Thursday, July 11th, 2019

LOUIS,KING OF THE SWINGERS

英雄の裏の顔、マウントバッテン卿

乗っていたフィッシングボートがIRAに爆破されるという、衝撃的な死を遂げたルイス・マウントバッテン卿。
彼は英国紳士、政治家、そして英雄的な軍人だった。
一族に降りかかった不幸をきっかけに、野心の追求に燃えた、その一生を振り返る。
text tom cheshire

インド総督時代のマウントバッテン卿。1947年にはインドの独立とパキスタンの分離という難しい任務に当たった。

 ルイス・マウントバッテンは、典型的な英国の英雄とみなされてきたが、本当はドイツ人だったと知ったら驚くだろうか。彼は、ルイス・アレクサンダー・フォレ・バッテンベルクとヴィクトリア女王の孫娘の四番目の子として生まれた。バッテンベルクはドイツの名門貴族として知られている。

 一時はニッキーと呼ばれていたが、ロシア皇帝ニコライの来訪をきっかけにニックネームの変更を余儀なくされ、ディッキーという呼び名が選ばれた。本名と全く関係のない名前だが、本人は気にしていなかったようだ。しかし名前の半分がドイツ語だったことは厄介な問題を引き起こすことになった。

忌み嫌われたドイツ的なもの 英国では第一次世界大戦の勃発により、ドイツ的なものはすべて忌み嫌われるようになったのだ。これは、ルイスの父親にとって深刻な事態だった。ドイツ語の響きを避けるため、ファミリーネームをマウントバッテンに改名しなければならず、さらには、英国海軍の第一海軍卿という地位を「辞任せよ」という屈辱的な命令が下された。

 この挫折でもっとも辛苦を味わったのが息子のルイスである。英国王立海軍兵学校へ入学し、すでに海軍でのキャリアを歩み始めていたのだ。家族の名誉を取り戻したいという情熱が、彼を別人に変えた。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 08
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