Tuesday, March 24th, 2015

RALPH LAUREN
THE AMERICAN DESIGNER

偉大なる、アメリカンヒーロー
—ラルフ・ローレンのすべて—
世界でもっとも成功したデザイナー、アメリカン・ドリームの体現者、それがラルフ・ローレンである。
彼が一代で築き上げた“帝国” は、一介のネクタイのセールスマンだった青年に、
信じられないほどの富と名声をもたらした。しかし、彼が本当に偉大だと言われるのは、
ただ単に、ビジネスで成功を収めたからではない。恵まれない人々に
そっと手を差し伸べる慈愛の心こそ、彼がヒーローと呼ばれる所以なのだ。
by wei koh
Giving from the Heart
ラルフ・ローレン、その知られざる顔
ラルフ・ローレンは、世界的な成功を収めたラグジュアリー・ブランドを生み出した、
米国人デザイナーとして知られている。しかし、彼には、あまり知られていないもう一つの顔がある。
彼は目立たぬところで、数々の慈善プログラムに、膨大な資金を提供してきたのだ。
なかでも、がんの治療と研究に関しては、とりわけ大きな支援を行ってきた。
ローレン自身は、これまでの数々の善行を公開したいとは思っていないようだが、
その功績を考えると、彼こそまさに、“アメリカン・ヒーロー” と呼ぶにふさわしい人物だといえよう。

究極のラグジュアリーとは? 2014年6月17日、ラルフ・ローレンは、アメリカでもっとも栄誉ある勲章のひとつ、ジェームズ・スミソン・メダルを受章した。ヒラリー・クリントンは、授与の際、
「ラルフはいつも未来へのビジョンを持ち、エネルギーに満ちています。彼は自らアメリカン・ドリームを実現させただけでなく、多くの人々に、夢をかなえるチャンスを与えてくれました」
とスピーチした。
 私たちが知っているラルフ・ローレンは、世界に名を馳せるスターだ。しかし、ヒラリーの言葉は、彼が一番大切にしているものを、実は私たちの多くがほとんど知らないということを示唆している。
 彼の心の中で大きなウエイトを占めているのは“人を助けたい”という願いだ。
「ラグジュアリーといえば、人は高価なものを想像するでしょう。しかし私は違う見方をしています。多くの人にとって本当のラグジュアリーとは、モノではなく、自分の求める人生を実現することです。ですから、究極のラグジュアリーとは、教育や医療の支援によって、その可能性を人々に与えることかもしれません」
 しかしローレンが、自らの博愛主義を公の場で口にすることは滅多にない。活動にスポットライトが当たるのも好まない。
「誰かを助けられるなら、私はいつでもそうするつもりです。私自身も、幸せな気分になれるからです。しかし人に慈善家と呼ばれるのは、好きではありません」
 ラルフ・ローレンがん予防センターの医師、ハロルド・フリーマンはこう言う。
「ラルフは物静かな人物です。そのやり方は控えめで目立たない。彼は一歩離れたところから援助をするのです。自分の手柄を気にかけている様子は微塵もなく、常に他の人々のことを思っています」
 次男であり、ローレン社のエグゼクティブバイスプレジデントを務めるデヴィッド・ローレンは、父についてこう語る。
「父が行った援助のほとんどは、公になることはないでしょう。そのなかには、悩みを抱えたスタッフや友人、自らの暮らすアパートメントのドアマンに対する、ちょっとした援助も含まれます。助けが必要な人がいて、その話に心を動かされるなら、相手が誰であるかは関係ないのです。父は、困っている人を助けるときは、無欲でなければならないと教えてくれました。そんな父を、心から誇らしく思っています」

issue03_01_2

アメリカ人デザイナーであり、傑出した博愛家であるラルフ・ローレン。撮影場所はロンドンのスペンサー・ハウス。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 03
1 2 3 4 5