A SINGULAR WOMAN

唯一無二のトップ女優 ジュリアン・ムーア

July 2019

text tom chamberlin
photography richard phibbs
fashion direction grace gilfeather
issue10

スーツ Edward Sexton
リング property of Julianne Moore

トップ女優の自問 公開待機作品でも、ジュリアンの演技は輝いている。中でもふたつの注目作(日本公開未定)はタイトルが似ているので覚えやすいだろう。大人の恋愛を描いた『Gloria Bell(原題)』はチリ映画『グロリアの青春』のリメイクで、ジュリアンは自分と同年代で、離婚後に新しい恋を見つける女性グロリアを演じた。

 もうひとつの『The Glorias: A Life on the Road(原題)』は、世界有数のフェミニズム活動家グロリア・スタイネムの伝記映画だ。この作品では、アリシア・ヴィキャンデルをはじめとする3人の女優が出演する。女性の権利拡大に注目が集まっているタイミングで、彼女がグロリア・スタイネムを演じるのは、“既定路線”という言葉がふさわしい。

 私の周りに聞いても、誰もがジュリアン・ムーアは間違いなくハリウッドを代表するトップ女優だと言う。しかし、彼女もそう思っているのだろうか? 母でありながら、オスカー女優、さらに世界三大国際映画祭でも女優賞を制覇した唯一のアメリカ人女性として60歳に近づこうとしている彼女は、自らの手で切り拓いてきたキャリアや人生に満足しているのだろうか?

「正しい道を選んできたのかどうかはわかりません。運命づけられていたような気もします。でも人生は可能性に満ちているのですから、今も“もし医者になっていたら?”と自問することもあります」

 ジュリアンには医者でなく女優を続けてもらいたい。今後も活躍が楽しみだ。

PHOTOGRAPHER’S ASSISTANT: TRE CASSETTA
2ND ASSISTANT: NATHAN CLUSS
DIGITAL TECH: KARIE ENG
FASHION ASSISTANT: VERONICA PEREZ
HAIR: SERGE NORMANT @ STATEMENT ARTIST
MAKEUP: HUNG VANNGO @ WALL GROUP
MANICURIST: MAKI SAKAMOTO @WALL GROUP

THE RAKE JAPAN EDITION issue 27

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