Tuesday, February 9th, 2021

What is NEW LUXURY? vol.06

キーパーソンに訊いた、これからの
“ニューラグジュアリー”とは? vol.06

text & direction yoshimi hasegawa
photography daisuke akita

KEY PERSON 06
高田 朋佳氏
SNSが生むメンズウェア無限の可能性

Takada Tomoyoshi / 高田 朋佳1982年、東京都生まれ。ファッション系専門学校を卒業後、ビームス入社。メンズドレスクロージングのバイヤーを経て、シンガポールのスペシャルティストア、コロニークロージングのクリエイティブディレクターに。インスタグラムフォロワーは9.2万人、公式YouTubeチャンネル「TAKADA CHANNEL」も開設、世界に向け精力的な活動を行う。

ジャケット着用ながらリラックスに重きをおいた、今の気分を反映したスタイル。クラシックなダブル、ゴールド6つボタンのブレザーはリングヂャケット。改まった場面から近所へ食事に行くなどあらゆる場面に対応できる。トラウザーズはコットン・ポリウレタンのコロニークロージング、バックサイドがエラスティック仕様となっている。シューズはグッチのビットローファー。冬でもホーズを穿かないのが高田氏の着こなしのトレードマークだ。

 シンガポールと東京、高田朋佳氏が双方の都市で暮らす中で突如として始まったニューノーマルなライフスタイル。そこで実感したニューラグジュアリーは意外にも価値観の転換だった。

「インスタグラムをはじめとするSNSで個人の自由な連携がより可能になった。これから店に来て買うという感覚は変わると思います。豊かさは身近にあって、SNSで繋がることができる。YouTubeチャンネルを始めたのも同じ理由です。モノを売るためのチャンネルではないので値段は伝えないのがポリシー。これが洋服に興味を持つきっかけになってもらえればと思っています」

 SNSで繋がることは、果たしてニューラグジュアリーとなり得るのか。そのひとつの解答が高田氏が発起人となったチャリティ・タイ・プロジェクト〝SIAMO VICINI(シアモ・ヴィチーニ)〟だ。ブランドや会社の垣根を越えたメンズウェア業界を代表する8人が集合し、個々のデザインしたネイビータイを受注販売した(受注は11月15日に終了)。ピッティ・イマジネ・ウオモとも連携したこのプロジェクトは大きな話題となり、SNSで連携することの可能性を示唆した。同時にサスティナビリティも考慮にいれている。

「大量生産と大量廃棄はしない。SNSで発信して、自分たちで売るチャリティプロジェクトにしました。アパレル業界やピッティにも何か貢献できればと思って始めたのですが、プロジェクトそのものが楽しいし、素晴らしい経験でした」

「このブレザーを着るだけで背筋が伸びますし、全体の雰囲気をクラシックにする効果があります」。トップスはドロップショルダーのオーベルジュのニット。トラウザーズとともにリラックスしたサイズ感も今の気分だ。

 では、存続が危ぶまれるタイと同様に、スーツは生き残れるだろうか?

「生き残ると思いますし、絶対になくしたくない、全力で守りたいと思っています。スーツはユニフォームではなく、これからはもっと意識的に着る嗜好品になる。スーツを着たときの格好良さや背筋が伸びる感じ、自分の体に合った、ある程度のクオリティのスーツを着用した人なら、誰もがその感覚を持っている。それは失われることはないと思いますし、スーツの特別感は残していきたい」

 シンガポールから見て思うのは、ヨーロッパとは異なる、アジア特有の着こなしに対する自由さだ。

「シンガポールには冬がないので今までのサイクルに適合していない。春夏秋冬を飛び越えるとトレンドに対する疑問も出てきました。もっと自由でカジュアルなクラシックの着方を、アジアから世界へ発信していきたいと思っています」

アンティークで買った時計は40年代のハミルトン、フリーメーソン会員用限定版でナイロンストラップのベルトは自分で交換した。

ひとつの機能しかないガジェットに贅沢さを感じるという。折りたたみできるホットサンドメーカーはスノーピークで見つけたもの。家族と楽しむ朝食やキャンプでのホットサンド作りに愛用している。

本記事は2020年11月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 37

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