Monday, July 13th, 2020

The Rakish ART ROOM Vol.03

今買える、世界の名画 Vol.03
モイーズ・キスリング

第一次世界大戦後の1920年代、空前の好景気に沸いたパリ、モンパルナス。
“パリのアメリカ人”が跋扈し、毎日がお祭り騒ぎだったこの「エコール・ド・パリ」の聖地に、
ふたりのキキが君臨した。ひとりは画家のキスリング、もうひとりは伝説のモデル、アリス・プランである。
text setsuko kitani cooperation mizoe art gallery

モンパルナスのキキ横たわるキキを描いた、キスリング絶頂期の作品。西洋絵画の裸婦像によくみられるポーズをとっているものの、艶やかさのなかに倦怠感や虚無感が漂うのは、キスリングならではのメランコリーの表現。宝石のような深い輝きを持つ色彩は、透明性の絵具を何層も塗り重ねることによって表している。キャンバスに油彩 73×100cm 1925年制作 ¥25,000,000(税込価格) お問い合わせ:ザ・レイク・ジャパン info@therakejapan.com

 その柔らかく温かい皮膚の感触が伝わってくるような、どっしりと輝くヌード像。伝統的な裸婦像のポーズをとった女性は、暖色の敷布と、寒色の背景の間で、豊満な裸体を惜しげもなく晒している―。

 描かれているのは、「モンパルナスのキキ」と呼ばれたアリス・エルネスティーヌ・プラン(1901-1953)。ブルゴーニュの貧しい家庭に生まれ、1913年にパリにやってきた彼女は、15歳の頃にモンパルナスに集う芸術家たちと知り合い、彼らのためにポーズをとるようになる。数あるモデルの中でも、その天真爛漫で機知に富んだ性格は画家たちを魅了し、フジタやスーティン、ヴァン・ドンゲンらが彼女を描いた。彼女がいないと「(カフェの)ドームはドームらしくなくなり、モンパルナス界隈の影が薄くなる」とさえいわれたという。

 そんな彼女に、画家のキスリングが出会ったのは、第一次世界大戦後間もないカフェ、ラ・ロトンドの店先だった。初めてキキを見かけたキスリングは、店の主人に大声で聞いたのである。

「あの新しい淫売婦は誰だい?」

本記事は2019年7月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 29

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Contents

<本連載の過去記事は以下より>

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