Monday, August 19th, 2019

NICOLAS CAGE ニコラス・ケイジ

映画狂を虜にする、
稀代のハリウッドスター

text nick scott photography simon emmett fashion direction jo grzeszczuk Produced by Flower Avenue

 現在役者として重視していることは、2016年のスリラー『グランド・ジョー』でうまく実現できたとケイジは言う。同作で彼が演じるのは、父親に虐待される15歳の少年(タイ・シェリダン)を思いがけず守ることになる、問題を抱えた前科者(ジョー)だ。想いを実現できたのは、ケイジが「感情のありのままさ(emotional nakedness)」と呼ぶ表現が人物描写に必要だったからに他ならない。

「台本を読んだときに直感したよ。こんなことを言うとおかしいけれど、演技しなければならないのは嫌なんだ。俗に言う“最高の俳優”というのは、言わば“最高の嘘つき”だ。だが僕は、感じ、信じ、自分の想像力を注ぎ込んで駆使することによって、演技をしていないも同然の状態を目指す。ジョーという役は、できる限り自分に近い存在にしたかったし、息子たちと歩んできた自分の人生に対する気持ちや、自分の家族観を込めたいと思った。これまでの経験を振り返ると、ジョーとタイ・シェリダンとの関係は、自分と重なる部分がとても大きかった。そういう意味で、“感情のありのままさ”という言葉を使ったんだ。僕は演技をしているというより、自分の本当の気持ちを表現していたから」

常に“時代精神”の一部であるために ケイジは、日常生活からより多くのことを取り入れたいと願っているように見える。日々の現実を通じて、その「感情のありのままさ」を、より豊かで繊細なものへと徐々に進化させるために。そんな彼個人の物語にも、いくつか意外な展開がある。彼はパトリシア・アークエットと6年間、リサ・マリー・プレスリーと107日間の結婚生活を送った。また、モデルで女優のクリスティーナ・フルトンとの間に、26歳の息子ウェストンがいる。時には人とのもみ合いも経験してきた。最近、モトリー・クルーのリードボーカル、ヴィンス・ニールともみ合いになった一件もそのひとつだ。ニュースではニールがラスベガスのカジノの外で女性に暴力を振るったことが原因と伝えられている。一昨年には、11年の結婚生活の末に、3人目の妻であるアリス・キムと別居するという出来事もあった。だが、近頃の彼はシンプルな暮らしを送っているという。

本記事は2018年3月24日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 21

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