September 2019

When Michael and Tina Ruled the World

マイケルとティナが世界を動かした頃

text stuart husband

ニューヨークで催されたパーティーでのフォーマルな装い(1983年)。

 彼は何度か結婚した。最初はグレース・コディントン。モデルで、後に『ヴォーグ』のクリエイティブディレクターとなった。マイケルはヘアサロンをオープンし、ツイッギーに売り込んだ。

 一方で俳優業にも挑戦し、『唇からナイフ』や『007は二度死ぬ』に端役で出演。パープルシルクで仕立てたイヴ・サンローランのマオカラースーツに身を包み、長髪を風になびかせながら、ベントレーのコンバーチブルで街を走った。

「彼はロンドンで一番ヒップで、ホットで、クールな男性だった」とナディア・ガーレブは熱く語っている。その後1968年に、ナイツブリッジのカレー店だった場所にミスター・チャウをオープンした。

革命的中華料理店 それまでの中華料理店といえば、シノワズリもどきの安っぽい店内で、化学調味料たっぷりの料理を、安く提供する店ばかりだった。しかしミスター・チャウでは、真っ白なテーブルクロスを敷き、箸の代わりにフォークを用意した。そして強迫神経症並みにディテールにこだわった(この店のルールブックには、ウェイターが皿をテーブルに置く際の、3本指を使った完璧な方法まで記載してあった)。

 アーティストの作品を壁に飾り、ベルベットチキンやスイートサワーポークといった魅惑的な料理を供すると、華やかな友人たちが食事をしに来て、ミスター・チャウは有名人のたまり場になった。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 19
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