April 2020

ANDERSON & SHEPPARD

最高峰のビスポークの真価

サヴィル・ロウのテーラーリングハウスの名門、英国王室御用達を持つ
チャールズ皇太子のテーラーにして世界のセレブリティが憧れる名店の今。
text yoshimi hasegawa photography james holborow

Danny Hall / ダニー・ホールヘッドコートカッター。1986年に研修生としてアンダーソン&シェパードから修行を始め、1988年にアシスタントカッターとして正式に入社。同社のコートカッター(ジャケット専任のカッター)として34年間のキャリアを持つ。今もチャールズ皇太子を担当する名カッター、ジョン・ヒッチコック氏の後継者として、安定した熟練の技と柔和な人柄に顧客の信頼も篤い。

 世界でも唯一無二のビスポークの聖地として名高いサヴィル・ロウだが、新旧のテーラーに加え、様々なメンズウェアブランドが参入し、この通りの様相は大きく変化しつつある。

 ではサヴィル・ロウ・ビスポークの真価はどこにあるのか?

 それは、型紙から最終のスーツとして完成するまで、すべての工程が一貫してこの地域で作られる、最高峰のビスポーク・スーツに他ならない。

 名だたるサヴィル・ロウの老舗であっても、世界で一、二を争う賃借料が高いロンドンの一等地で、職人を育成し仕立ての伝統を継承することは簡単ではない。英国独自の定期借地権契約のシステムも家賃高騰に拍車をかけ、テーラーの経営をさらに困難にしている。

アンダーソン&シェパードのクラフツマンシップの真髄を表すディナージャケット(タキシード)。ダブルブレステッドのピークドラペル、ベント無しのスタイル。ビスポークのフォーマルウェアが持つ圧倒的な存在感がある。

THE RAKE JAPAN EDITION ISSUE 32
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Contents

<本連載の過去記事は以下より>

本邦初公開! 新しくなった聖地 サヴィル・ロウ再起動

ハケット氏の新しいサヴィル・ロウ

サヴィル・ロウのゲームチェンジャー

【ヘンリー・プール】伝統に勝てるものはない

コンテンポラリーなビスポーク