HOTELS DELUXE Vol.29
ホテル連載第29回:ホテルのこだわりパン《第二回 大手町・日比谷エリア》
June 2024
好評だった前回に続き、「ホテルのこだわりパン」をピックアップ。今回注目したのは東京駅の西側、大手町&日比谷エリア。少しだけ寄り道をして、出張や地方へのお土産として購入するのにも便利な場所だ。
text yukina tokida
<アマン東京>
朝食として宿泊者から人気のクロワッサン。テイクアウトできるのは世界中のアマンでもここだけ。
写真のクロワッサン(¥380)やパン オ レザンなどの自家製パンのほか、季節のフルーツを使ったケーキや焼き菓子、チョコレートなどのギフトもラインナップ。
アマン東京は、クロワッサンの肝心要であるバターと小麦粉に徹底してこだわる。本場フランスのポワトゥーシャラン産ミルクのみを使って作られている高級発酵バター「パンプリーバター」を使用。小麦粉は国内では稀少な完全無農薬有機のもので、シェフの宮川氏自ら厳選した北海道産の小麦「ゆめちから」と「キタホナミ」をブレンドしている。氏が認めた最良レベルの栽培方法と品質のもののなかでも、その香りの高さと味わいが格別だったという。
クロワッサンは一枚一枚の層が均一で繊細、そして見事な蜂の巣状の断面が美しい。そのままでも美味しいが、10〜20秒ほど軽くトーストするのもおすすめ。
ショップがあるのはホテルが入っている大手町タワーの地下2階。平日は朝7時から開いているので朝食にも最適。
ラ・パティスリー by アマン東京
TEL. 03-5224-3339
<パレスホテル東京>
それだけで美味しいのはもちろん、食事やお酒にも合うパレスホテル東京自慢の万能パン2種類。
好みの厚さにスライスし、トースターで再度焼き上げるのがシェフのおすすめ。「コーンブレッド」フル(左)¥900 /ハーフ(右)¥450
パレスホテル東京の歴史は長い。1947年、GHQの命令により国有国営ホテルとして開業した前身の「ホテルテート」時代から数えると、今年で77年という偉⼤な節⽬を迎える。その当時から変わらぬレシピで現在も愛されているのが「コーンブレッド」だ。スライスした断面は見事な黄金色。コーンミールのほろほろとした食感と自然な優しい甘みは、このパンにしかない味わいだ。シンプルなレシピだからこそ、毎日シェフ自ら生地の温度やなめらかさ、色艶を見極めて仕込みを行い、気温や湿度に応じて焼き上げる温度と時間に気を配っている。
一方で2023年9月のショップリニューアル時に誕生した新商品が、鮮やかな色が印象的な「ビーツのフォカッチャ」。使用されているのは都内の若手農家が育てたビーツ。国産の米油を用いることで、新鮮なビーツの豊かな香りと味わいをさらに引き出している。
いずれもホテル地下のショップ限定で購入可能。電話での取り置きもできるが、確実に購入したい場合には3日前までに連絡を。 左:もちもち&しっとりなフォカッチャの中にはカットされたビーツが練り込まれている。「ビーツのフォカッチャ」¥600
ペストリーショップ「スイーツ&デリ」
TEL. 03-3211-5315
<ザ・ペニンシュラ東京>
デザートの主役として楽しみたい!ミルクの甘い香りが際立つスコーンと1日2斤限定のナッツぎっしりなパン。
「スコーン」は、ザ・ロビーで提供されているアフタヌーンティーでは四角だが、テイクアウトは丸型。レシピは共通。写真のプレーン味(2個入り¥410)に加えて、期間限定フレーバーも。現在はマンゴー(2個入り¥600)が発売中。
香港におけるアフタヌーンティーの起源として知られるザ・ペニンシュラ香港。ザ・ペニンシュラ東京でもその精神は受け継がれており、ティータイムに最適な品が充実している。なかでも「スコーン」は根強い人気の定番品。生クリームを使用することで、滑らかでしっとりとした仕上がりに。薄切りにした冷たいバターを挟んで食べるアレンジもおすすめだ。
また1日2斤限定の「メープルクロッカン」は、表面のキャラメリゼのやさしい苦味やカリカリ感と、中の発酵バター香るしっとりとした生地が絶妙。ぎっしりと練り込まれているマカダミアナッツのザクザクとした食感と相まってリッチな味わいが最高だ。
7日前までの予約が確実。「メープルクロッカン」1斤¥1,800 /1枚(スライス)¥300
「ザ・ペニンシュラ ブティック&カフェ」
TEL. 03-6270-2888
<帝国ホテル 東京>
果肉たっぷりでしっとりなレーズンブレッドに甘い香りが鼻腔をくすぐる王冠型ブリオッシュ。
1斤売りのため、好みの厚さに切って食べられるのが嬉しい。「レーズンブレッド」¥713
1970年のホテルショップ「ガルガンチュワ」開店当初より人気を誇るベストセラー「レーズンブレッド」は、見た⽬こそシンプルだが、注⽬すべきはそのレーズンの量。1キロの小麦粉に対して約700グラムものレーズンを使用している。一般的にレーズンの量が多いほど生地がパサつきやすくなるが、レーズンの処理や生地の配合、焼き上げる工程など、さまざまな工夫を凝らし丁寧に仕上げることで、ふんわり&なめらかな口どけを実現。切れ味の良いパンスライサーでないと潰れてしまうほどの柔らかさだ。
全40種類ほど販売されているパンのなかでもシェフの一押しは王冠型がアイコニックな「クーロンヌ」。袋を開けた瞬間に広がる甘い香りの秘密は、バターをたっぷりと折り込んだブリオッシュ生地とブランデーシロップ。しっとりとした舌触りとジューシーでやさしい味わいに、手が止まらなくなる。
いずれもタワー館1階のホテルショップにて購入可能(7月以降は移転予定)。確実に購入したい場合は来店日の3日前までの予約がおすすめ。大きさは直径20センチほど。複数人でシェアするのもいい。「クーロンヌ」¥1,300
帝国ホテル 東京 ホテルショップ「ガルガンチュワ」
TEL.03-3539-8086
<本連載の記事は以下より>
Vol.28 ホテルのこだわりパン《第一回 赤坂・虎ノ門エリア》