Monday, July 13th, 2020

赤峰幸生×ダグラス・コルドー

紳士はフォックス ブラザーズに辿り着く

スーツをエレガントに着こなす紳士は、必ずと言っていいほど生地を育てることを知っている。
生地を育てるとは、年月をかけて生地をゆっくり自分の身体に馴染ませていくことである。
それに最もふさわしい生地とされるのが、フランネルで有名な英国のフォックスブラザーズである。
photography jun udagawa

(左)赤峰幸生 / Yukio Akamine
1944年、東京都生まれ。90年、自身の会社インコントロを設立。98年、イタリア生産による紳士服ブランド「Y.Akamine」をスタート。2008年、カスタムクロージングのブランド「Akamine Royal Line」を立ち上げる。現在も大手アパレル、百貨店、セレクトショップなどのコンサルティングを手がけている。
(右)ダグラス・コルドー / Douglas Cordeaulx
1964年生まれ。15歳でTシャツをプリントして商売を始め、その後ペペジーンズでテキスタイルデザイナーとして17 年のキャリアを積む。2008年にフォックスブラザーズの経営権を取得。CEOに就任し、破綻寸前だった同社の経営を立て直しに成功。英国屈指のウェルドレッサーとしても名高い。

FOX BROTHERSとは?軍服用のサージウールの織物工場として、英南西部サマセットのウェリントンにて1772年に創業。フランネルはその翌年から織られ始めた。当時とほとんど変わらぬレシピで織られ続けているそれは、世界の一流テーラーたちから絶対的な信頼を得ている。同社を代表する生地は、370~400g/mのクラシックフランネル。

 春はもうすぐそこだというのに、フランネルウールで有名な英国の名門フォックスブラザーズをフォーカスするのはTHE RAKEくらいだろう。ただ、これをお読みになっている皆さんはビスポークスーツの愛好家ばかりなので、今この時期にフランネルを紹介することは何らおかしなことではない。都内のビスポークテーラーや海外テーラーの来日トランクショーで今オーダーして秋に完成品を受け取るという流れは、むしろスタンダードであるといっていいだろう。一度仕立てたら10年、20年と付き合っていくことになるであろう一流のフランネルとは、そのくらいの心構えで向き合うべきなのだ。フォックスブラザーズのCEOダグラス・コルドー氏、フォックスブラザーズのフランネルとの付き合いは50年にもなるという赤峰幸生氏のふたりに、同名門ミルの生地の魅力はどこにあるのか、話を伺った。

赤峰 2008年にダグラスさんが入ってから、定番の生地コレクションに加えてシーズンごとに新しいコレクションを発表するようになり、時代に即したライトウェイトの生地も揃えて、コレクションのバランスが非常によくなりましたよね。それまでは定まったお客さんに定まった生地、定まった量を取引するという昔ながらのスタイルで何十年も続けてきたわけですが、新しいコレクションが足がかりとなって、フォックスブラザーズというミルそのものに興味を抱く人が増えてきたのではないでしょうか。

コルドー 幸いにもフォックスブラザーズには紹介してもしきれないほどの膨大なアーカイブが保管されているのですが、新しいコレクションはすべてそれらをベースにしてデザインされています。現在もテクニック的に可能な糸に置き換えたり、今日の気候やライフスタイルに合わせてライトウェイト化するなどアップデートさせてはいますが、デザインのベースにあるのは常に1772年からのヒストリーです。春夏向けのウーステッドは薄くライトウェイトであるにもかかわらず、芯があって張力もあります。その品質の素晴らしさを体感していただき、我々の根幹を成すフランネルへと入っていったお客様も多数いらっしゃいます。

赤峰 それに加え、ダグラスさん自身のスタイル・内面がそうであるように、新しい生地であってもフォックスブラザーズの生地は常にアンダーステートメントであるんです。決して目立ちすぎることがありません。

本記事は2019年1月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 26

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