July 2019

A SINGULAR WOMAN

唯一無二のトップ女優 ジュリアン・ムーア

text tom chamberlin
photography richard phibbs
fashion direction grace gilfeather
issue10

アカデミー主演女優賞に輝いた『アリスのままで』(2014年)。

「国民投票のとき、キングスマンの撮影でイギリスにいたのですが、朝起きたら離脱派が勝利しているではありませんか。その瞬間、『覚えておいて、きっと同じようなことがアメリカでも起きるから』という誰かの言葉が私の頭をよぎりました。そんなことはまさかありえないと思っていましたが……。今、人々は目が覚めたのではないでしょうか。投票すべきだと気づいたでしょう。私たちはもっと力を発揮しなければならないし、現状に無関心ではいられません。将来の子供たちのためにも。問題なのは、大人たちは子供たちが何とかするだろうと考えていることです。子供は大人を見て育つのだから、私たちがきちんとお手本を見せないといけないと思います」

 こうした考えから彼女が取り組んでいるのが、絵本作家としての活動だ。自らの幼少期の体験をもとに*『Freckleface Strawberry』という絵本を書いている。この本のアイデアは、彼女のふたりの子供がまだ小さい頃に思いついたものだ。

「今でも覚えていますが、幼い息子は髪を切られて新しい髪形を気に入りませんでした。ちょうど新しい大きな歯が生えてきたところだったので、小さな頭に大きな歯の息子はご機嫌ななめで、その姿は本当に可愛らしかったのですが、私は胸が張り裂けそうになりました。そのとき、思い出したんです。私も自分の赤毛やそばかすが嫌いで、幼なじみからは“Freckleface Strawberry”(そばかす顔のイチゴちゃん)と呼ばれていたことを。もちろんすごく嫌だったけれど、今になってみると素敵なあだ名です(笑)。そこで、子供の頃に大切なことについて書きたいと思いました。昔から『みにくいアヒルの子が白鳥になりました』という話は好きじゃありません。外見は変わらないけど、気にしなくなるだけ。だから、次々に本を書きました」

* 『Freckleface Strawberry』 = ジュリアン・ムーアによる準自伝的内容の絵本で、シリーズ化して出版されている。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 27
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