January 2019

THE MODERN TENDENCIES OF THOM SWEENEY

サヴィル・ロウの最前線トム スウィーニー

英国テーラーにもかかわらず、イタリア風のソフトさを併せ持つ。
トム スウィーニーはかねて一目置く存在だった。
by tom chamberlin
photography kim lang

私の好みを反映して、ラペルの幅を広げ、ゴージラインを下げるようにチャコで印が付けられた。

 伝統的な技術と長きにわたる歴史を持つこの世界に参入し、今どきの若者にフィットするよう変革を起こしたテーラーリング・ハウスがある。昨年で創立10周年を迎えたトム スウィーニーである。

 ダブル・ブレステッド・ジャケットがトレードマークの私にとって、トム スウィーニーはかねて一目置く存在だった。彼らは、テーラーリングのなかでも最も保守的で堅苦しい分野を扱いながら、スタイリッシュで若々しく、時代に合ったスタイルを築きあげた。

 テーラーの名前の由来でもあるトム・ウィデットとルーク・スウィーニーのふたりは実にフォトジェニックで、ここ数年はテーラーリング界のアイコンとなっている。ティモシー・エヴェレストのもとで修業を積み、どちらもテーラーとしてサヴィル・ロウのライバルたちに勝るとも劣らない腕を持っている。そしてライバルたちが必死になって獲得しようとしているもの=“時代性”において抜きん出た存在である。

 素晴らしいアンバサダーたちや、ホースシュー・ウエストコート(フロントがU字形に開いたベスト)などのトレードマークによって頭角を現したが、世の中に迎合することはしない。ルークは言う。

「自分たちが着たいと思う服を作っていただけ。そこからサヴィル・ロウとイタリアの中間のような、当時としては珍しかったハウススタイルをつくり出した」

 彼らがどのように進化したか、トムが説明を加える。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 26
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