HOTELS DELUXE Vol.10
ホテル連載 第10回:名物手土産 -クッキー缶編-
March 2021
どこか懐かしさを覚える「缶入りクッキー」が、ラグジュアリーホテルから続々と発売されている。日持ちし、持ち運びにも困らない、手土産として最適なひと品だからこそ、贈る相手の顔を思い浮かべながらぴったりのものを選びたい。開けた瞬間に思わず笑顔がこぼれる、選りすぐりのクッキー缶を紹介する。
*販売状況等については各ホテルまでお問い合わせください
<The Okura Tokyo>
日本の伝統美が表現された缶クッキーなら、甘党ではない人にも喜ばれる“塩系”も揃う。
いずれもオークラプレステージタワー5階のデリカッセン「シェフズガーデン」にて購入可能。上:大小2サイズでの販売(写真は大)。ホテルを象徴する銀杏モチーフ(バニラ・ショコラ・シナモン)のサブレがキュート。「サブレ市松」(大)¥5,500、(小)¥4,000 /下:カレーやオニオン、チーズなど、お酒のお供にも最適なフレーバーが揃う。「塩味サブレ 露地」¥4,000
2019年の新ホテル開業とともに誕生した同品は、日本の伝統美が随所に息づくオークラの世界観を体現している。甘味系のクッキーが揃う「市松」は、ホテルの意匠のひとつである石畳文様をイメージして市松模様に、塩味系の「露地」は京町屋で見られる通り庭のごとく、緻密な計算の上詰められている。
前者には歯切れのよいヌガーとサクサクの生地が調和した「はちみつフロランタン」やラムレーズンがたっぷり入った「サブレ・レザン」などの全16種が、後者には山椒が香る「山椒メレンゲ」やカリカリに焼いたベーコンとジャガイモを練り込んだ「ジャーマン」など、スパイシーな香りが鼻腔をくすぐる全7種が入っている。
心躍る多彩なフレーバーのおかげで、最後の1ピースまで飽きることがないだろう。
The Okura Tokyo
TEL.03-3505-6072
<ホテルニューオータニ>
「美味と健康」というテーマのもと誕生したのは、原材料にこだわったサステナブルな缶クッキー。
小ぶりな(150×208×70mm)見た目とは裏腹に、ずっしりとした缶の総重量は約1kg。全9種のうち6種がいずれも直径5~6cm、厚さ1~1.5cmと1枚1枚が贅沢に作られている。残りの3種はメレンゲ(白とピンク)、クロッカン、リーフパイ。ホテルロビィ階のパティスリーSATSUKIまたは公式オンラインストアでも購入可能。「プレミアムクッキー」¥13,000
ホテルニューオータニの「プレミアムクッキー」には画期的なふたつの原材料が用いられている。豆乳クリームを使用したバター「ソイブレール」と、コーヒー豆を取り出す際に余る皮と果実を乾燥させた「カスカラ」だ。クッキー作りに欠かせないバターを大豆由来のものにすることで、クリーミーさとヘルシーさを兼ね備えることを実現。
一方カスカラは、その高い栄養価や豊富な食物繊維、優れた抗酸化力を備えるスーパーフードとして注目されており、全9種のうち2種(コーヒークッキーとクロッカン)に用いられている。
健康的でありながら、新しい美味しさを追求したスイーツを作り続ける同社ならではの渾身のひと品だ。
ホテルニューオータニ
TEL.03-3221-7252
<ウェスティンホテル東京>
ネコやサカナのモチーフが可愛らしい甘いバター香る素朴なクッキー缶。
特に女性や子どもの心を鷲掴みにする可愛らしいモチーフが印象的。ハロウィンやクリスマスなどの季節限定品も登場する。ホテル1階のペストリーブティック「ウェスティン デリ」にて購入可能。「ホテルメイドクッキーアソート」¥3,600
ホテル内のペストリーキッチンで、すべての工程を経て完成するウェスティンホテル東京の「ホテルメイドクッキーアソート」は、ネコやクマ、サカナなどの可愛らしいモチーフに目を奪われるクッキー缶だ。
全9種のクッキーはバターや卵、小麦粉などのシンプルな素材の魅力が生かされており甘さは控えめ。開けた瞬間にふわっと立ちのぼる甘いバターの香りが懐かしさを感じさせてくれるだけでなく、チョコチップやバニラ、ココアやココナッツなど馴染み深いフレーバーが揃うのも嬉しい。
ペストリーチームが描いた各クッキーのイラスト付きの解説も手紙のごとく添えられており、人の温もりを感じられる優しい缶クッキーだ。
ウェスティンホテル東京
TEL.03-5423-7778
www.marriott.co.jp/hotels/travel/tyowi-the-westin-tokyo/
<ホテルニューグランド>
初代総料理長の時代に誕生した缶クッキーはホテルで最も長い歴史を持つ手土産だ。
贈物需要が高まる年末には欠品することもあるほどの人気商品。本館1階コーヒーハウス「ザ・カフェ」にて購入可能。また電話での取り寄せもできる。1サイズ展開。「クッキー」Lサイズ¥4,200 / Sサイズ(上写真)¥2,300
ホテルニューグランドの缶クッキーの歴史は、初代総料理長サリー・ワイル氏の時代まで遡る。1927年の開業時にパリから招かれた氏は、今や誰もが知る“ドリア”の生みの親。それまでコースメニューが基本だったフレンチにアラカルトを取り入れるなど日本の仏料理に革命を起こした偉大な人物であり、こちらのクッキーも当時、氏がホテルで提供していた品。
その後、贈りたい、持ち帰りたいとの声を受け同缶クッキーが誕生し、少しずつ改良を加えながら約60年前に現在の形に。全10種のクッキーはチョコチップやザラメ、チーズなどどれもシンプルでクラシック。
その味わいや、昔ながらの少し硬めの食感からは、忠実に守られてきた伝統を感じられるだろう。
ホテルニューグランド
TEL.045-681-1841(代表)
<パレスホテル東京>
個性豊かなオリジナル焼菓子を淡いグリーンの缶にぎっしり詰め合わせた人気手土産。
グリーンやピンク、ホワイトと鮮やかな色味が目を惹くクッキー缶。缶を包む優しい色合いのグリーンカラーは、ホテルから望む豊かな緑をイメージしたもの。公式オンラインショップにて数量限定販売。「プティフールセック缶」¥3,500
商品開発に半年を費やして誕生したパレスホテル東京の「プティフールセック缶」。ホテルが目指す“最上質の日本”を感じられるようにと日本酒や胡麻、抹茶、和三盆など和の素材が多用された全11種は、同缶限定フレーバーの5種と長らく愛されてきた人気フレーバー6種からなる。
なかでも「日本酒サブレ」や、ラングドシャ生地のコルネにジャンドゥージャクリームを詰め込んだ「ジャンドゥージャコルネ」の繊細な味わいと食感からは、丁寧な手仕事が窺えるだろう。
食べ終わったあとも、思わず大切なものをしまっておきたくなるような可愛らしい缶のデザインも魅力的。“最上質”を掲げる同ホテルの真髄に触れられるひと品だ。
パレスホテル東京
TEL.03-3211-5315
THE RAKE JAPAN EDITION issue38
本記事は2021年1月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。
<本連載の記事は以下より>
Vol.28 ホテルのこだわりパン<第一回 赤坂・虎ノ門エリア>