THE BIG BANG
80年代狂騒曲
February 2020
新時代のスター 80年代には、「それまで単に専門職を目指していたような者が、自分自身をブランドと見なし、メディアをうまく利用していた」とピーター・ヨークは言う。シェフやモデルに“スーパー”という接頭辞が付けられる段階にはまだ至っていなかったが、その素地が整いつつあった。
ロンドンのワンズワース・コモンでは、天才シェフ、マルコ・ピエール・ホワイトのレストラン「ハーヴェイズ」に上流階級の人々が集まり、名物のヌガーグラッセに舌鼓を打った。ボサボサ頭で華麗な包丁さばきを見せる彼のキャラクターを真似する者が次々と現れ、その見た目やパフォーマンスに注目が集まった。
同じようにモデルは女優並みの人気を集め、彼女たちの一言一句や私生活が注目された。エル・マクファーソンが写真家のジル・ベンシモンと結婚したのは1986年。ふたりは一世を風靡したが、1989年には離婚した。
リンダ・エヴァンジェリスタは1987年にエリートモデルの代表と結婚し、翌年にはショートカットでブレイクした。カーラ・ブルーニは1988年にゲスの顔になり、翌年からエリック・クラプトンと付き合い始めた。ナオミ・キャンベルは黒人初の仏ヴォーグ誌の表紙を飾った1988年の翌年にマイク・タイソンと付き合い始めた。
シンディ・クロフォードは1989年から人気ファッション番組「House of Style」でホストを務め、2年後にはレブロンと契約を交わし、リチャード・ギアと結婚した。初期の*スーパーモデルは、ハリウッドがやや陰りを見せた頃に、昔ながらのハリウッドビューティー的な美貌を披露していた。
「1日1万ドル以下の仕事なら、ベッドから起きないわ」というリンダ・エヴァンジェリスタの有名なコメントや「私は大金を稼ぐし、それだけの価値があるの」というナオミ・キャンベルの発言に象徴されるように、彼女たちの勢いはとどまるところを知らなかった。
*スーパーモデル=90年代初頭に定着した言葉。女優やポップスター並みの人気を得たファッションモデルは、富と名誉と美貌の象徴となった。
本記事は2019年9月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。
THE RAKE JAPAN EDITION issue 29
Contents
Thursday, May 2nd, 2024
Monday, July 13th, 2020
Wednesday, March 18th, 2020
Saturday, February 22nd, 2020
Wednesday, January 29th, 2020
Thursday, January 16th, 2020
Friday, December 6th, 2019
Tuesday, December 3rd, 2019