HOTELS DELUXE Vol.32

ホテル連載第32回:実は個性的な鉄板焼

May 2025

鉄板焼は、香り、音、シェフの所作までも味わう食のエンターテインメントだ。そのすべてを個性豊かに表現する4軒を紹介する。

※価格はすべて2025年3月現在の税込です。

 

 

text yukina tokida

 

 

<セント レジス ホテル 大阪>

関西ならではの旬の食材と飯塚シェフの技巧が織りなす鉄板焼で味わう本格フレンチ。

 

メニューは季節ごとに変わる。写真は冬の一品。生きたまま空輸されたスコットランド産オマール海老の一品。付け合わせに旬のうるいを添えて、オマール海老の殻を使ったアメリケーヌソースとともに。

 

 

 

 セント レジス ホテル 大阪の「和城」が、新たなスタイルへと進化した。日本の旬の食材をフレンチの技法に落とし込んだ料理で定評のある飯塚隆太氏がメニューを監修。季節ごとに内容は変わり、冬はオマール海老のソテーや厳選牛肉、黒トリュフのリゾットなどがラインナップしていた。

 

 オマール海老はレアな部分としっかり火が通った部分のコントラストを楽しむことができ、牛肉は1時間ほどかけてゆっくり火入れすることで旨味を凝縮。リゾットには硬めに炊いたコシヒカリを使用し、見事な粒感を残した仕上がりに。それらの味わい深さをより高めてくれる、珍しいワインや日本酒とのペアリングもおすすめだ。

 

 

メニューは季節ごとに変わる。写真は冬の一品。国産コシヒカリを使った黒トリュフ香るリゾット。コース終盤でもぺろっと食べられる、ミルクやチーズを抑えたあっさりとした味わい。

 

 

左:カウンター席は千利休の侘び寂びを表現した落ち着いた空間。お問い合わせ先:TEL.06-6105-5659

 

 

 

<ストリングスホテル東京インターコンチネンタル>

舞台を思わせるカウンター席は、厳選食材がシェフの手で美食へと変わる瞬間を目撃できる特等席だ。

 

4名ずつで席が区切られた半個室のようなカウンター席。シェフが華麗な手捌きを披露する姿は舞台上の演者のようだ。デザートはテーブル席へ移動してゆっくりと堪能できる。

 

 

 

 ストリングスホテル東京インターコンチネンタルの「風音(かざね)」は、劇場のような演出と美食が融合した空間だ。店が位置するのは27mの吹き抜けが広がるロビー階。その一角にシックな大理石のカウンター席が佇む。歌舞伎の下座(げざ)音楽「風音(かざおと)」が店名の由来ということもあり、カウンターの奥で振る舞うシェフたちはまるで演者のよう。

 

 コースは、音色のバリエーションや変化を歌舞伎などの伝統的な舞台構成「序破急」で捉えた3種類をラインナップしており、なかでもおすすめは店名と同じ名の「風音」だ。鮑や帆立などの海鮮から厳選牛肉の食べ比べまで、山の幸から海の幸まで余すところなく堪能できる。

 

 

コース「風音」(¥25,000税込・サービス料別)では、和牛サーロインと和牛フィレの食べ比べを楽しめる(写真はイメージ)。御食事は福島県産の白米「里山のつぶ」と東京・立川産の「錦味噌」を使った味噌汁(ガーリックライスへの変更も可能)。お問い合わせ先:TEL.03-5783-1258

 

 

 

<ザ・リッツ・カールトン東京>

和の心に洋の感性を添えて。料理長の大江侑基氏が創り上げる唯一無二の鉄板焼とは。

 

鉄板焼料理長の大江侑基氏。

 

 

 

 会席、寿司、天麩羅、鉄板焼の4つのエリアを擁する、ザ・リッツ・カールトン東京の日本料理「ひのきざか」。その鉄板焼部門を率いるのが大江氏だ。和と洋、両方の鉄板焼の経験を持つ氏が手がけるのは、そのふたつを巧みに合わせた料理。

 

 例えば過去のメニューでは、蕪蒸しにタイムの香りのオイルを添えたひと皿や味噌ベースのソースに黒トリュフを合わせた料理、チョコレートを羊羹(ようかん)に仕立てたデザートなどが登場。和をベースに洋のエッセンスを繫ぎ役として加えることで、味わいに奥行きをもたらしている。料理の一部では、会席部門がその日の朝に引いた出汁を使うことも。技の光る鉄板焼だ。

 

 

シェフが一番得意とする鮑を使った一品。蝦夷鮑のソテーをメインに、もものすけというピンク色が美しい蕪を使った蕪蒸しを添え、タイムの香りのオイルをプラス。鮑の肝粥を合わせて。(2024年12月のコースメニュー)

 

 

日本の伝統とモダンが融合するカウンター席。お問い合わせ先:TEL.03-6434-8711(レストラン予約)

 

 

 

<W大阪>

大阪の粉もん文化から割烹まで楽しくてリュクスな鉄板焼を堪能できるユニークな一軒。

 

直径10センチほどのお好み焼きは、メレンゲを加えた生地を使ったライトな仕上がり。華やかな見た目に心が躍る。

 

 

 

 大阪の食の歴史をテーマに掲げるW大阪の「MYDO」は、3つの異なるスタイルのセクションからなる。大阪らしい“粉もん”などを提供する「FUN」、国産ブランド牛や海鮮などの高級食材を組み合わせたクリエイティブな料理を堪能できる「LUXE」、そして大正時代に大阪で誕生したといわれる割烹を鉄板焼スタイルに昇華させた「KAPPO」だ。

 

 なかでもユニークなのは、FUNで楽しめる「カナダ産オマール海老のお好み焼き」や「出汁たこ焼き」。銀杏やキヌア、ポルチーニが入った羽付きの「ヴィーガン餃子」を含むベジタリアン用のコースやアラカルトも用意されている。ジャンルを超えてのオーダーも可能だ。

 

 

3つのジャンル毎に分かれたカウンター席のほか、ホテルの車寄せから直接アクセスできる個室も完備。個室専用のお手洗いも備えている。金色が基調の明るいカウンター席とは異なり、落ち着いたインテリアが特徴。内装は森田恭通氏と黒田征太郎氏の大阪生まれのふたりによるもの。お問い合わせ先:TEL.06-6484-5812

 

 

 

<本連載の記事は以下より>

Vol.01 ホテルでクルマを愉しむ

Vol.02 高層階のプールを安息地にする

Vol.03 ホテルの名物料理

Vol.04 素敵なテラスのある客室

Vol.05 最新ルーフトップバー

Vol.06 ルームサービス限定の一皿 其ノ一

Vol.07 ルームサービス限定の一皿 其ノ二

Vol.08 バーバーで男を磨く

Vol.09 名物手土産 -定番編-

Vol.10 名物手土産 -缶クッキー編-

Vol.11 名物手土産 -アロマ編-

Vol.12 ドライサウナがあるホテルのスパ

Vol.13 夏限定の麺料理

Vol.14 テイクアウトメニュー

Vol.15 ホテルで花を贈る

Vol.16 ピクニックボックス

Vol.17 会員制のスパ&フィットネス

Vol.18 名物手土産<クッキー缶編 第二弾>

Vol.19 サブスクリプションサービス

Vol.20 バーでボトルキープ

Vol.21 バーでボトルキープ 其の二

Vol.22 ヘリコプターで行けるホテル

Vol.23 ホテルが手がけるクルーズ

Vol.24 ホテルのナイトウェア

Vol.25 2023年開業のホテル

Vol.26 ホテルで鍋を囲む

Vol.27 最新&定番手土産

Vol.28 ホテルのこだわりパン《第一回 赤坂・虎ノ門エリア》

Vol.29 ホテルのこだわりパン《第二回 大手町・日比谷エリア》

Vol.30 夏に食べたい麺料理

Vol.31 京都・大阪の新ホテル

not found