February 2020

THE CHAMPIONS OF HUMILITY

ターンブル&アッサーの絆

由緒ある組織、ターンブル&アッサーにおける日常とは?
幾多の困難に見舞われても、ファイド家の人々が強い絆で結ばれている理由とは?
アリ・ファイド氏とジェームズ・ファイド氏が、THE RAKEに語る。
text wei koh photography sam fayed

Ali & James Fayed / アリ&ジェームズ・ファイド1885年に設立された老舗で、チャールズ皇太子をはじめ多くのセレブリティに愛用されるターンブル&アッサーの現オーナー親子。アリ・ファイド(右)とジェームズ・ファイド(左)。1996年にハロッズ・グループからターンブル&アッサーを買収、その伝統を大切にしつつも、工場を統合するなど近代化に努め、同ブランドを躍進させた。

どのような経緯で、ターンブル&アッサーのオーナーになられたのですか?
アリ・ファイド氏(以下AF):私たちは1984年にハウス・オブ・フレーザー(多くのストアを擁するグループ)の30%を購入しました。会社の状態を確認した私たちは、生かされていない資産が多くあることに気付きました。そこで1986年3月に、残りの70%の取得を目指して入札しました。それが会社のために最善だと思ったからです。条件を発表した日の午後2時半頃には、同社の約98%を所有していました。

買収時のターンブル&アッサーの状態はいかがでしたか?
AF:ターンブル&アッサーは、1996年にハロッズグループから購入しましたが当時は効率的に経営されていませんでした。シャツ・メーキングのさまざまな工程を3つの異なる工場が担っていたのです。そこでグロスターに工場を新設し、製造を一元化しました。これは効率化だけでなく品質向上のためにも重要でした。

このブランドが英国式ラグジュアリーを象徴する存在であり、それを守ることを大切に感じられたと?
AF:おっしゃるとおりです。私自身、70年代からターンブル&アッサー(以下T&A)のシャツを着ていました。今でも毎月のように、T&Aを買収したいというオファーがありますが、私はいつも「いえ結構です」と答えます。しかしブランドには、インターナショナルな展開も必要でした。重要だったのは米国で、一時は30の支店を有し、ニーマン・マーカスでもナンバーワンになりました。ファレル・ウィリアムス、ロバート・レッドフォード、トニー・ベネットなど、多くの方々がT&Aのファンです。常に意識してきたのは、生産過剰によって商品を市場に溢れさせないことです。ですから、パキスタンやモロッコなどの他国で生産することは決してありません。T&Aは英国製でなければならないのです。

本記事は2019年3月25日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 27

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