July 2019

GOOD to be HOME

アメリカンドリーマーが築き上げた驚愕の邸宅

過去30年以上にわたり、アメリカらしい洗練されたアパレルを世界中に届けてきたトミー ヒルフィガー。創業者でデザイナーのトミー・ヒルフィガー氏とその妻ディー氏は、コネチカット州のゴールドコーストに建つ、歴史的建造物としても名高い館を蘇らせ、誰もが羨む究極の隠れ家を作り上げた。

Tommy Hilfiger / トミー・ヒルフィガー1951年ニューヨーク州エルマイラ生まれ。高校時代、わずか150ドルの資金でセレクトショップ「ピープルズ プレイス」をオープン。独学でファッションを学び、1979年よりデザイナーとして活躍。自身の名を持つブランドを設立し、1985年にファーストコレクションを発表。現在も彼がプリンシパルデザイナーとしてブランドを牽引する。

スージー・ヒルフィガー氏は、新居祝いとして夫妻にニワトリをプレゼントした。ニワトリたちは“トミーレッド”に塗装した小屋で暮らしている。

歴史ある館の伝統を守るリノベーション ニューヨーク市から北にわずか35マイル。コネチカット州グリニッチの最も高い場所に位置する約10万平米のこの地を、ふたりはラウンド・ヒルと呼んでいる。風光明媚でマンハッタンにアクセスしやすいこの土地は、申し分のない選択肢だった。この地の持ち主こそ、アメリカを代表するアパレルブランドの創業者であり筆頭デザイナーのトミー・ヒルフィガー氏とその妻のディー氏だ。

 ラウンド・ヒルに館が最初に建設されたのは、1939年。当時数々の賞を獲得していた建築家の設計によるもので、建て主であった不動産王にちなんでシャトー・パテルノと呼ばれていた。1961年には当時の著名な美術品収集家に売却され、19世紀以降の絵画と彫刻の大規模なコレクションが披露されていたという。

 トミー&ディー・ヒルフィガー夫妻は、2010年にこの地所を購入すると、すぐさまリノベーションに取りかかった。目指したのは、フランス・ノルマンディー地方のディテールを取り入れた、心地良い英国式カントリーハウスだ。インスピレーションに関しては、夫妻それぞれの経験以外に頼る必要はなかった。「幸い、ディーと私は旅の経験が豊富でしたから。旅によって、私たちは異文化に対する理解と尊敬の念を深めました。この家は、そんな敬意を表すための絶好の機会だったのです」とトミー氏は語る。

漆喰細工の天井に目を奪われるリビングルーム。ソファの上にはアンティークタペストリーとスカラマンドレのレオパードプリント生地のクッションが並ぶ。19世紀の伊万里焼の花瓶はランプとして生まれ変わった。

ヴィンテージのシスターンを洗面台にリメイク。壁紙には本物の羽を使用。

アンティークのビリヤード台があるゲームルーム。トランプ用のテーブルを囲む椅子にはホーランド&シェリー社のタータンと雄鹿の角があしらわれている。

THE RAKE JAPAN EDITION ISSUE 21
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