5 RAKES WHO WORE KNITWEAR WELL

ニットの巧みな着こなし方

October 2021

シンプルなカーディガンからボリュームのあるケーブルニットまで。

レイキッシュな5人の男性から、ニットウェアの着こなしを学ぶ。

 

 

by NATASHA DRAX

 

 

 

ブラウンのショールカーディガンとデニムシャツを組み合わせるスティーヴ・マックイーン(1966年)。

 

 

 

 置き時計からブレスミントに至るまで、現代人が当たり前に使っている日用品の多くは、エジプト人が発明した。初めてのニットウエアも、実は彼らの手によるものだと言われている。

 

 クラシックなスタイルのニットセーターは、その豊かな歴史と汎用性の高さゆえ、永遠のアイテムといえるだろう。上質なものは世代を超えて受け継がれ、性別を超えて共有され、流行に関係なく愛される。まさに“ファストファッション”の対極にあるものだ。

 

 究極のニットウエアの着こなしを学ぶべく、ざっくりとしたケーブルニットや贅沢なカシミアのVネックなどのニットウェアを見事に着こなす5人のレイキッシュな男性を紹介しよう。

 

 

 

ジーン・ケリー の“カーディガン”

 

ニットウエアに身を包んだジーン・ケリー(1957年)。

 

 

 ライトウエイトのカシミアのカーディガンを着ているジーン・ケリーのこのスタイルは不変といえるもので、現代でも簡単に真似ることができる。ストライプのシャツを無地のボタンダウンに変えて襟を小さくすれば、モダンで洗練されたスタイルとなる。淡い色のニットにロールアップしたトラウザーズと白いソックスを合わせ、ペニーローファーを履いている姿は、暖かい夏の日にピムス・リキュールを飲むようなイメージだ。

 

 

 

エルビス・プレスリーの“ファネルネック”

 

『監獄ロック』のエルヴィス・プレスリー(1957年)。

 

 

 エルヴィスはかつて、白くてスタッズのついたフレアなジャンプスーツを着こなしたことがある。この事実は、エルヴィスがどんなものでも似合うということを証明している。だからこそ、シンプルなファネルネックのニットを黒のパンツに合わせて、カジュアルかつクールに着こなすことができるのも不思議ではない。

 

 袖口、裾、首元に施されたリブは、暖かさを得られるだけでなく、質感のコントラストをもたらす。ファネルネックのニットはハーフジップがついているものもあり、重ね着できるようになっている。カジュアルなスタイルでは、Tシャツとジーンズの組み合わせもありだが、ややフォーマルな場面では、襟付きのシャツとダークなトラウザーズに合わせてみるといいだろう。

 

 

 

スティーヴ・マックイーンの“ケーブルニット”

 

スティーヴ・マックイーン(左)と、映画『華麗なる賭け』の監督ノーマン・ジュイソン(1968年)。

 

 

 ケーブル編みのニットは、今日においても伝統的なスタイルのひとつだ。19世紀初頭に漁師の防寒用に考案され、20世紀半ばにはファッションの定番となっていた。

 

 基本的な構成は、海で生まれた当初からほとんど変わっていない。伝統的なロープ編みのボディ、クルーネック、リブ編みの袖口とウエストが特徴で、質感と模様、そしてもちろん暖かさを確保している。

 

 ベースボールキャップを被ったレイキッシュ・マンはなかなかいないが、スティーヴ・マックイーンは例外だ。ケーブルニット、ベースボールキャップ、そしてキューバン・シガーのコーディネイトは、この上なく素晴らしい。

 

 

 

ジョン・F・ケネディの“クルーネック”

 

メイン州の海岸沖で米国沿岸警備隊のヨットに乗るジョン・F・ケネディ大統領(1962年)。

 

 

 ジョン・F・ケネディ大統領のヨット好きはよく知られており、大海原を旅したときにはいつもその場にふさわしい服装をしていた。ウールのクルーネック・セーターに、襟付きのシャツ、クリーム色のトラウザーズ、ボートシューズ、そしてレイバンのクラシックなサングラスであるウェイファーラーを合わせるのが定番だった。

 

 JFKは、シャツの襟をインしたままセーターを羽織ることでリラックスしたスポーティスタイルを演出しているが、襟を出してよりすっきりとしたスタイルとしてもいい。

 

 この合わせがプレッピーすぎるという方は、デニムシャツ、ジーンズ、ハイブランドのスニーカーなどを合わせてもいいだろう。もちろんウェイファーラーはお忘れなく。

 

 

 

ショーン・コネリーの“Vネック”

 

ショーン・コネリーと映画『007 ゴールドフィンガー』の監督ゲルト・フレーべ(1964年)。

 

 

 ショーン・コネリーのバーガンディのニットとグレイのポロシャツの組み合わせはゴルフコースに適しているが、スポーツの場以外でもVネックの汎用性は高い。

 

 伝統的にソフトでライトウエイトなこのスタイルのプルオーバーは、冬の重ね着に欠かせないアイテムで、エレガントでありながら保温性に優れており、どんなワードローブにもマッチする。スポーツにも、ビジネス・ミーティングのジャケットのインナーとしてもよい。控えめなV字型にストレッチ・カフスとウエストを組み合わせることで、インナーにシャツを着ても余裕があり、テーラード・アンサンブルを完成させることができる。