July 2019

BIG LIGHT

俳優:スタンリー・トゥッチ
ハリウッドの寵愛を受ける才人

photography tomo breje text tom chemberlin fashion and art direction sarah ann murray
issue10

『シェフとギャルソン、リストランテの夜』(1996年)。

「彼にはおおらかな心と、途方もないエネルギーと、あふれんばかりの気力があるの。この3つは、生まれ持った才能に次いで、俳優として長く輝かしいキャリアを積むうえでもっとも大事な要素じゃないかしら。自尊心が傷つくことがたくさんある役者稼業だけど、演じることが大好きならがんばれる。彼は現場を楽しくしてくれて、撮影を盛り上げてくれるの。結果として、誰もが恩恵を受けているわ。『プラダを着た悪魔』はもちろん、『ジュリー&ジュリア』で共演したシーンがうまくいったのは、すべて彼のおかげよ」

 トゥッチはこうした特異な状況にまったく気づいていないわけではない。主役を食ってしまうほどの演技力について聞かれると、「わかってる。どういうわけか、観客は僕を見たくなるらしい。なぜかわからないけど、僕はそんなに見られたくない。なんだか恐いよ」と答えた。

 とは言うものの、ここまで注目されるのは演技に抑制が効いているからだと自覚している。役を演じるうえで大切なのはキャラクターの本質を伝えようとする誠実さだということも決して忘れない。

 彼はこんな話をしてくれた。

本記事は2016年1月23日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 08

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