NEO TRADITIONAL GAZATTEER RAKISH TOKYO GUIDE vol.3
SARTORIA CICCIO
サルトリア チッチオ
世界中の富裕層を魅了する都会的なナポリ仕立て
December 2019
チッチオこと上木規至氏の服に、今世界が注目している。
通常は2回の仮縫いを経て完成する。バンコクの実業家プラニタン・フォルンプラハさんは昔からの顧客なので、本人の希望もあり、仮縫いは1回で。ナポリとは異なり、かなり綿密にチェックする。
サルトの仕事は服を仕立てることだから、サルトは技術ばかりを追求しがちだ。もちろん、それはすごく大切なことなのだが、技術さえ高ければよいわけではない。自分の仕事がいちばんだと自負していても、客はそれだけではついてこない。
ビスポークは「人」対「人」。大切なのは、その人自身と服に、客を魅了するだけの華があるかどうかだ。2003年からナポリで3年間修業したチッチオの上木規至氏には、その華がある。
ナポリの服にみられる柔らかい仕立て、美しい縫製という2つにおいては、ナポリで修業した日本人なら、キャリアを積んでいれば時間とともに自然と辿り着く。
もちろん、キャリアを積む中でいろいろ技術的な問題に直面するだろうが、それは試行錯誤のうちに解決していけるはずだ。ただし、服にはデザインがあり、テイストというものが存在する。仕立てる服はその人の美意識を如実に反映するのだ。
本記事は2017年5月24日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 16