April 2019

WILL&TESTAMENT

稀代の怪優ウィレム・デフォー

text tom chamberlin photography michael schwartz
fashion direction jo grzeszczuk Special thanks to The Carlyle Hotel, New York
issue10

コート¥130,000 Paul Smith
ジャケット、トラウザーズ、ニット すべて参考商品 all by Gieves & Hawkes

「うーん、僕はあれをジャーナリズムだとは思わないけれど、技術手法としてはそうだったかもしれない。地域社会のはみ出し者に関する3本の短編映画として企画したんだけど、彼らが社会慣習に背く姿を描くため、町の多数派とは違う方法で自己表現するよう彼らを促したんだ。僕はまだすべての映像を編集し終えていなかったんだけれど、誰かが編集室に入り、その内容に衝撃を受けた。それで僕は退学になったんだ」

 デフォーはその後も芸術的な活動やコミュニティを求め続けた。次のステージとなったのが、ミルウォーキーを拠点とする「シアターX」だった。シアターXは、しばしば実験的といわれる劇団だがデフォーの見方は違う。

「自分たちで劇をつくっていたという意味では伝統的だったよ。そういわれたのはおそらく内容が原因。大胆な演出もしたしね。でも小さな集団なのにニューヨークへ進出したのは、かなり革命的だった」

熱狂した前衛劇団 ニューヨークは、さまざまなチャンスが転がる大きな文化的拠点だ。デフォーは劇団の巡業でニューヨークへ行ったときにチャンスを掴んだ。そして、1975年にエリザベス・レコンテ(*)らと、前衛劇団ウースター・グループを創設した。当時ニューヨークは経済的に非常に困難な時期だったが、創造性を育む土壌としては理想的だった。儲かる見込みは薄くても、友情に恵まれた環境は良好で、デフォーはついに自分の居場所を見つけた。

*エリザベス・レコンテ = その後、ウィレム・デフォーの長年のパートナーとなる舞台監督。1982年に息子を出産するが、結婚はせずに2004年に破局。

本記事は2019年1月25日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 26

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