March 2015

RALPH LAUREN
THE AMERICAN DESIGNER

偉大なる、アメリカンヒーロー
―ラルフ・ローレンのすべて―

by wei koh
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ローレン家の人々。(左から)ディランの夫ポール・アローイット、娘ディラン・ローレン、ラルフ・ローレン本人、妻リッキー・ローレン、長男アンドリュー・ローレン、デイヴィッドの妻ローレン・ブッシュ・ローレン、次男デイヴィッド・ローレン。

世界最古のがん治療病院へ ラルフ・ローレンの最新の取り組みは、世界最古のがん治療専門病院である、ロンドンのロイヤル・マースデン病院に、乳がん研究センターを新設することだ。ラルフ・ローレンの取り組みの多くは目立たないところでされてきたが、ウィンザー城で催された祝賀会は、高い注目を集めた。パーティには、同病院の後援者であるケンブリッジ公ウィリアム王子をはじめ、英国文化を代表する人々が参加したからだ。

 デイヴィッド・ローレンは、プロジェクトの始まりをこう回想する。

「私たちは以前から、ピンク ポニーを通じて、ロイヤル・マースデンに何年も寄付をしていました。するとある時、ロンドンで働く『ヴォーグ』誌の編集者で、ロイヤル・マースデンの理事でもあるアレクサンドラ・シュルマンから電話があったのです。病院側は、当社との協力関係を強化することを希望していました。当初、彼女が提案してくれたのは、ウィンザー城で父のファッション・ショーを行うということでした。ところがあれほど由緒ある建物のなかで演出や照明を行うことは、ほとんど不可能なことでした。それを悟った私たちは、予定日の3週間前に止むなくショーをキャンセルすることにしました」

 しかし、その試みは無駄ではなかった。

世界中のがん患者のために「その過程で、われわれはロイヤル・マースデンがいかに素晴らしい病院であり、素晴らしい理念を掲げているかに気づかされました。ロイヤル・マースデンとの関係を深めることは、特別な意味を持つと考えたのです。そこで私たちは、ウィンザー城でイベントを催すだけではなく、ウィリアム王子とロイヤル・マースデンに敬意を払い、大口の寄付をすることで、この新しい研究センターの建設に役立ててもらおうと決めました」

 ロイヤル・マースデンのチーフ・エグゼクティブ、ギャリー・パーマーはこう語る。

「ここでは年間500を超える臨床試験を行い、世界中の患者のために、よりよい治療を追求しています」

 エグゼクティブ・ディレクターのマーティン・ゴア教授は「この病院で誕生し、がんの一般的な治療薬として世界中で用いられている薬はいくつもあります。ローレン氏の力添えによって、新しい研究センターが誕生すれば、その研究規模をさらに大きくすることができるでしょう。さまざまな療法や早期判断の方法を開発するための、確実なステップアップとなるはずです」と胸を張る。

「ロイヤル・マースデンの新しい乳がん研究施設は、ほんの第一歩にすぎません。がんとの闘いは一歩一歩、少しずつ進んでいくものです」とローレンは語る。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 03
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