March 2015

RALPH LAUREN
THE AMERICAN DESIGNER

偉大なる、アメリカンヒーロー
―ラルフ・ローレンのすべて―

by wei koh
issue03_01_24

1998年、スミソニアン協会で、当時のビル・クリントン米大統領とヒラリー夫人の間に立つラルフ・ローレン。彼はこの場所で、星条旗の修復と保存に尽力することを約束した。

受けた恩は返す、それがアメリカ人 ここでヒラリー夫人が語ったのが、自身の手がける国宝の保護プロジェクト、“セーブ・アメリカズ・トレジャーズ”だった。

「夫人によれば、我が国の大切な象徴であり、米国史の一部である星条旗が、大規模な修復を必要としているとのことでした。そして夫人は私に『その仕事に、興味はありませんか? その仕事をやってもらえないでしょうか?』と尋ねたのです。当時の私は、星条旗を取り入れた服を数多く製作していました。ですから、私はヒラリー夫人に『私たちは星条旗を商業的に使用してきました。それについてはどうお考えになりますか?』と聞かずにはいられませんでした。宣伝のために旗の修復を利用していると、人々に思われたくなかったのです。しかし夫人の答えは、『何も問題は見当たりませんよ』というものだったのです。そこで私たちは旗を後世に残すため、喜んで協力することにしたのです」

 ラルフ・ローレンはこのプロジェクトに、1000万ドルを寄付した。これは当時、アメリカの文化遺産を保存するために寄付される額としては、史上最高だった。2014年のスピーチで、ヒラリー夫人はこう語った。

「ラルフは呼びかけに応えてくれました。彼にその義務はなかった。けれど彼は理解してくれました。彼の中に、“受けた恩に対しては、心からのお返しをするべきだ。それこそがアメリカ人らしさなのだ”という思いがあったからです」

世界中に輪を広げる ラルフ・ローレンは、世界中の災害に対しても援助を行っている。例えば、東日本大震災の際には、ラルフ ローレン社は特別なシャツを製作し、売上高の100%を、赤い羽根共同募金に寄付している。

「ここ10年から15年ほど、世界各地でアメリカに対する反感が高まりました。そのために自国に対して、よい感情を持っていないアメリカ人もいます。けれど、私はアメリカ人であることに誇りを持っています。私の両親は、この国に移民としてやってきました。苦労もありましたが、ふたりともアメリカ人であることを喜んでいました。私もまた、アメリカ人であったからこそ、成功のチャンスを得られたのです。ですから、世界中で災害が起き、助けを求められたときは、それに応じるのが当然です。アメリカに博愛主義が根付いたことは、我が国のもっとも素晴らしい点のひとつです」

 現在ラルフ ローレン社は、米国赤十字社をはじめ、27もの慈善団体を援助している。また息子のデイヴィッドは、ラルフ ローレン ボランティアズと呼ばれるプログラムを通じて、80もの慈善団体のために活動している。2013年のザ ドッグ ウォークでは、動物愛護の必要性も訴えた。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 03
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