuo  photography tatsuya ozawa

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ウチの似非イタリア人、フジタに、「“ブリッラ ペル イル グスト”って、どういう意味?」と聞いたら、「“卓越したテイスト”という意味です」という答えが返ってきました。これが、本当だとすると、今回ご登場の高田朋佳さんこそ、その言葉にふさわしい存在です。

「ブリッラ ペル イル グストは、ビームスFではクラシック過ぎるけれど、インターナショナルギャラリー ビームスではモード過ぎるという方に向けて、2003年にスタートしたブランドです。特徴は“男の色気”を追求しているところ。バイイングのときは、女性にモテるということも意識しています」

 

高田さんは、前回ご登場なさったビームスFのディレクター、西口修平さんとともに、今やビームスを代表するイケメン・ファッショニスタです。

「二人で飲みに行ったりもしますよ。Fの商品も大好きですしね。でも、心の底では“本当は、ブリッラのほうがカッコいいんだ”と思ってやっています(笑)」

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スーツは、ブリッラ イル ペル グストのオリジナル。リングヂャケットに自分でオーダーをかけたものです。

「イタリア的なプロポーションに、英国カイノック製のハリのある生地をのせました。イタリア+英国が、いまの気分です」

 

シャツも、ブリッラのオリジナル。

タブ&ラウンドカラーで、身頃がチェックという凝ったもの。

 

タイは、ジョン コンフォート。

チーフは、ビームスFのオリジナル。

メガネは、オリバー ゴールドスミス

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時計は、カルティエのタンク。1960年代に作られたもの。

 

リングは、ビルウォールレザー。

バングルは、エディ スコット コウタロウヴァ。

 

 タッセル・スリッポンは、オールデンです。

「アメリカ、イタリア、フランスなど、いろいろな要素をミックスするのが好きですね。もともと日本って洋服の文化がないじゃないですか。だからこそ、服を自由に着られると思うのです。そういったスタイルが、海外の人たちにも面白がられているのだと思います」

 

高田さんのインスタグラムのフォロワーは、世界中に6.5万人もいます。どうしたら、そんなにたくさんの人たちから、注目されるようになるのでしょう。

 

「フォロワーを増やすコツですか? 同じテイストを貫くことでしょうか? 例えば私は、パンツの裾を短く仕立てて、いつも足首を見せるようにしています。真冬でも、決してソックスを穿きません。ピッティでは、もう寒くて寒くて・・(笑)。でもそれが、私のスタイルですから」

(私が「高田さんの足首ってキレイですよね」といったら、ちょっと引き気味でしたが、本当にほっそりしていて、美足首ではないですか?)

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さて、そんなスタイルを貫く根性は、前職であるエヴィスジーンズで培われたようです。

「当時のエヴィスでは、入社したら、まず全員坊主にしなければいけませんでした。そして新品のジージャンとジーパンを買って、早く体に馴染ませて色落ちさせるために、寝る時にもそれらを着ていました。でも硬くて、全然眠れませんでした。早く膝のところを白くスレさせるために、膝をついて雑巾がけ。まるで寺修行です(笑)」

 

坊主時代の高田さんにも、お会いしてみたかったですね。まぁ、元がイケメンなので、どんなヘアスタイルでもお似合いでしょうが。

そうではない読者諸兄のために、高田さんおすすめの「絶対モテる」パンツをご紹介しておきます。私もこっそり買おうかな・・

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今シーズンの「鉄板的」アイテム。ジャブス アルキビオのドローパンツ。
サイドにゴムが入っており、リラックスした仕様だが、テーパードがキレイで足が美しく見えるのだとか。
¥28,000 Beams Ginza Tel.03-3567-2224

https://www.beams.co.jp/shop/gnz/

西口修平さん

西口修平さん

 BEAMS F ディレクター

text kentaro matsuo  photography tatsuya ozawa

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ビームスFのディレクター、西口修平さんのご登場です。バイイング、商品構成、そしてオリジナルの企画と、Fのすべてを司っているのが西口さんです。

原宿のビームス Fといえば、栗野宏文さんや中村達也さんなど、今や大御所となった面々が、かつて店長を務めていた名店です。オープンしたのは1978年、今年で開店40周年を迎えました。

 

かく言う私もFには学生時代から通っており、特別な思い入れがあります。昔は、本格的なクラシックが揃っている店って、あまりなかったのです。恐る恐る洋服を見ていたら、栗野さんに話しかけられたときは緊張したなぁ・・

 

今でも何か“困ったこと”があると、駆け込むのは決まってここです。

自分の結婚式のときには、Fのディレクターズ・スーツを着ましたし、先日もバリ島での友人の挙式のために、頭からつま先まで一式揃えました。昔から通っている店って、何か安心するのですよ。

 

「50〜60代の、昔からのファンの方々も来店されます。その中で、若い人も取り込んで行かなければなりません。そのサジ加減が難しい」

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リネンのスーツは、デ・ペトリロ。

シャンブレーのシャツは自社のオーダー品。

ネクタイは、ヴィンテージのラルフ・ローレン。

「ヴィンテージが好きで、裏原や高円寺の古着屋にもよく足を運びます」

 

チーフは、ミラノのエラル55にて。

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時計はやはりヴィンテージのグリュエン。1940年代のものです。

 

バングルは、ナバホ族が作ったものと、サハラのトゥアレグ族が拵えたもの。

「トゥアレグ族は、決して金色のアクセサリーを作らないのです。しかしゴールドのトゥアレグ・ジュエリーを作りたくて、金メッキを施してみました」

発売前の新製品を試すのも、ディレクターの仕事です。

 

指輪は昔のカレッジ・リングとヴィクトリアン・リング。

メガネはヴィンテージのアメリカン・オプティカル。

 

シューズは、デッドストックだった英国のグレンソン。

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「私のスタイルは、ブリティッシュ・アメリカンといったもの。ラルフ・ローレンやブルックス・ブラザーズなどのアメリカ東海岸のスタイルが基本です。それに英国やイタリアなどの要素をいかにミックスして行くかがテーマです」

 

西口さんは、インスタグラムの達人でもあります。2018年7月現在、7.6万人のフォロワーがいて、これはビームススタッフのなかで一番の数字だそう。フォロワーを増やすコツは何ですか? と聞くと、

「見る人が何に興味を持っているかを考えて、フィードを乱さないことでしょうか?」と。

確かに彼の投稿する写真は、自らの着こなしのみで、統一感があります。アイデアに富んだコーディネイトの数々は、見ていて実に参考になる。私もインスタをやっていますが、フィード乱れまくりですからねぇ・・

 

「フォロワーの半数以上が外国人です。韓国、アメリカ、イタリア、台湾などなど。よく海外でも声をかけられますね。先日ミラノのブライアン&バリー(トレンドセッターの巨大セレクトショップ)でも、スタッフに『シューヘイ! お前をフォローしているぞ!』と言われました(笑)」

 

さて西口さんには、もうひとつ達人の肩書きがあります。それは意外なことに、“虫取り”です。

「小さい頃から、生き物が大好きでした。カブトムシやクワガタはもちろん、魚やカエル、ヘビなども大丈夫です。今でも8歳になる娘を連れて、よく虫取りに出かけます。代々木公園あたりにも、カブトムシは絶対にいますよ。まずは甘い匂いのする木を探すのです。そして捕まえるときは、絶対に引っ張ってはいけません。カブトのツメ先は鍵型になっているので、腕がもげてしまう。そっと掌の上に乗るのを待つのです・・」

虫の話になると、止まらなくなります。

 

「トノサマバッタをよく見たことがありますか? そのカラーリングは本当にカッコいい。グリーンとブラウンのグラデーションで、膝下だけがレッド。これは人間のファッションにも取り入れられます・・」

本当ですか?

 

「自然の配色がいいということです。今日の私のコーディネイトも、茶色と緑でしょう。自然の色を着ると、自然に見えるものです」

なるほど、そう言われると、その通りのような気がします。

 

「虫取りには、ボルサリーノを被って出かけることもあります」

 

どのような場所でもお洒落を欠かさないというスタンスが、世界中のフォロワーの心を掴むのでしょう。

今度虫取りに連れて行って下さいね!

 

https://www.beams.co.jp/beamsf/

高橋幸宏さん

高橋幸宏さん 

ミュージシャン、デザイナー

text kentaro matsuo  photography natsuko okada

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ミュージシャン&デザイナーの高橋幸宏さんのご登場です。

幸宏さんといえば、かつて“サディスティック・ミカ・バンド”や“イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)”で一世を風靡し、その後もソロ活動のかたわら、鈴木慶一さんとのバンド“ザ・ビートニクス”や、原田知世さん等との”pupa”、最近では小山田圭吾さんやTOWA TEIさん等との”METAFIVE”での活動をはじめ、数々のミュージシャンのプロデュース、ファッション・ショウの音楽、映画のサウンド・トラックを手がけられるなど、常に日本の音楽シーンをリードされてきた第一人者です。

 

かく言う私も中学生の頃、YMOに夢中になり、幸宏さんがデザインされた通称”人民服”と呼ばれていたジャケットを真似て、人民服と丸いサングラスを買って、プチYMOを気取っていたものです。当時は今のようにネットやらインスタやらがなかったので、雑誌やレコジャケに掲載される幸宏さんの格好を見ては、一生懸命にマネをしていました。

 

幸宏さんは、ファッショニスタとしても超一流で、ご自身のブランド“バズ・ブラザーズ”、”ブリックス”、“ブリックス・モノ”、“YUKIHIRO TAKAHASHI COLLECTION”などのデザイナーを歴任なさっています。当時の私は、渋谷パルコ内にあったブリックスの店に恐る恐る近づいては、店員さんに声をかけられ、慌てて逃げ去るということを繰り返していました。

 

音楽においては、11歳からドラムを叩き始め、学生時代からスタジオ・ミュージシャンとして活躍し、19歳で武道館のステージに立ったという早熟の天才ですが、ファッションの方も、昔からスゴかったようです。

 

「僕は5人兄弟の末っ子なのですが、兄の影響で、中学生くらいからファッションに興味を持ち始めました。最初はアメリカン・トラッドでしたね。テイジン・メンズショップやVANが全盛の頃です。兄の世代は、皆それらのショップの紙袋に、アイロンを当てて持ち歩いていましたね(笑)」

 

19歳で武蔵野美術大学へ入ると、今度はお姉様(=伊藤美恵さん。ファッション業界では知らない人はいない、元祖アタッシェ・ド・プレス)から誘われ、バズ・ブラザーズのデザインを手がけられました。

「その頃には、ヨーロッパ志向になっていました。サンローランやセルッティ、レノマなどなど。20歳くらいから、姉とパリやミラノのコレクションにも通うようになりました。アルファ・キュービックの柴田(良三)さんや、タケ先生、加藤和彦さんなど、周りに面白い人がいっぱいいて、ずいぶんと影響されました」

私にとっては、キラ星の如き人たちばかりです。

 

「21〜22歳の頃には、トノバン(加藤和彦さんの愛称)としょっちゅうロンドンへ行っていました。“第一期、ロンドンが面白かった時代”です。グラムロックが流行っていて、ロキシー・ミュージックのブライアン・フェリーやアンディ・マッケイがカッコよかった。ブティックでは、ヴィヴィアン・ウエストウッドの“レット・イット・ロック”や”グラニー”、マノロ・ブラニクの“ザパタ”など面白いお店がたくさんあった時代です」

ファッションへの情熱には、さらに拍車がかかります。

 

「ある日、ブリティッシュ・ヴォーグを見ていたら、イヴ・サンローラン リヴ・ゴーシュとマノロ・ブラニクのコラボ・シューズが掲載されていました。白いギャバジン製のプレーントゥ。その靴がどうしても欲しくて、トノバンとロンドンからパリへ、なんと日帰りで買いに行きました。いろいろな人から『いったい何のために?』と聞かれたのですが、僕の中では、『サンローランの靴を履いて、ドラムを叩いているのは、世界で僕しかいない』という自負があったのです。当時ドラマーといえば、長髪にタンクトップで、大汗かいているような奴ばっかりでしたから(笑)」

 

私が、幸宏さんって汗かかないイメージですよね。いつもクールにドラムを叩いて・・というと、

「いや実は、こっそり汗かいています(笑)」と。

 加藤和彦さんは本当にお洒落でしたね、との投げかけには、

「彼は世界のミュージシャンの中で、数少ないお洒落な人のうちの一人でした。実はミュージシャンって、あまりお洒落な人がいないのですよ(笑)」

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 シャツ、パンツ、シューズはすべてプラダ。

「プラダは昔から好きですね。これらはすべて今季ものです。基本的には、シンプルなスタイルが好きですね。今でも洋服はよく買うのですが、いつも同じようなモノばかり。よく人から『それ、前から持っていたヤツだよね?』と言われます(笑)。パンツなども何本も持っているのですが、コレクションごとに微妙にシルエットが違う」

 

自らもデザイナーだけあって、細部へのこだわりはハンパじゃありません。

「シャツの襟はぐるりと回して付けるので、下手なところだと、第1ボタンと第2ボタンの間が、妙に浮いてしまうものがある。それではダメなのです。一流ブランドのものは、すっきりと収まっています」

 

ハットはボルサリーノ。クラシックなブランドもお召しになるのですね、と感心すると、

「クラシックなアイテムもミックスします。やはり値段が相応にするものは、違いますね。いいモノはいい。実は(デザイナーの山本)耀司さんが被っている帽子もボルサリーノの特注だそうですよ」

 

 サングラスはオリバーピープルズ。製造を手がけるオプテック・ジャパンからは、YUKIHIRO TAKAHASHI EYEWEARもリリースされています。

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 時計はロレックスのデイトナ。

「趣味の釣りに行く時にもフツーに使っていたら、ベゼルの文字が擦れてなくなってしまいました。近々修理に出さないと・・」

 

他に好きなブランドは? との質問には、

「トム・ブラウンはよく着ています。定番ばかりですけれど。先日トム本人に会った時には、偶然にもトム自身とまったく同じコーディネイトをしていました(笑)。まあ、彼自身はいつも同じ格好をしてますからね。それから最近のグッチはいいですね。デザイナーが変わってから、本当によくなった」

 

soe(ソーイ)はどうですか? と続けると(ソーイのデザイナー、伊藤壮一郎さんは、前出、伊藤美恵さんの実子。つまり幸宏さんの甥っ子。つくづくファッション一家です)

「もちろん展示会に行って、ちょこちょこ買ったりしていますよ。あの子は、いちばん僕に似ているのです。ヒネくれていて、神経質で、病気に対してナーバスで・・しかもダマされやすい(笑)」

その口調は愛情に溢れていました。

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 幸宏さんは、今年はソロ・デビュー40周年を迎えられました。御年66歳とは、とても思えません。それどころか、ますます精力的に活動をなさっています。

鈴木慶一さんとのユニット、ザ・ビートニクス名義にて、ニューアルバム『EXITENTIALIST A XIE XIE』を出されたばかり。夏にかけてライブ活動も行われますが、すでにチケットは売り切れ続出です。

ソロ活動としては・・

 

「秋にかけて、ソロ・デビュー・アルバムである『Saravah!』のスペシャル・ヴァージョン盤を出す予定です。再現ライブもやります。なんと40年前のマルチトラック・テープが残っていたのです。でも、ずっと当時の自分のヴォーカルには不満がありました。なにせバックコーラスで、山下達郎さんや吉田美奈子さん等が参加しているアルバムですから(笑)。そこで、今の自分の声で、ヴォーカルを録音しなおしたのです」

 

これは楽しみですね。私のような古くからのファンには、たまらない一枚となるでしょう。幸宏さんの声質は独特の透明感があって、聞いていて実に気持ちがいい。

 

「当時はコンピューターを使う以前の録音なのですべてが生音。教授(坂本龍一さん)のアレンジもスゴイ。多くのミュージシャン仲間に参加してもらいましたが、当時の音を聞いていると、皆んなまだ若かったのにウマいなぁ、と思います」

 

それにしても、幸宏さんの話を聞いていると、日本の音楽界やファッション界で、もはやレジェンドとされている方々のお名前がポンポン出て来て、「この方は、本当にスゴイ存在なのだなぁ」との感慨を新たにします。音楽とファッションの両方を、ここまで極めている方は他にいないでしょう。

 

幸宏さんへの思い入れを綴るとキリがなさそうなので、このへんで駄文を終えることと致します。幸宏さん、お忙しい中お時間を取って頂き、本当にありがとうございました!

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  • オフィシャル・ブログ

http://www.room66plus.com/

  • LIVE情報

【フジオロックフェスティバル 2018】

2018年8月2日

http://fujio-botsu10nen.jp/fujiorock

【SUMMER SONIC 2018】

2018年8月18日

http://www.summersonic.com/2018

【THE BEATNIKS Billboard LIVE公演】

2018年8月14日(東京)、8月23日(大阪)

http://billboard-live.com

  • 新譜

『EXITENTIALIST A XIE XIE』

(ザ・ビートニクス / エキジテンシャリスト・ア・シェーシェー)好評発売中!

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赤石貢一郎さん

赤石貢一郎さん

 グレーディーS.R.L社長

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グレーディーS.R.Lの社長、赤石貢一郎さんのご登場です。同社は、ナポリのサルト「ルカ・グラッシア」やタイの「スパッカ・ネアポリス」、ニットの「フランカ ペルージャ」、レザーの「リフージョ」、カプリシャツの「マッシモ・ダウグスト」、そしてバッグの「アカーテ」など、8つのブランドをイタリアから輸入・企画している新進のアパレル・インポーターです。これらのブランドは最近、有名セレクトショップなどでも取り扱いが増えているため、目にしたことがある方も多いでしょう。

かつて在籍していた親会社のギャレットでは、ファッション雑貨の国内営業をご担当されていました。若干35歳で社長に大抜擢された赤石さんにとって、イタリア人と直接やり合うのは始めての経験です。

「イタリア人はクリエイティブだけれど、頑固なところもありますね。彼らの個性を尊重しつつも、社長として対等に付き合い、日本のマーケットに合った商品を提供しなければならない。そこが一番難しいところです」

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ヘビーオンスのリネン・スーツは、ルカ・グラッシアで仕立てたもの。ナポリ発の注目サルトです。

「三代続く、クラシックなテーラーです。しかし三代目のルカはアーティストに近く、とても新しい感覚を持っている。特徴としてはラペル幅が広く、ベントが深い。これがジャケットの独特の色気を生んでいます。またサルトなのに、シーズンごとにテーマがあるのも面白い。ちなみに今季のテーマは“水と土”です」

 

タイは、スパッカ・ネアポリス。こちらもナポリです。

「ニコラ・ラダーノという人が、学生時代から始めたブランドです。お父さんがネクタイ・コレクターだったとか。自分で小紋の柄からデザインしてしまう、こだわりがすごいです」

 

 シャツはバルバ。

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 時計はパネライのルミノール。

「25歳の時に自分へのご褒美として買いました。シンプルでどんなスタイルにも似合うところがいいですね。ストラップは後付けなのですが、実は私の父親に作ってもらったものです。父の本業は消防士なのですが、昔から手先が器用で、私にいろいろなモノを作ってくれるのです。頼みもしていないのに、ある日突然、財布が送られてきたりします(笑)」

それは素晴らしいお父上ですね。ステッチもキレイで、まさに玄人はだしです。

 

靴はジョン ロブのロペス。私も大好きな一足です。

 

 ちらりと見えるシューズ・イン・ソックスは、ギャレットのオリジナル。かつて赤石さんは、こういったものを扱われていました。

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さて、赤石さんと話していると、どうしても、この言葉が頭に浮かびます。

それは“いい人”という言葉。とことん温厚なお人柄です。

 

例えば、こんなエピソードがあります。

「若い頃働いていた家具ショップで、大事故に遭いました。ノコギリで間違って自分の親指を切り落としてしまったのです。しかし、その時心配だったのは、指のことよりも、『社長に怒られる!』ということでした。血をどくどく流しながら、『すみません、すみません』と何度も謝っていました・・」

その後、親指は無事くっついたので、皆さんご安心を。しかし、とことんお人好しですねぇ・・

 

私が調子に乗って、赤石さんって、怒ったりすることあるのですか? と聞くと、

「半年にいっぺんくらいかなぁ・・」と頭をポリポリ。

その理由は何でした? と尋ねると、

「すみません、覚えていません・・」とのお答え。

 

以前このブログにご登場頂いたギャレット専務、藤原寛一さんは、実は赤石さんの上司にあたるのですが、曰く、

「今回のプロジェクトは、一緒にやっていて楽しい人間とやりたかった。だから彼を社長に抜擢した」そうです。

 

バリバリ仕事はこなすけれど、ツンケンしたタイプより、コツコツと実直で、温かい人のほうが出世する―——これが世の中の真理です。そのお人柄は、きっとイタリア人にも通じますよ。がんばって下さいね!

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ルカ・グラッシアの最新コレクションより。

島田雅史さん

島田雅史さん

 ザ・クロークルーム代表取締役

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ジャケット¥204,000、シャツ¥26,000(ともにオーダー価格)The Cloakroom

銀座に昨年末オープンしたばかりのテーラー、ザ・クロークルームの島田雅史さんのご登場です。ザ・クロークルームは、今までにないオーダーメイド・ストアです。もともとはオーストラリアのブリスベンが発祥の地。現在はオーストラリアの他に、カナダのモントリオールにもショップがあります。イギリスやイタリア発のお店が多い中、これは異色です。オーストラリアのファッションって“クロコダイル・ダンディー”くらいしか思いつきませんが・・

「オーストラリアは長い間、ファッション後進国だとされてきました。ファッション雑誌がなく、情報が入ってこなかったのです。しかし、近年のSNSブームで、インスタグラムなどから、最新のファッション情報が手軽に入手できるようになりました。そこで好景気が続いていることもあり、一気にお洒落熱に火がついたのです」

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現在オーストラリアでは、クラシック・ファッションが大ブームだそうです。しかも、オーストラリアのザ・クロークルームで売られているのは、ほぼすべて日本製の洋服だとか。

「実は私が前職のときに、日本の作り手を紹介したのです。もともと彼らはイタリアなどにオーダーしていたようなのですが、納期が遅く、不良品が多いことに悩まされていました。ところが日本の工場は、納期は早いし、作りも正確。それにオーストラリアでは、クリーンでキレイな作りの服が好まれるのです。そういった服作りは、日本が最も得意とするところですよね」

 

いわば逆輸入的に日本へ上陸したザ・クロークルーム。銀座のお店で扱っている服も、当然日本製です。

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 ジャケットは、ザ・クロークルームのオリジナル。やはり日本が誇る尾州、葛利毛織のモヘアを使って、日本で仕立てたものです。

「これは自慢の新作です。19世紀の頃の洋服からヒントを得てデザインしました。胸に吸い付くようなシルエットでエレガントでしょう? パターンを作るのに1年かかりました」

 

ちらりと見えているホワイトのリネンベストも葛利毛織で作ったオリジナル。

「白いベストをトレードマークにしようかなと思っているんです」

 

パンツは、m039。パンタロナイオの尾作隼人さんが手がけたブランドです。

「尾作さんとは、同じ年で、いつも気になっている“心の友”のような存在です。以前尾作さんがこのブログに出たときも、しっかりチェックしていましたよ(笑)」

 

シャツは、ザ・クロークルームのオリジナル。生地は英国トーマスメイソン、縫製はポーランドになります

 

タイは、フランスのドーメル。ザ・クロークルームで扱っているものです。この店は、本当にインターナショナルですね。

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カフリンクスは、英国のアリスメイドディス。

お店ではダブルカフスのシャツに力を入れているそうです。

 

シューズは、職人・江川治さん率いるアルテアルト。

「サウンドクリエイトという日本屈指の高級オーディオショップでオーダー会が開かれていたときに作ったものです。同時になぜか、ギャッベ(ペルシャ絨毯に似た高級敷物)オーダー会も開かれていました(笑)」

瀟洒な靴が店の床に敷かれた、豪華な大理石によくお似合いです。

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現在ではメンズ・ファッションの世界では、名の通った存在となった島田さんですが、東京に出てきた頃は、何もかも知らない若者でした。

「生まれは茨城件の土浦です。地元のデル・ボマーズという(全国的に有名な)古着屋でバイトを始めたのが、この世界に入るきっかけでした。その後東京に出てきて、某アパレルブランドへ入ったのですが、その頃の私は本当に、何も知りませんでした。最初の配属で伊勢丹担当になったのですが、当時の私は、なんと伊勢丹デパートを知らなかったのです。『イセタンって何ですか?』と聞きました(笑)」

 

現在凝っているのは、写真撮影。ショップにはプロが使うようなカメラとストロボのセットが置いてありました。

「インスタグラムへ投稿する写真を撮影するために買いました。自分たちでやれば、お金もかからないし」

 

ファッション雑誌を生業としてきた私には、なんとも困った時代になってきました・・。でも、島田さんには昔からお世話になっているので、ぜひ成功していただきたいです!

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THE CLOAKROOM TOKYO

東京都中央区銀座7-10-5 ランディック第3銀座ビル5階
TEL:03-6263-9976
https://thecloakroom.jp/

 

松田修和さん

松田修和さん

 ドーメル青山店 店長

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 今年で創業176年の歴史を誇る老舗、ドーメルの青山店店長、松田修和さんのご登場です。ドーメルは会社はフランス、工場はイギリスにあって、その両者のいいところを取り入れた生地で知られています。がちがちのブリティッシュではなく、フランス風のスノビッシュな感じがするところが魅力なのです。

私もここんちのスーツを一着持っていますが、イギリスやイタリアのスーツとは、一線を画した存在感が魅力です。なんというか・・成熟した大人の色気といったものがあるんですよね。フランス贔屓の方には、ぜひお試し頂きたいブランドです。

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スリーピースのスーツは、もちろんドーメル。

「こちらは“DORSILK”という生地を使って作りました。シルクとウールを混紡した生地で、シルクは55%ほども使われています。光りすぎない、上品な光沢が特徴です。春夏の素材として、まずおすすめしたいものですね。シルクは夏でもべたつかず、さらっとしているんです。普通はジャケット用として使うのですが、私はパンツも作ってしまいました」

 

スリーピース¥345,000(オーダー価格)、ネクタイ¥16,000 Dormeuil

 

ネクタイもドーメルの新作。

 

シャツは、パリで買ったトーマス・ピンクです。

「ドーメル以外のブランドも、よく買ってしまうんですよ。これは英国製らしいカッチリとした作りがいいですね」

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カフスはドーメル。

「本国のCEO、ドミニク・ドーメル氏とお揃いです。しかし彼のものは、ゴールドでしたが(笑)」

 

シューズはナポリのパオロ・スカフォーラ。

「ハンドソーンでフィット感がいい。イタリア製なのに、ロングノーズではなく、英国っぽいところが気に入りました」

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松田さんは、かつてミユキハンドレッドクラブという銀座のセレクトショップに在籍されていました。その名前を、懐かしく思い出される方も多いでしょう。

「愛知県の出身なので、名古屋に本社を持つ御幸毛織に入社しました。そこではいろいろなことを経験させてもらいました。ミユキハンドレッドクラブ時代に東京に異動になって、現在のバーニーズ ニューヨークの裏にあった店で働いていました。高級路線で、キートン、アットリーニ、ベルベスト、バルバにボノーラ・・いわゆるクラシコ・イタリアのブランドは全部扱いました(笑)」

 

その時の経験が、今の仕事に役立っているのは、言うまでもありません。

 

「かつてはテキスタイル・デザインを担当していたこともあり、服地を見ることが大好きなんです。生地のテクスチャーを見てしまうんですよね。例えば、今着ているチェックも、よく見ると明暗2種類のオレンジ色を使ってある。もしも同じオレンジだったら、もっと派手に見えるはずです。色というものに興味があって、かつて色彩コーディネイターの資格を受験して取得したこともあります」

 

色に対する知識を、現在の接客にも取り入れています。

 

「“顔映り”ということを気にしています。服地とお客様の顔を比べつつ、似合うかどうかを考えます。同じグレイ、同じネイビーでも、さまざまな色があり、肌の色によって似合うもの、似合わないものがあるのです」

 

なるほど、そういったことは、自分ではなかなかわからないですよね。どんな生地が自分に似合うのかわからない方は、ぜひ青山ツインタワーのドーメルへお出かけ下さい。松田さんの選ぶ生地なら、間違いなさそうです。

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ドーメルの誇る春夏素材”DORSILK”

https://www.dormeuil.com/jp/

関口猛さん

関口猛さん

 オンワードパーソナルスタイル代表取締役社長

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 オンワードパーソナルスタイル社長、関口猛さんのご登場です。関口さんが指揮する“カシヤマ ザ・スマートテーラー”は、画期的なオーダーメイド・システムとして、いま話題です。どのへんが、他と違うのでしょうか?

「採寸は、こちらから会社やご自宅へ伺います。2回目からはネット上で生地を選んで頂くだけで、ご注文が可能です。価格は3万円から。納期は最短1週間です。特殊な圧縮パックに入れてご自宅までお届けします。パックから出して、しばらく吊るしておくと、ちゃんとスーツの形になるのです」

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へぇ〜、スゴイですね! 開発には、さぞやご苦労があったことでしょう。

「実は、オンワードに存在していた、数々のシステムを組み合わせただけなのです。もともと弊社には訪問採寸の部隊がいて、年間に数万着もオーダーを取っていましたからね。こだわったのは1週間という納期で、週末にオーダーすれば、翌週末には届いて、月曜日から着ていける。『欲しい!』と思ったモチベーションが下がらないうちに商品が手に入るというのが大事かと。それから自社工場なので、自分たちですべてのクオリティをコントロールできるところも強みですね。物流も見直して、中間マージンを徹底的に抑えました。圧縮パックを採用したもの、その方が輸送費がかからないからです。“いいものを安く”を突き詰めたら、自然といまの形になったのです」

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本日お召しのスーツも、カシヤマ ザ・スマートテーラーでオーダーしたもの。

「自分でネットから注文したものです。商品のテストを兼ねて、自分だとバレないよう、別の名前を使ってオーダーしました。はい、自腹です(笑)」

 

 一枚仕立てのタイは、かつてオンワードがやっていたセビロ&コー。

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 シャツは、銀座・和光のオーダーメイド。

「研究のために買ったのですが、これがよく出来ているんですよ(笑)」

 

シューズは、エドワード・グリーン。

「今日は社内で大切なプレゼンがあったので、カタめの靴を履きました。基本的には、シンプルでアンダーステイトメントな装いを心がけています」

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95年にオンワードへ入社してからは、ずっとカルバン・クラインをご担当されていました。

「カルバン・クライン本社のあるニューヨークへは、年5、6回ほど行っていました。そこでの経験は、本当に勉強になりましたね。例えば、同じグレイでも、彼らは100種類くらいを使い分けているんです。青っぽいグレイ、赤っぽいグレイ、黄色っぽいグレイ・・。そして、そのすべてに名前が付いている。プラチナム、スチールグレイなどなど。それらのコーディネイトを、真剣に考えているんです。その影響で、いまだにトーン・オン・トーンのコーディネイトが多いですね」

 

さらに遡って学生時代には、ヨット、そしてボーイスカウト活動にいそしまれていました。

「ヨットでは突然の風に流されてしまい、死にかけたことが何度かあります。それからボーイスカウトの活動では、高校生の時に、食料をまったく持たずに無人島へ上陸し、1週間滞在したことがあります。蛇を捕まえて焼いてみましたが、縮んじゃって、とても食べられませんでした。それからビニールシートを使って、海水を蒸発させ、真水に変えることも試してみましたが、得られた水は、しょっぱくて、飲めたものではありませんでした。1週間後には、体重が12〜3キロ減っていました(笑)」

ボーイスカウトの活動って、もっとマイルドだと思っていました・・

 

関口さんは、根っからのアウトドアズ・マンで、何かに挑戦することが大好き。そのチャレンジ精神が、ザ・スマートテーラーにも生かされているようです。

「新しいテクノロジーは、どんどん取り入れていきたいですね。例えば、ゾゾ・スーツのように、自分で採寸ができるようなシステムも、ご提供していきたいです。どうか、ご期待下さい!」

 

オーダーメイドの新時代は、この方が切り拓いていくのでしょう。

 

カシヤマ ザ・スマートテーラー https://kashiyama1927.jp/