January 2021

INTRODUCING THE HANHART × THE RAKE & REVOLUTION LIMITED EDITION
BRONZE 417 CHRONOGRAPH

スティーヴ・マックイーンが愛した時計

text wei koh

 1935年、ヨハンの息子であるヴィルヘルム・ユリウス・ハンハルトが率いていた同社は、スプリットセコンド式ストップウォッチを製作してさらに功績を重ねた。1938年、ハンハルトは伝説の「キャリバー 40」で駆動する同社初の近代的クロノグラフを発売。ドイツの空・海両軍の時計のためのモノプッシャー式のムーブメントだった。1939年には、細かな装飾を施した回転ベゼル、マットブラックの大ぶりな文字盤、夜光カテドラル針および夜光マーカーを特徴とするクロノグラフを、空・海両軍の将校が着用することになる。

 興味深いことに、これらの時計はステンレススチールとクロムメッキを施した真鍮の2タイプが製造されていた。1941年には、フライバッククロノグラフムーブメント、「キャリバー 41」を導入。これはコラムホイール機構を搭載した工学技術の傑作であった。大戦後、ハンハルトはフランス軍用のモデル「タイプ20」を「ヴィクサ」という名で製造していた。

 1956年、「キャリバー42」を搭載する形で、自社の伝説的パイロットウォッチの製造を再開。「フリーガー クロノグラフ 417」を生産した。現代的なペンシル針となっているため、第二次世界大戦当時のものとはすぐに見分けがつくものだ。ところがこのモデル、1958年には生産をやめてしまった。この2年の間に製造されたのは、僅か1,000本といわれている。素材にちなんで“ES”と加えられたステンレススチール製の500本と、追加名のない、クロムメッキを施した真鍮製の500本である。これに加えて、白い文字盤を採用した医療関係者向けのバージョンもごく少数だが製造された。

 417は史上最も美しく、最も実用的に設計された軍用クロノグラフと評価されている。信頼性の高いムーブメント、42mmという絶妙なケースサイズ、すっきりしたダイヤルデザインと優れた視認性、耐衝撃・耐磁性のおかげで、417は時計コレクターから絶大な人気を得た。

本記事は2020年11月25日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 37

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