January 2020

THE RAKE PERSONIFIED

小説家ジェイ・マキナニーのスタイル

text wei koh

ウインドーペーン柄のスーツはチフォネリ。ビスポークのシャツはアットリーニ。タイはチットルバラ&モーガンで、シューズはガジアーノ&ガーリングのもの。

筆者(ウェイ・コー。以下W):初めてのビスポーク体験はいつですか?
ジェイ・マキナニー(以下J):『ブライト・ライツ、ビッグ・シティ』の出版後、1985年に初めてロンドンを訪れました。「俺とエドワード・セクストンとトミー・ナッター」というキャプションが添えられたミック・ジャガーの写真を見たことがあって、そのスタイルに心を奪われたんです。すぐに自分もスーツを誂えることにしました。生地はあのハウスらしいウインドーペーン柄で、80年代に流行していたダブルブレステッドだったと記憶しています。当時、アルマーニが魅力的なダブルのスーツを数多く手がけていたのを思い出しますね。

W:ではあなたがファッションを追求するきっかけは、アルマーニだったと思われますか?
J:ええ。ようやく懐に余裕が出てきた頃、その世代の代表的ブランドだったアルマーニに行きましたね。実はご本人にお会いしたこともあるんです。私がイタリアでブックツアーをやったときに、彼が出版社を通じて連絡をくれました。そしてツアーの折々での撮影のために、大量の服を貸してくれたんです。ツアーの終わりに、「お貸しくださった服はどうしましょう?」と尋ねると、そのまま持っていてほしいという返事をくれました。信じられないほど気前がいいでしょう?

W:面白いことに、80年代のアルマーニに特徴的な、構築的でない大ぶりなシルエットは近年再び流行しつつありますね。
J:当時は大好きでしたね。写真を見返すと、実に大したスタイルだったなと思います。ジャケットの構造を解体した手法は本当に革新的でした。ある意味、ナッターと共通する精神もありましたね。スタイルに対して独特で非凡な視点を持つという考え方が。ですが、初めてのビスポークスーツはナッターに注文しました。

本記事は2019年9月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 29

1 2 3 4 5 6 7

Contents