Monday, August 19th, 2019

NICOLAS CAGE ニコラス・ケイジ

映画狂を虜にする、
稀代のハリウッドスター

text nick scott photography simon emmett fashion direction jo grzeszczuk Produced by Flower Avenue

正反対の役を好んで演じる理由 ケイジが出演する映画は、(過去すべての出演作とまではいかないにせよ)少し前の出演作とは似ても似つかないことが多い。そんな彼は、作品選びをたびたびマスコミから批判される。2007年の『ウィッカーマン』、2009年の『バンコック・デンジャラス』、2009年の『ノウイング』などがその例だ。しかし一方で、1988年の『赤ちゃん泥棒』や『月の輝く夜に』、デヴィッド・リンチによる心をかき乱す名作『ワイルド・アット・ハート』、圧巻の『ザ・ロック』(1996年)、無茶を見事に描き切った『フェイス/オフ』(1998年)など、彼がもたらしてくれた名作を数え上げるには、片手ではとても足りない。彼自身も、作品選びのタイミングが常にベストではなかったことを認めているが、映画制作者として歩んできた道を後悔することは決してない。「僕の好みは常に多面的だったし、映画で演じ、役に扮することに関して、自分はまだ修行中だといつも思っている」とケイジは話す。

「つまり、リスクを負ってさまざまな方向へと自分を駆り立てている。その過程で何かを学ぶことを期待しながらね。だからこそ、『リービング・ラスベガス』のような作品に出たと思ったら、まるきりジャンルの異なる『ザ・ロック』のような映画に出たりする。僕は映画制作者として、自己表現のさまざまな方法を見つけようと常に実験している。必ずしも掟破りなことをしたいわけじゃないけれど、皆と歩調が合わないことがあっても、思い切って冒険したいという気持ちがある」

 ハリウッドの超大物俳優たちは、必死で役をもらおうとする人々とは対極の存在に見えるかもしれない。が、そんな超大物でさえいつも役を選り好みできるわけではないことを初めて認めたのもケイジだ。

「常に問題となるのが、“題材の描き方や、誰が作品を監督し、誰と一緒に仕事をするのかといった点において、その時点で選択できる最大の決め手は何なのか”ということなんだ。“以前この人と仕事をして楽しかった”というシンプルな理由が決め手になることもある。『Primal』でニコラス・パウエルと仕事をして、素晴らしい経験をさせてもらったから、彼とまた一緒にやりたいと思っているよ。けれど、“自分には、この役をやるための人生経験と感情の引き出しがあり、無理やり演じなくてもよいだろうか。思慮を重ねなくても、その登場人物のオーラをすんなり醸し出せるだろうか”ということのほうが、たいていは重要なんだ。それが僕の目指しているものであり、映画で演じる人物を選ぶときの主たる基準だよ」

本記事は2018年3月24日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 21

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