HOTELS DELUXE Vol.33

ホテル連載第33回:ホテルの本格窯焼きピッツァ

May 2025

ファンシーなイメージのラグジュアリーホテルのなかには、本格的な窯で焼いた熱々のピッツァを口いっぱいに頰張れるカジュアルなダイニングを備えたところも増えてきている。そんな意外性のある“ホテルでピッツァ”こそが、今ホットな楽しみ方だ。

*価格には消費税およびサービス料が含まれます。Issue64掲載記事

 

 

text yukina tokida

 

 

<フォーシーズンズホテル東京大手町>

天空のテラスで堪能する熱々ピッツァ。ナポリ生まれの職人のこだわりが詰まった本場の味わいがここにあり。

 

写真の「ブッラータ」(¥6,100)は、ブッラータチーズまるまるひとつをはじめとする3種のチーズに、香り高い黒トリュフを合わせた人気の一枚。ブッラータに加えて人気の定番「マルゲリータ」(¥3,800)はジューシーなトマトソースとチーズ、生地のバランスも絶妙だ。運ばれてきた瞬間に広がる小麦をはじめとする芳醇な香りに誰もが虜になるだろう。小麦粉以外の材料も、旬の食材を除き、ほとんどがイタリアから直送されている。

 

 

 

 フォーシーズンズホテル東京大手町のイタリアンダイニング「PIGNETO(ピニェート)」の窯焼きピッツァを手がけるのは、専属シェフのアレッサンドロ・ルカ・デ・レオ氏。ナポリ生まれの彼は、10代から地元で修業を積んだ生粋の職人だ。彼のこだわりは、生地の発酵から窯の温度、焼き加減に至るまで一切の妥協を許さないこと。

 

 特に生地は、イタリアの老舗Molino Magri社の、単一種類のイタリア産小麦粉を100%使用。薄くも弾力のある中央部分と、軽やかでもちもちとした耳の美味しさは、熱々の出来たてでしか味わえない。開放的なテラスでピッツァを頰張る至福のひとときを。

 

 

広々としたテラス席を備える「PIGNETO」。上空200メートルに位置する“天空のテラス”だ。お問い合わせ先:TEL. 03-6810-0655

 

 

 

<ANAインターコンチネンタル万座ビーチリゾート>

沖縄の風と潮の香りに包まれて。地元出身シェフのこだわりが生む、ビターな余韻が魅力のピッツァ。

 

波の音とジャズを聴きながらピッツァを頰張れるテラスは、「PST OKINAWA by the sea」の特等席。写真のピッツァは玉城氏を象徴する「TAMAKI」(¥2,760)。チェリートマトとフレッシュスモークモッツァレラのコンビネーションが絶妙で、マルゲリータを超える人気ぶり。夏には季節限定の名物「濃厚トマトのかき氷ピッツァ」(¥2,980)も登場。トロトロに溶けたバッファローチーズとマスカルポーネチーズの上に、トマトのかき氷をのせて楽しむ冷たい一枚だ。

 

 

 

 ANAインターコンチネンタル万座ビーチリゾート内の「PST OKINAWA by the sea」は、都内に3店舗を構える玉城翼氏が、故郷・沖縄に初めて構えた一軒だ。耳のコゲこそが、彼のピッツァの最大の特徴で、一種のスパイスのように香ばしい余韻を残してくれる。

 

 生地は、オリジナルブレンドの小麦粉に沖縄の塩“シママース”を練り込み、約30時間かけて発酵熟成。ナポリピッツァでもアメリカンピッツァでもない、軽やかな食感を生み出している。使用するモッツァレラチーズは、本場イタリアから週3回空輸で直送。さらに窯は氏が愛する東京の「山宮かまど工業所」のものを採用している。

 

 

波の音とジャズを聴きながらピッツァを頰張れるテラスは、「PST OKINAWA by the sea」の特等席。お問い合わせ先:TEL. 098-966-1211(代表)

 

 

 

<マンダリン オリエンタル 東京>

焼きたてを“おまかせスタイル”で。東京を代表するピッツァバーは五感に響くライブ感も醍醐味のひとつ。

 

 

 

 マンダリン オリエンタル 東京で最も予約が困難といわれる「ピッツァバー on 38th」は、「50 Top Pizza Asia-Pacific」で3年連続1位に輝いた名店。同店では、目の前で焼き上げられたピッツァを、おまかせスタイルで1ピースずつ楽しめる。生地はイタリア産オーガニック小麦粉にごく少量のイーストを加え、水分を含ませたあと48時間じっくり熟成。軽やかな食感に仕上げている。

 

 さらに食材に応じて2種類の生地を使い分けており、トマトベースの王道から、独創的な一枚までバリエーション豊かに揃う。日本各地の旬の恵みが主役のピッツァは、どれも素材の個性が職人の技で一層引き立てられている。

 

 

カウンター8席のみの「ピッツァバー on 38th」があるのは、38階のイタリアンダイニング「ケシキ」内の一角。窯を囲むように座席が配置されているため、窯の熱気を感じられるのはもちろん、ピッツァが出来上がるまでの工程、焼き上げられたピッツァがカットされる音、立ち上る香りまで五感でピッツァを堪能できる。職人との会話も楽しめ、熱々の状態で提供されるのも魅力だ。ランチ(6種¥15,180)とディナー(8種¥21,505)の各2部制。お問い合わせ先:TEL. 0120-806-823

 

 

 

<ホテル ザ ミツイ キョウト>

京都らしい趣のなかで味わうのは、イタリア人職人が窯で焼き上げるパリッと香ばしいローマ風ピッツァ。

 

 

 

 イタリア語で複数の窯を表す、ホテルザ ミツイ キョウトの「FORNI(フォルニ)」で提供されているピッツァは、前出の3軒と異なる、パリッとした薄い生地が特徴のローマスタイル。もっちりとしたナポリ風とは対照的な生地は、軽やかで後を引く味わいだ。一番人気は、チーズ4種を合わせた「クワトロフォルマッジ」(¥4,800)。

 

 ほかに京野菜や西京味噌といった京都の食材を使用した季節のピッツァなど全7種類がラインナップしている。ランチではアラカルトに加えてピッツァが主役のコースも。京都ならではの建築と庭園美、そして窯の香りが交差する唯一無二のダイニング体験がここにある。

 

 

二十四節気に合わせて設えられた日本庭園を囲むように座席が配されている「FORNI」。店内は和を感じさせる落ち着いた色調で、京町家で使用されていた木材を再利用した天井や、京都のアーティストによる作品が空間を彩る。おすすめはプロシュットやカプレーゼから豚バラ肉のグリルやデザートまでセットになったランチコース(¥8,900)。TVで取り上げられて話題となった「クワトロフォルマッジ」は、今や看板メニューとして定番の一枚。お問い合わせ先:TEL. 075-468-3166

 

 

「THE RAKE日本版」Issue64より抜粋

 

 

<本連載の記事は以下より>

Vol.01 ホテルでクルマを愉しむ

Vol.02 高層階のプールを安息地にする

Vol.03 ホテルの名物料理

Vol.04 素敵なテラスのある客室

Vol.05 最新ルーフトップバー

Vol.06 ルームサービス限定の一皿 其ノ一

Vol.07 ルームサービス限定の一皿 其ノ二

Vol.08 バーバーで男を磨く

Vol.09 名物手土産 -定番編-

Vol.10 名物手土産 -缶クッキー編-

Vol.11 名物手土産 -アロマ編-

Vol.12 ドライサウナがあるホテルのスパ

Vol.13 夏限定の麺料理

Vol.14 テイクアウトメニュー

Vol.15 ホテルで花を贈る

Vol.16 ピクニックボックス

Vol.17 会員制のスパ&フィットネス

Vol.18 名物手土産<クッキー缶編 第二弾>

Vol.19 サブスクリプションサービス

Vol.20 バーでボトルキープ

Vol.21 バーでボトルキープ 其の二

Vol.22 ヘリコプターで行けるホテル

Vol.23 ホテルが手がけるクルーズ

Vol.24 ホテルのナイトウェア

Vol.25 2023年開業のホテル

Vol.26 ホテルで鍋を囲む

Vol.27 最新&定番手土産

Vol.28 ホテルのこだわりパン《第一回 赤坂・虎ノ門エリア》

Vol.29 ホテルのこだわりパン《第二回 大手町・日比谷エリア》

Vol.30 夏に食べたい麺料理

Vol.31 京都・大阪の新ホテル

Vol.32 実は個性的な鉄板焼

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