Saturday, January 16th, 2021

PATEK PHILIPPE CHRONOGRAPH

クロノグラフの最高峰たる所以

スポーティなイメージの強いクロノグラフだが、
実は特別な時間を演出するためのエレガントな時計だった。
その歴史をつくったのが、パテック フィリップである。
text tetsuo shinoda

クロノグラフの正統な後継者2010年に発表されるや、瞬く間に愛好家を魅了した「Ref.5170」。医師が患者の脈拍を測るパルスメーターや左右対称に並ぶサブダイヤル、そして角型のプッシュボタンなどは、傑作「Ref.130」から連なるパテックフィリップの伝統だ。手巻き、18KWGケース、39㎜。Patek Philippe(パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター Tel.03-3255-8109)

時を操り、時を楽しむ 時(Chrono)を記録(Graph)するクロノグラフは、約200年前に考案された。そのきっかけは、貴族の遊びだったホースレース(競馬)の計測用。つまり、ラグジュアリーな機構として登場したということになる。しかも “時の流れを自由自在に操作する”という哲学的な魅力も備えていた。クロノグラフは今でこそ定番機構だが、かつてはコンプリケーションの花形であり、限られた人だけが所有できる特別な存在だったのだ。

 名門パテック フィリップは、クロノグラフの歴史の真っ只中にいる。1856年にアメリカの馬主のために懐中時計式クロノグラフを開発し、1923年には時計史上初めて腕時計にスプリット秒針クロノグラフを搭載。その後もクロノグラフ機構を小さく、複雑に、そして可憐に進化させてきた。

 パテック フィリップでは長らく、名門エボーシュメーカーの良質な機械をベースに、徹底的に改良を施してクロノグラフを作ってきた。しかし2009年に大きな転換期が訪れる。6件の特許を取得した完全自社製クロノグラフムーブメントCal.CH 29-535 PSが誕生したのだ。

 高い精度と安定性、そしてコンパクトな設計を実現しつつ、連綿と受け継がれるクロノグラフの伝統を重んじ、水平クラッチやコラムホールも継続。シースルーバックから見えるパーツたちは、惚れ惚れするほど美しい。

 このムーブメントが搭載された2010年発表の「クロノグラフRef.5170」は、技巧を楽しむラグジュアリーな嗜好品という“クロノグラフの本流”。技術進化の中心を歩んできた、パテック フィリップらしい一本である。

パテック フィリップ クロノグラフの変遷

1856
ラグジュアリー
クロノグラフの原点
1856年に完成したパテック フィリップ初のクロノグラフ。競走馬の詳細なタイム計測を行うため、1/4秒の単位まで計測できる機構だ。

1923
小ぶりで可憐な
クロノグラフ
複雑なスプリット秒針クロノグラフ機構を小型化させ、腕時計に搭載した。3時位置に60分の積算計を備えるワンプッシュ式だ。

1934
現代へと連なる
クロノグラフの頂点
ヴァルジュー社のエボーシュを使った「Ref.130」は、その後のクロノグラフのデザインに多大な影響を与えた傑作。スプリット秒針式。

1951
複雑機構を加えた
技巧派クロノグラフ
永久カレンダーとムーンフェイズを加えたグランド・コンプリケーションモデル「Ref.2499」。視認性を考慮した端正なレイアウトが特徴。

本記事は2015年3月24日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 03

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