A SINGULAR WOMAN

唯一無二のトップ女優 ジュリアン・ムーア

July 2019

text tom chamberlin
photography richard phibbs
fashion direction grace gilfeather

「パワーがもたらすものはたくさんあることはわかっています。でも、パワーとは上下関係を表す言葉。なぜ私がパワフルになる必要があるんでしょう? 他の誰かより偉い立場になる感じがするので、パワフルになりたいとは思いません。それよりも一体感を大切にしたいのです」

 平等や敬意を求める昨今の女性たちの活動についてジュリアンの考えを聞くと、落ち着いた態度でこう語ってくれた。

「男女間で当たり前だと思われていた行動がいまだにありますね。時代が変化しているのですから、許されることと許されないことについて見直すべきでしょう。女性だけで解決策を進められることではないから、男性にも対話に加わってもらいたい。喧嘩腰になるのは避けたいから、みんな怖じ気づいているようだけど、私は男女ともに前進したいのです」

衰えることのない美と演技 2000年代は、ジュリアンに喜びと悩みをもたらした。この頃、彼女はアカデミー賞に3回ノミネートされた。最初は1999年末に公開された『ことの終わり』で、残る2回は2002年の『エデンより彼方に』(主演女優賞)と『めぐりあう時間たち』(助演女優賞)である。一方で、アルフォンソ・キュアロン監督の『トゥモロー・ワールド』(2006年)では興行的に惨敗を喫した。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 27
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