From Kentaro Matsuo

THE RAKE JAPAN 編集長、松尾健太郎が取材した、ベスト・ドレッサーたちの肖像。”お洒落な男”とは何か、を追求しています!

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松田修和さん

松田修和さん

 ドーメル青山店 店長

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 今年で創業176年の歴史を誇る老舗、ドーメルの青山店店長、松田修和さんのご登場です。ドーメルは会社はフランス、工場はイギリスにあって、その両者のいいところを取り入れた生地で知られています。がちがちのブリティッシュではなく、フランス風のスノビッシュな感じがするところが魅力なのです。

私もここんちのスーツを一着持っていますが、イギリスやイタリアのスーツとは、一線を画した存在感が魅力です。なんというか・・成熟した大人の色気といったものがあるんですよね。フランス贔屓の方には、ぜひお試し頂きたいブランドです。

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スリーピースのスーツは、もちろんドーメル。

「こちらは“DORSILK”という生地を使って作りました。シルクとウールを混紡した生地で、シルクは55%ほども使われています。光りすぎない、上品な光沢が特徴です。春夏の素材として、まずおすすめしたいものですね。シルクは夏でもべたつかず、さらっとしているんです。普通はジャケット用として使うのですが、私はパンツも作ってしまいました」

 

スリーピース¥345,000(オーダー価格)、ネクタイ¥16,000 Dormeuil

 

ネクタイもドーメルの新作。

 

シャツは、パリで買ったトーマス・ピンクです。

「ドーメル以外のブランドも、よく買ってしまうんですよ。これは英国製らしいカッチリとした作りがいいですね」

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カフスはドーメル。

「本国のCEO、ドミニク・ドーメル氏とお揃いです。しかし彼のものは、ゴールドでしたが(笑)」

 

シューズはナポリのパオロ・スカフォーラ。

「ハンドソーンでフィット感がいい。イタリア製なのに、ロングノーズではなく、英国っぽいところが気に入りました」

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松田さんは、かつてミユキハンドレッドクラブという銀座のセレクトショップに在籍されていました。その名前を、懐かしく思い出される方も多いでしょう。

「愛知県の出身なので、名古屋に本社を持つ御幸毛織に入社しました。そこではいろいろなことを経験させてもらいました。ミユキハンドレッドクラブ時代に東京に異動になって、現在のバーニーズ ニューヨークの裏にあった店で働いていました。高級路線で、キートン、アットリーニ、ベルベスト、バルバにボノーラ・・いわゆるクラシコ・イタリアのブランドは全部扱いました(笑)」

 

その時の経験が、今の仕事に役立っているのは、言うまでもありません。

 

「かつてはテキスタイル・デザインを担当していたこともあり、服地を見ることが大好きなんです。生地のテクスチャーを見てしまうんですよね。例えば、今着ているチェックも、よく見ると明暗2種類のオレンジ色を使ってある。もしも同じオレンジだったら、もっと派手に見えるはずです。色というものに興味があって、かつて色彩コーディネイターの資格を受験して取得したこともあります」

 

色に対する知識を、現在の接客にも取り入れています。

 

「“顔映り”ということを気にしています。服地とお客様の顔を比べつつ、似合うかどうかを考えます。同じグレイ、同じネイビーでも、さまざまな色があり、肌の色によって似合うもの、似合わないものがあるのです」

 

なるほど、そういったことは、自分ではなかなかわからないですよね。どんな生地が自分に似合うのかわからない方は、ぜひ青山ツインタワーのドーメルへお出かけ下さい。松田さんの選ぶ生地なら、間違いなさそうです。

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ドーメルの誇る春夏素材”DORSILK”

https://www.dormeuil.com/jp/

関口猛さん

関口猛さん

 オンワードパーソナルスタイル代表取締役社長

text kentaro matsuo  photography tatsuya ozawa

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 オンワードパーソナルスタイル社長、関口猛さんのご登場です。関口さんが指揮する“カシヤマ ザ・スマートテーラー”は、画期的なオーダーメイド・システムとして、いま話題です。どのへんが、他と違うのでしょうか?

「採寸は、こちらから会社やご自宅へ伺います。2回目からはネット上で生地を選んで頂くだけで、ご注文が可能です。価格は3万円から。納期は最短1週間です。特殊な圧縮パックに入れてご自宅までお届けします。パックから出して、しばらく吊るしておくと、ちゃんとスーツの形になるのです」

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へぇ〜、スゴイですね! 開発には、さぞやご苦労があったことでしょう。

「実は、オンワードに存在していた、数々のシステムを組み合わせただけなのです。もともと弊社には訪問採寸の部隊がいて、年間に数万着もオーダーを取っていましたからね。こだわったのは1週間という納期で、週末にオーダーすれば、翌週末には届いて、月曜日から着ていける。『欲しい!』と思ったモチベーションが下がらないうちに商品が手に入るというのが大事かと。それから自社工場なので、自分たちですべてのクオリティをコントロールできるところも強みですね。物流も見直して、中間マージンを徹底的に抑えました。圧縮パックを採用したもの、その方が輸送費がかからないからです。“いいものを安く”を突き詰めたら、自然といまの形になったのです」

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本日お召しのスーツも、カシヤマ ザ・スマートテーラーでオーダーしたもの。

「自分でネットから注文したものです。商品のテストを兼ねて、自分だとバレないよう、別の名前を使ってオーダーしました。はい、自腹です(笑)」

 

 一枚仕立てのタイは、かつてオンワードがやっていたセビロ&コー。

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 シャツは、銀座・和光のオーダーメイド。

「研究のために買ったのですが、これがよく出来ているんですよ(笑)」

 

シューズは、エドワード・グリーン。

「今日は社内で大切なプレゼンがあったので、カタめの靴を履きました。基本的には、シンプルでアンダーステイトメントな装いを心がけています」

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95年にオンワードへ入社してからは、ずっとカルバン・クラインをご担当されていました。

「カルバン・クライン本社のあるニューヨークへは、年5、6回ほど行っていました。そこでの経験は、本当に勉強になりましたね。例えば、同じグレイでも、彼らは100種類くらいを使い分けているんです。青っぽいグレイ、赤っぽいグレイ、黄色っぽいグレイ・・。そして、そのすべてに名前が付いている。プラチナム、スチールグレイなどなど。それらのコーディネイトを、真剣に考えているんです。その影響で、いまだにトーン・オン・トーンのコーディネイトが多いですね」

 

さらに遡って学生時代には、ヨット、そしてボーイスカウト活動にいそしまれていました。

「ヨットでは突然の風に流されてしまい、死にかけたことが何度かあります。それからボーイスカウトの活動では、高校生の時に、食料をまったく持たずに無人島へ上陸し、1週間滞在したことがあります。蛇を捕まえて焼いてみましたが、縮んじゃって、とても食べられませんでした。それからビニールシートを使って、海水を蒸発させ、真水に変えることも試してみましたが、得られた水は、しょっぱくて、飲めたものではありませんでした。1週間後には、体重が12〜3キロ減っていました(笑)」

ボーイスカウトの活動って、もっとマイルドだと思っていました・・

 

関口さんは、根っからのアウトドアズ・マンで、何かに挑戦することが大好き。そのチャレンジ精神が、ザ・スマートテーラーにも生かされているようです。

「新しいテクノロジーは、どんどん取り入れていきたいですね。例えば、ゾゾ・スーツのように、自分で採寸ができるようなシステムも、ご提供していきたいです。どうか、ご期待下さい!」

 

オーダーメイドの新時代は、この方が切り拓いていくのでしょう。

 

カシヤマ ザ・スマートテーラー https://kashiyama1927.jp/

 

平塚雄三さん

平塚雄三さん

 弁護士

text kentaro matsuo  photography natsuko okada

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 さまざまなご職業の方が登場するのが、このブログの特徴でもありますが、今回は弁護士先生です。都内の法律事務所に所属なさっている、平塚雄三さんです。

弁護士というと、一般の方はあまり馴染みがなく、ちょっとカタそうで、近寄り難いイメージですよね?

「裁判長、異議あり!」みたいな。

しかし今回、平塚さんにお会いして、その印象が大分変わりました。

 

「古着が好きで、よく高円寺あたりをうろついています。もともと阿佐ヶ谷の出身で、大学が高田馬場でしたので、中央線沿線が落ち着くのです」

ウチのフジタに、似ていますね。

 

「予備自衛官として登録をしています。普段は弁護士をしていますが、危急の際には、戦場で戦います。格闘訓練や、実弾を使った射撃訓練も受けていますよ」

えええ、マジですか?

 

「趣味はトライアスロンです。10年前から始めて、一昨年からは、ホノルルで行われる大きな大会にも出場しています。バイク40km、スイム1.5km、ラン10kmと、なかなかタフですね」

すごい。私なら、途中で死んでいます・・

 

まぁ、ぱっと見、ここまでお洒落な弁護士先生がいるとは驚きでした。それには理由があって、実は平塚さんのファッションの師匠は、メンズ・ファッション界の大ボス、赤峰幸生さんなのです。知り合ってから、もう10年以上経つそうです。

 

「赤峰先生には、お洒落は“基本のき”が大切で、そこをしっかり学ぶことが肝要なのだ、と教わりました。それと男は外見だけ繕ってもだめで、中身が伴わないとダメだとも諭されました」

はい、私も同じことを言われています・・

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 スーツは、アカミネ ロイヤルラインで仕立てたもの。テーマは“裁判で勝てるスーツ”です。

「モヘヤ製で、折り目正しく見えるところがいいですね。『これなら、どこへ出ても恥ずかしくない』と言われて作ったものです。もう10年も着込んでいますが、ようやく体に馴染んできたように思えます」

やはり弁護士先生は、きちんとした格好をなさっていますね。

 

「クールビズの影響でしょうか、裁判所でも、カジュアルな格好の方を見受けることがあります。ジャケットにノータイ・・中にはスニーカーの方もいます。しかし、私は法廷では必ずスーツを着ます。職業としての歴史や、顧客からお預かりしている事件の重みに相応しくない格好はできないのです」

 

シャツも、アカミネ ロイヤルラインのもの。

「先達から教わった所作として、私は打ち合わせの際には、白いシャツしか着ません。これは真っさらな気持ちで、お客様の話を聞くという姿勢を表しているのです。われわれが扱っているのは、国内の身近な案件が多い。例えば、離婚や兄弟間の確執、お金の貸し借りのトラブルなどです。いわば人間社会の裏側を見る仕事なわけで、相手の方の本当の気持ちを聞き出すということが、とても大切なのです」

 

タイは、やはり赤峰さんから薦められたリベラーノ。

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 時計は父親から譲り受けた、グランドセイコー。レザー・ストラップは、友人が作ったものに交換してあります。

シューズはアレン・エドモンズのコードバン製。

 

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愛用の万年筆は、モンブラン。かつて日立造船の社長をなさっていたおじいさまの形見で“A LIFE DEVOTING TO SHIP BUILDING”(造船に捧げた生涯)とのメッセージが刻まれています。こういうものは、お金では買えませんね。

 

実は、平塚さんのひいおじいさまは、元・東京都知事、東龍太郎氏です。

「ダンディな人でした。いつも自宅の池の前で、シガーを燻らしていたのを覚えています。その匂いを嗅いだのが、大人の世界の入り口だったような気がします」

いまではシガーは、趣味のひとつだとか。

「私のスタイルの原点は、曽祖父にありますね」

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 なぜ、弁護士になったのですか? との問いには、

「弁護士が主人公のドラマを見て、かっこいいなぁと思ったのがきっかけです(笑)。私も正義の味方になりたい、と。しかし実際に弁護士になってわかったのは、弁護士は正義の味方ではなく“われわれを信頼してくれる人の味方”でなければならない、ということです。法廷では、何よりも勝たなければならない。日々是戦いです」

 

なるほど、この先生なら、何かあったとき、とても頼りになりそうです。できれば、顧客ではなく、友人としてお付き合いさせて頂きたいですが・・

 

牧野孝一郎さん

牧野孝一郎さん

シャロン チーフ

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最近、私やらフジタやらが入り浸っている南青山のセレクトショップ、シャロンの牧野孝一郎さんです。シャロンはサルトリア ソリートやシャマットなど超高級ブランドを扱っており、その独自の品揃えが高い人気を博しています。

1992年生まれ、弱冠25歳の牧野さんですが、紳士服業界におけるキャリアは7年に及びます。ここシャロンでも、チーフとしてフロアを任されているのです。

「私は大阪出身なのですが、シャロンのホームページを見て、そのラインナップに魅せられて、どうしてもここへ入りたいと思いました。そこで、面接を兼ねて上京したのです。実際にお店を訪ねたのは、この時が初めてでした」

ホームページだけで入社を決めてしまうところが、いかにも今の若者って感じです。

 

「弊社に置いてあるのは、皆何十万円もするような品ばかり。最初は怖くて商品に触ることすらできませんでした。初めてシャロンで売られている商品を自分で買って、袖を通した時には、あまりの着心地のよさ、そして肌触りのよさにびっくりしました。あの時の感動は忘れられません」

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ジャケットは、イタリア、プーリアのシャマット。一見クラシックなのに、よく見ると、ものすごく凝ったデザインやディテールを持っていて、お洒落上級者の間で話題のブランドです。

「盛り上がった肩山、丸い独特のポケット、深く切り込まれたベントなど、面白いディテールがいっぱいです。それでいて、着心地はとてもいいのです」

 

タイはナポリのE.G.カペッリ。

「ナポリのショップへ行った時に買いました。9cm幅の太めのツイルで、ヴィンテージの生地を使ったものです」

 

シャツはナポリのモンテサーロのス・ミズーラ。

パンツもナポリのレ・スパーデ。

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時計とチーフはしません。

「本当は自分の生まれ年である、92年のヴィンテージ時計が欲しいのですが・・」

シューズは、日本人靴職人、久内淳史氏が仕立てたイル・クアドリフォーリオ。

「私は扁平足で、甲が薄いのですが、そんな自分の足でも、うまく立体感を持った美しい靴を作ってくれました。味のある革がいいでしょう?」

使われている素材は、ホーウィン社のホースフロント。

 

もちろんすべて、シャロンにて扱っているアイテムです。

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コーディネイトで気をつけている点は、服の本来持っている力を引き出すこと。

「私は背が低く、肩幅が狭いので、それをカバーしてくれる洋服を選びます。背が低い人はコンパクトな服を着ると、ますます小さく見えてしまうので、ある程度肩幅があるものを選んだほうがいいのです」

背が低い人へのファッション・アドバイスには自信があるそうですから、お悩みの方は彼に相談するといいと思います。

 

「手縫いの文化を後世に伝えていきたいと思っています。どんどん職人さんがいなくなってしまっているのです。今のセレクトショップを担っているのは、4〜50歳代の人が多いですよね。20年後には、私もトップといわれるような人になっていたいです」

 

彼のような若者が、日本の、そして世界のファッションを背負っていくのだなぁと思いました。

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Sharon シャロン

東京都港区南青山6丁目6−21 グロービル青山1F 〜4F
Tel. 03-6418-5131
営業時間:12:00am〜20:00pm(不定休)
URL: http://sharon-shop.jp/

 

 

 

林博文さん

林博文さん

某英国ラグジュアリーブランド 銀座本店ジェネラルマネージャー

text kentaro matsuo  photography natsuko okada

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銀座界隈のブランド好きの間では、知らぬ者はいないといわれる有名ショップマネージャー、林博文さんのご登場です。業界では、販売の天才と言われており、若い頃から彼が店長になると、あっという間に売上げが伸びることで知られていました。ご出身は、大分県佐伯市というところ。

 

「もともとは九州の地元企業で働いていました。コンビナートを擁する大会社で、作業着にヘルメットを被っていたこともありました(笑)。でも、どうしてもファッションでメシを食うという夢を捨てられなくて・・。上京してファッションの学校へ通い始めたのです。そんな時、中野の丸井で販売補助のバイトをしました。そうしたら、なぜかメチャクチャ売れてしまって・・・販売って、面白いなぁと思いました」

 

DC全盛の時代、入社したブランドでは、すぐに売上げ上位となり、3年目にして店長に抜擢されました。そうしたら、その店が売上げ全国1位となりました。その後に携わったブランドでも、成績はずっと右肩上がり。

 

「どうしたら、そんなに売れるのですか? コツは何ですか?」との質問には、腕を組んでしばらく考えた後、

「単品を押し付けるということはしません。必ずトータルなスタイルをご提案します」

「ニーズと提案は違います。例えばあるアイテムを買いに来た人に、まったく別の、意外性のある商品をおすすめしたりします」

「お客様がまわりから、どう評価されるかということを考えています。その人が自分でも気付いていない自分を、見せてあげたいと思うのです」

 などなど。

 林さんと私のご縁は古く、もう知り合ってから、15年以上になります。基本的にはラグジュアリーブランドのプレタポルテをご担当なさっていますが、林さんの得意技は、それぞれの顧客に合わせた、きめ細やかなお直し&オーダーメイドで、私も昔はずいぶんと林さんに洋服を作ってもらったものです。そしてそのうちの何着かは、今でも毎週のように愛用しています。

作ってもらった当時は、「ちょっと細すぎるのではないかな」と思ったりもしましたが、時が経つにつれそれが、「ちょっと太すぎるのではないかな」に変わり、いままた「ちょうどいい」と思えています。そのへんが林マジックで、多くの顧客を虜にするワザなのかもしれません。

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スリーピースは、ドーメルのトニックで仕立てたもの。一見するとブリティッシュ・スタイルですが、林流の遊び心が随所に散りばめられています。

 

「ターンナップ・カフで、シングルのピークトラペルですが、ウエストコートはダブル。パンツのポケットは、珍しいクロスポケットとしました。パンツの股上を深く、ウエストコートを短くして、脚が長く見えるよう工夫してあります。センターベントで後裾にゆとりを持たせ、後ろ姿がエレガントになるよう仕立てました」

なるほど、なかなかここまでこだわりを持てる人はいません。

 

自分で結んだボウタイと、ラウンドカラーでやはりターンアップ・カフのシャツもポイントです。

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時計は、ジャガー・ルクルトのレベルソ・デュオ。

リングはアンティークに自らのイニシャル“H”を彫っています。

 

シューズは英国製のサイドゴア・ブーツ。流麗なラインがキレイです。

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「販売の極意とは何ですか?」との問いには、これまたしばらく考えた後、

 

「例えば、もし超有名ブランドのデザイナー本人が店に立っていたとして、彼が『君にはこれが似合う』と言ったら、お客様は100%買いますよね。私もそんな存在になりたいのです。『お前がすすめるなら、買うよ』と言われるような、存在になることが極意でしょうか?」

 

なるほど、これは深く、また難しい道でありますね。

「販売一筋で30年間やってきて思うのは、販売には正解がない、ということです。それぞれの販売員がそれぞれのやり方を持っており、どれが正しいということはありません。しかし、ひとつ言えることは・・販売とナンパは違うということです(笑)。よく口が立つから、オンナを引っ掛けるのもウマいでしょうと言われるのですが、お客様に声をかけることは出来ても、女性に声をかけることなんて、とても出来ません(笑)」

 

林さんは根っから、ファッションというものが大好きな人です。そこには、「売りつけてやろう」という邪念がありません。そういった真摯な心が、買う人の心に響くのではと思いました。

 

 

田野浩志さん

田野浩志さん

guji代表取締役

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 2006年に京都にてオープンした第1号店を皮切りに、現在では全国に9店を構えるguji/ring(グジ/リング)の代表、田野浩志さんのご登場です。いま急成長しているショップの社長ということで、もっとギラギラした感じの方を想像していましたが、昨年初めてお会いして、そのイメージは180度変わりました。とても温和でユーモア溢れるキャラクターなのです。

 

「関西の出身なので、どこか“三方よし”(近江商人の心得を説いたもの)を目指しているのかもしれません。つまり“売り手よし、買い手よし、世間よし”、すべてが丸く収まるような商売です。以前は『成功していい生活をしたい』とか『ライバルを蹴落としてやろう』と思っていた時期もありましたが、今ではメンズ・ファッション業界全体を盛り上げていきたいと思っています」

 

田野さんはもともと、シップスのご出身です。大学生時代より京都のシップスにてバイトを始め、20代にして店長にまで登りつめました。私が「相当なやり手だったのですね」と聞くと、

 

「セールスについて言えば、そこそこは売る方でしたが、決して売り上げが突出してよかったわけではありません。ただ、少しだけ世渡り上手だったのかもしれません。当時のファッション業界にはコワイ先輩たちがたくさんいて、若い連中は皆ビビっていましたが、そういう人たちと付き合うのは得意でした」

なるほど、人付き合いって、仕事がデキることと同じくらい大切ですよね。 そんな“好感度”を大切にする姿勢は、着るものにも表れています。

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オリジナルのシルク混スーツ¥120,000、ジレ¥35,000 、タイ¥24,000 all by guji

スーツは、gujiのオリジナルで、リングヂャケットにて作ったもの。

「リングヂャケットの大定番である184というモデルを、guji風に、ちょっとシャープにしたものです。素材はカルロ・バルベラのシルク混で、ほんのりとした光沢があります。世間では、英国調の渋い服がトレンドですが、お客さんからは、『もう少し、艶っぽいものが着たい』という声もよく頂くのです。そこでこのスーツを作りました」

 

シャツは、ルイジ ボレッリ。

「このところ、ピンホール・カラーやタブ・カラーを着ることがままあります」

 

タイは、アット ヴァンヌッチ。フィレンツェ発のネクタイ・ブランドです。

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 ブレスレットはエルメス。

「その昔、シップスの社員旅行でハワイへ行った時に買いました」

社員旅行でハワイとは、羨ましい限りです。

 

指輪はカルティエの3連とgujiオリジナルのカレッジリング。

時計はロレックス。

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シューズはオールデン。

「オールデンは大好きで、シップス時代には随分と集めたものです。一時、12〜3足は持っていました。しかし、起業するときにお金がなくて、全部ヤフオクで売ってしまいました(笑)」

ちらりと見えるソックスはパンスレラ。なんとラメ入りです。

 

「ウチの店のテーマは、イタリアらしい色気と艶を大切にすることです。ですから、こういった一見コンサバな装いでも、シルク入りのスーツやサテンのタイ、コードバンの靴などで、ちょっとした華やかさを演出します」

 

インタビュー中もひっきりなしにお客さんが出入りしており、その度に田野さんは席を立って、丁寧に挨拶をされていました。それぞれの人の名前と近況を覚えておられ、関西弁でのジョークも交えつつ、話が弾みます。田野さんと話しているときのお客様は、笑顔が絶えませんでした。

 

gujiの躍進の秘密は、この方の傑出した“人当たりのよさ”にあるのだと思いました。

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guji TOKYO
〒106-0032
東京都港区六本木7-5-6 KCテラス1F
Tel:03-6721-0027
https://www.guji.jp/

マリオ・グリアリオットさん

スローウエアCEO マーケティング&リテール

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 もう20年以上も前のことになりますが、私がメンズ・イーエックスという本の創刊に携わっていた頃、メンズ・ファッションの世界にも、大きなターニングポイントが訪れていました。

それまでパンツといえば、タック入りばかりだったのに、ノープリーツのスリムなパンツが現れ、新しいモノ好きの間で人気が出始めていたのです。私も最初は、「こんなモノ穿けるわけがない」と思っていましたが、いつの間にか慣れてしまい、気がつくと、ノープリーツが当たり前になっていました。そのスリム・パンツの代表的ブランドが、インコテックスでした。

 

そして今、パンツ業界は再び変化の時を迎えています。皆さんご存知の通り、プリーツ入りのパンツが、再び人気を博しているのです。

 

「ずっとスリムなシルエットが続いてきましたが、ここ最近はルーズ・フィットのプリーツ入りパンツが人気です。インコテックスにおける現在の比率は、ちょうど半々くらいでしょうか? この流れは、どんどん加速されるでしょう。もっともわれわれは、随分と前から、プリーツ入りのパンツを作っていたのですが・・」

 そう語るのは、インコテックスが所属するスローウエア・グループにて、2009年より、マーケティングとリテールのCEOを務める、マリオ・グリアリオットさんです。どうやら、この分野でも、インコテックスはリーディング・カンパニーとなりそうです。

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スローウエアは、インコの他に、ザノーネ、モンテドーロ、グランシャツと、合計4つのブランドを擁しています。

「それぞれのブランドは独立していますが、うまくコーディネイトできるように考えられているんです。中心となるコンセプトは“タイムレス”ということですね。とことんクオリティを追求して、長く着られるものを提供しています」

ニットは、ザノーネ。ウール70%、カシミア30%の素材を使っており、素晴らしいタッチを楽しめるそう。

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メガネは、バートン ペレイラ。オリバーピープルズの元社長が立ち上げたブランドです。

「買ったのは地元のミラノの専門店」と仰っていましたが、よく見てみると“メイド・イン・ジャパン”と書いてあって、ご本人もびっくりされていました。

 

時計はジャガー・ルクルトのレベルソ。奥様からのプレゼントだそう。

「裏蓋には、妻からのメッセージが書いてあるんだ。でも何て書いてあるかは、ヒミツだよ(笑)」

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パンツは、もちろんインコテックス。 “ヴァーヴ”と呼ばれるラインのもので、贅沢な素材とサルトリアルなテクニックが使われています。タック入りでウエスト周りにはゆとりがありますが、裾はスリムという今風のシルエット。

 

コードバン製のシューズは、オールデンと“ザ スローウエア ストア”のダブルネーム。六本木ミッドタウンに位置するストアには、スローウエアのブランドのすべてが揃っています。

 

なるほど確かに、各アイテムのサイズ感やカラーバランス、そしてテイストが揃っていて、違うブランドであるにもかかわらず、うまくコーディネイトできそうです。

 

ところで、マリオさんの奥様は、某ファッション・ブランドのPRとマーケティング担当として働いています。

「同じ業界にいると、家庭内でも、いろいろと話が合うからいいですね。しかし、それがストレスになることもあるけれど・・・」

実は私自身の妻も、某ブランドのPR&マーケを担当しており、しかも以前は、マリオさんと同じ時期に、同じ会社(イタリアの某ファッション・ブランド)で働いていたことがあります。そのことを告げると、

「いやぁ、世界って狭いねぇ〜」と驚かれていました。

ヨメと同じ業界で働くことの喜びとストレスについて(特に後者)、今度じっくりと話をしてみたいと思った次第です。

渡部勝さん

渡部勝さん

パレスホテル東京 総支配人

text kentaro matsuo  photography natsuko okada

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総客室数290、全室45平米以上という偉容を誇る、パレスホテル東京の総支配人、渡部勝さんのご登場です。豊かな緑を持つ皇居外苑と東京駅を結ぶ線の真ん中に位置し、その住所は「丸の内1-1-1」、まさに東京を、そして日本を代表するホテルです。

「大卒で入社して以来30年間、パレスホテル一筋の“パレスマン”です。最初はベルボーイからのスタートでした。そういう下積みをすることによって、ホテルというものがわかるようになるのです」

なるほど、私も編集者としての下積みの多さでは人後に落ちませんが、問題は下積みのまま終わりそうなところです・・

 

「入社当時のパレスホテルは、それは華やかでしたね。当時より、丸の内には外資系の会社がたくさんあって、お客様の6割は外国の方でした。皆ビシッとトラっドなスーツを着ていらして、とにかく格好よかった。ハウスキーピング(室内清掃)を担当していた時期もあったので、お客様の靴をお預かりして、自ら磨いたこともありましたが、そのブランドは英国のチャーチだったりして、『本場のジェントルマンは、こういうものを履くのだな』と感心しました」

そういった経験から導き出されたのが、渡部さんのスタイルです。ホテルマンのドレスコードは、ことのほか厳しいと聞きますが、やはりさまざまな制約があるようです。

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スーツはビームスのブリッラ ペル イル グストのもの。もう10年以上通っているそうです。

「私は仕事柄、一年のうち360日はスーツを着ます。そして、そのほとんどがネイビーかチャコールグレイのダークスーツです。ワンシーズンに1〜2着の割合いで、新しいスーツを買います。ブリッラのものは私の体型に合うので、パンツの裾丈以外、お直しをしなくてもいいところが気に入っています」

 

シャツはパレスホテル東京のアーケード内にショップを構えるシャツ専門店、タケナカシャツにてオーダーしたもの。

「パレスマンのシャツは、白以外はNGです。われわれは裏方ですので、お客様より目立ってはいけないのです」

 

ネイビーのソリッドタイは、ドレイクス。他にはブリューワーもよく締めるとか。

 

メガネはフォーナインズ。

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時計はIWCの名作、ポルトギーゼ。

「ストラップがネイビーなところが、さり気なくていいですね」

 

カフリンクスは、出張先のロサンゼルスのニーマンマーカスで買ったもの。

「基本的には、アクセサリーは着けません。しかしカフリンクスは好きで、いろいろと持っています。シャツも必ずダブルカフスにしています」

 

シューズはジェイエム ウエストン。

「足が細いので、ウィズはCかD。日本だと、ぴったりと合うサイズを探すのが難しいのです」

甲高幅広の私からすると、羨ましいお悩みをお持ちです。

 

「いまでは私が総支配人となりましたので、パレスホテル東京のドレスコードは私自身が決められるのですが、昔ながらのしきたりを守っています」と。

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渡部さんの装いを見ていると、本当にメンズ・ファッションというものは、「決められたルールのなかで、いかに細部を追求するか」にかかっているのだなぁ、と思います。ダークスーツ、白シャツ、紺タイ、黒靴だけで、十分にカッコいいスタイルが可能なのです。

 

「ファッションも、ホテルも、ディテールが大切だと思っています。細かい部分にこだわりを持っているつもりですし、お客様にそういったところに気付いて頂けると、とても嬉しいですね」

 

まさにホテルマンの鑑のような存在。パレスホテル東京が持つ、独特の“凛”とした雰囲気は、この方が醸し出しているのだと思いました。

1F ロビー

パレスホテル東京

ロビーより、皇居外苑を望む。

所在地は、丸の内1-1-1。地下1階は、地下鉄大手町駅に直結。
東京駅からは徒歩8分。

2駅12路線が利用可能

http://www.palacehoteltokyo.com/

 

 

洞内浩さん

洞内浩さん

 新宿高島屋 シニアマネジャー兼ストアバイヤー

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 新宿高島屋の洞内浩さんのご登場です。高島屋というと、トレード・マークであるバラの包装紙をはじめ、上品で大人しいイメージがありますが、洞内さんは、その笑顔もスタイルも、実にパワフルです。

「コーディネイトのポイントは“色”です。ヴィヴィッドな色を身につけていると、そこから会話が始まって、お客様も私も、自然と笑顔になれる」

 

SNSなどで彼の毎日のコーディネイトを拝見すると、赤、黄、緑など、カラフルな色のオンパレードです。またストライプやチェックなど、柄物同士の組み合わせも多用されています。しかし、色と柄を組み合わせるのは、素人には難しいのでは? と問うと、

「まずキーカラーを決めて、他のアイテムでその色を拾うこと。あとは『似合っているんだ!』と自分に言い聞かせて、自信を持って笑顔で着こなすことですね。そうすれば大丈夫です!」と。

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 ジャケットは、ティト アレグレット。ルビナッチ出身で、イザイアやアットリーニのVMDなどを務めたナポリの大物が、自らの名を冠したブランドです。昨年夏には、ピッティに初出品したばかりのコレクションによるトランクショーを世界に先駆けて新宿高島屋にて行い、大盛況を収めました。

「ナポリらしい色っぽさがありますね。ステッチやバルカポケットなどのディテールにもこだわっている。着て楽しく、カッコよく、『お洒落ですね』とホメられる服です」

オーダーのラインでも、ジャケットで109,000円~、スーツで143,000円~というリーズナブルな価格も魅力です。

チーフはミラノのフィオリオ。

タイはナポリのフランチェスコ マリーノ、同じモノを色違いで2本ご購入。シャツはプーリアのアンジェロ イングレーゼ。こちらも色違いで3枚ご購入。お洒落な人って、こういう買い方をしますよね。すべて新宿高島屋で扱いがあるそうです。

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 時計はロレックスのエクスプローラーⅡ。

シルバーのチェーン・ブレスレットやリングはエルメス。

「私の名前は浩(HIROSHI)というのですが、エルメスにはイニシャルのHを象ったものが多く、まるで私のために作られているようだから(笑)」

 手首につけたアクセサリーは、シンパシーオブソウル、トロールビーズ、フィリップ オーディベール、など。

  パンツはナポリの新進ブランド、マコ。プリーツ入りのサイドアジャスター仕様で、二本の持ち出しがつく、クラシカルで変わったタイプです。こちらも色違いで2本買われました。

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 シューズはクロケット&ジョーンズ。

「靴は100足くらい持っています。そのうち約80足がドレスシューズで、20足がクロケット&ジョーンズです。これはサイドエラスティックですが、クロケットとしては珍しいですよね。確かなブランドが作った、ちょっと変わった靴や服が好きなのです」

しかも、持っている靴のほとんどは茶やネイビー等の色物で、黒は冠婚葬祭用のストレートチップとタキシード用のオペラパンプスだけ。

「世の中、こんなにたくさんの色があるのだから、もっと色を楽しまなきゃもったいないと思うのです」

 

ブルー系でまとめた本日の装いは、洞内さんにしては、ずいぶんと抑え目なほうだとか。

「昔から、カラフルな格好が大好きでした。学生時代に初めて買ったシェットランド・セーターの色は真っ赤。コンバースのオールスターは、友人とオレンジとグリーンを一足ずつ買って、片方ずつ交換して履いていました。道行く人に、『あら、あなた靴を間違えているわよ』などと言われたものです(笑)」

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 今年、高島屋勤続30年を迎える洞内さんは、売り場やバイイングなどの現場が大好き。大好きな洋服に囲まれているのが、一番幸せだそうです。

「接客のコツですか? これも笑顔です。お客様には、あえて少し派手かな、と思える色柄をおすすめします。そして『お似合いですよ』と申し上げる。すると『ええ、本当?』と仰いつつも、皆、笑顔になる。新しい自分が見つかることは、誰しも嬉しいものですからね。笑顔で接すれば、笑顔に出会える。誠にお客様は“鏡”なのです」

楽しいお話を拝聴し、私もすっかり笑顔になってしまいました。

 

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Information

ティト アレグレットのス・ミズーラ スーツ&ジャケット トランクショーは、

2月23日(金)〜2月25日(日)高島屋 新宿店にて。詳しいお問い合わせ・ご予約は、

新宿高島屋Tel.03-5361-1111(代表)オム・メゾン8階ダブルスタンダードクロージングヒム

http://www.takashimaya.co.jp/

 

川口昭司さん

川口昭司さん

 マーキス ビスポーク・シューメーカー

text kentaro matsuo  photography tatsuya ozawa

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ビスポーク・シューメーカーの川口昭司さんのご登場です。ウチのフジタが「ここぞ」という時に履いて来るのが、川口さんが作ったシューズです。フジタは人間としては、99%ダメなヤツですが、唯一1%、いいモノを見分ける目だけは天才で、その彼が「いま、一番いいかもしれない」というのがマーキスの靴です。

また私が昔から(もう20年も前から)洋服を作ってもらっている、佐藤英明さんのお気に入りでもあります。佐藤さんの店、ペコラ銀座には昔からマーキスのサンプルシューズが置いてあり、私も以前から「いい靴だなぁ」と思っていました。

 

つい先日、このブログにご登場頂いた福田洋平さんとは、英国での修業時代、“トレシャム”というノーザンプトンの同じ靴学校に通っていたそうです。福田さんの作る靴が、ひたすら「貴族的華麗さ」に溢れているのに対し、川口さんの靴は、また違ったよさがあるように思えます。それは、「美しい朴訥(ぼくとつ)さ」とでもいうのかな。高級ビスポーク・シューズであるにもかかわらず、誠実で、どこか親しみやすいのです。誤解を恐れずに言えば、前者がオスカー・ワイルドであるのに対し、後者は宮沢賢治のような。

 

今回初めて川口さんにお会いして、そのお人柄に接し、やはり作る人の個性は、その作品に出るなぁ、と改めて思いました。

「ぼくは昔から、とても不器用だったんです。幼い頃は、将来モノを作る仕事に就くなんて考えられなかった・・でも、靴作りに器用、不器用は関係ないとも思います。初めて作る1〜2足では差が出るかも知れないけれど、それからは・・」

では、靴作りにおいて、一番大切なことは何ですか? と聞いたら、

「それは情熱です!」ときっぱり。この瞬間に、私も彼の靴を一足オーダーすることに決めました。

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 ジャケットとベストはペコラ銀座。スリーピースとして誂えたもの。

「佐藤さんに初めてお会いしたときは、とても緊張しました。雑誌などでよく取り上げられていた、有名な人でしたから。でもお会いして『気さくな人だなぁ』と思って安心しました。それで靴のサンプルも、置いてもらえることになったんです」

 

タイはイギリスで買った、アンダーソン&シェパード。

「でも中古なんです」とポロリ。

 

シャツはアレッサンドラ・マンデッリ。これもペコラ銀座で扱っている、イタリアのシャツ職人です。

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 時計はロンジンで、お祖父さんからもらったものだそう。ベルトもオリジナルで、昔風にクロコダイルの背中部分が使われています。

「ベルトは何度も替えようと思ったのですが、このゴツゴツしたところが気に入ってしまって・・」

パンツはロンドンでテーラーをやっている友人、「仲良しの、ロバートさん」が作ったもの。

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シューズは、もちろんマーキス。ウィングチップなのにスリップオンという珍しいデザイン。

「太めのパンツに合うように、履き口を浅くしてみました。どうでしょうか?」

撮影時、靴がよく見えるよう、何度もパンツをつまんで長さを調節していたのが印象的でした。

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 フルビスポークのハンドソーン専門のため、どうがんばっても月産は7〜8足が限度だとか。しかしそんな川口さんには、大きな味方がいます。それは奥様の由利子さんです。

「実は彼女も、同じ靴職人なのです。英国トレシャム時代に知り合って、帰国後結婚、そして一緒にマーキスを立ち上げました。スタートした頃は、資金繰りが厳しくて、彼女が手伝ってくれなかったら、どうにもなりませんでしたね」

「二人でいるときも、ぼくは靴の話しかしません。でもそれを聞いて、理解してくれる人がそばにいるというのは、本当に有り難いことですね。本当は退屈だと思っているかもしれないけれど(笑)」

 

もうすぐ2歳になる息子さんにも恵まれて、公私ともに充実している川口さん。その充実ぶりは、確実にマーキスの靴に表れています。今から出来上がりが、楽しみだなぁ!(ちなみに私がオーダーしたのは、フルブローグのブラックのウィングチップ。こういったモデルを勧めるところにも、彼の人柄が表れていますね)

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ショップと工房は長らく江戸川橋にありましたが、この度、念願だった銀座に移転しました。

Marquess

東京都中央区銀座1丁目19-3 銀座ユリカビル8F
TEL/FAX 03-6912-2013(完全予約制)

https://marquess-bespoke.blogspot.jp/